今年最後のグランドスラム大会「USオープン」（アメリカ・ニューヨーク／本戦8月29日～9月11日／ハードコート）の女子シングルス決勝で第5シードのオンス・ジャバー（チュニジア）が第1シードのイガ・シフィオンテク（ポーランド）に3-6 6-7(5)で敗れ、ウインブルドンに続きまたもグランドスラム大会決勝で苦杯を舐めた。

　表彰式で悲しそうな表情を浮かべながらも相手を称えたジャバーは、「私はWTAツアーで最初のタイトルを獲るのにも苦労した。優勝には時間がかかったわ。だからグランドスラム大会での優勝にも時間が必要なのだと思う。もっとも重要なのはそのことを受け入れ、敗れた決勝から学ぶことよ」と試合後の記者会見で語った。

「私は諦めるような人間じゃない。ふたたび決勝にいくことができると確信している。（グランドスラム大会で）優勝するために全力を尽くすわ」

　決勝を振り返り、「正直に言って、（この決勝に関して）後悔はない。私はできる限りのことはやったから」とジャバーはコメントした。

「今日はもう少しサービスがよかったらとは思うけれど。それができていたら大いに助けにはなっていたはずね。イガが決勝でどんなふうにプレーするかは皆が知っている通りよ。彼女を倒すのは非常に難しい。ポジティブな部分を心に留め、今日足りなかった部分を強化する努力を積むわ」

　昨年に2度顔を合わせてして2勝していたジャバーは、通算の対戦成績で2勝3敗とシフィオンテクに勝ち越された。

　敗れはしたが決勝に進出したことで、ジャバーは大会後に更新される世界ランクでふたたび2位に浮上することが確実となった。今シーズンの彼女はオーストラリアン・オープンに出場できず、フレンチ・オープンでは1回戦で敗れ、ウインブルドンでは決勝に進出したが大会側がロシアとベラルーシの選手を排除したことを受けたWTA（女子テニス協会）の決断によりランキングポイントを付与されなかった。そのため他のグランドスラム3大会でほとんどポイントを稼げなかったにもかかわらず、彼女はこの2位の座を勝ち獲った。

　逆に言えば来季に稼ぐポイントがすべてプラスとなるだけに、ジャバーは既にシフィオンテクと世界1位の座を争うことを視野に入れている。

「バックハンドは元から堅固だったけど、イガはフォアハンドとサービスを大いに向上させた。フィジカル的にも秀でており、彼女はすべてのボールを返してくる。相手より1本多くボールを入れてくる選手と対戦するのは常に厳しいものよ」とジャバーはライバルを分析し、それから「でも彼女と競えるのは常に素晴らしいことだわ。彼女のことを好きじゃないと言ったのは冗談よ。彼女がロレックスの時計か何かをくれたら許してあげるわ」とジョークを飛ばした。

　次のターゲットとなる女子トップ8によるシーズン末のエリート大会「WTAファイナルズ」に目を向けたジャバーはいつもの笑みを取り戻し、「それは“ミニ・グランドスラム”のようなものね。あの大会でプレーすることをずっと夢見てきた。来季に向けて準備万端となる自信を築くために、あの大会に臨むかもしれないわ。私は来季に多くのものを見せられると感じているの！」と抱負を述べた。