「シングルスとダブルスのランキングを合わせたら、俺が世界一だ!」ニック・キリオス特別インタビュー

オフコートではエアジョーダン1シリーズを履いていたニック・キリオス(オーストラリア)(写真◎BBM)


 楽天ジャパンオープンのために来日したニック・キリオス(オーストラリア)にインタビューを行った。グランドスラム優勝への思い、ダブルスを戦う理由などを語った。

――ウインブルドン決勝で負けたとき、君はビッグ3であることがどれほどタフなのか理解したと言った。

「ああ、言った」

――そこで一番タフだと感じたのは何? また、グランドスラム決勝に届いたことで、優勝に大きく近づいたと感じる? 

「今は自分がグランドスラムを勝ち獲れると確信している。若いときも勝てるとは思っていた。でも、そんなに簡単じゃなかった。フィジカル、メンタル面で何が必要なのか、わかっていなかった。最初の数年は3回戦を突破することもできなかった。トレーニングが足りず、テニスと向き合う真剣さが足りなかった。でも今は、この1年半はしっかり練習にも真面目に取り組んでおり、自分のプレーのすべての要素にしっかり取り組んでいる。ウインブルドン決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)に負けたとき、ファーストセットは素晴らしいプレーをしていた。優勝までかなり近づいていた。今はメンタル的には、どんな試合でも勝てると思っている。多くの5セットマッチも潜り抜けてきた。だからこそ、USオープンは大きなチャンスだった。あの敗戦では本当に酷く傷ついた。ダニール・メドベージェフ(ロシア)を倒したことで、自分が一番優勝に近い存在だと思っていた。今はオーストラリアン・オープンを待つしかない。いい状態、プレーの調子をそこまでしっかりキープして臨みたい。そのために、いま自分はすべて正しいことをしていると思う。確実にグランドスラム大会で優勝できると思うが、次の大会まで待たなければならない」


2回戦勝利後、サインボールをスタンドに打ち込むニック・キリオス(オーストラリア)(写真◎BBM)

――グランドスラム大会以外はあまり重要ではないという発言があった。

「1年間の中にATPマスターズ1000など大きな大会はグランドスラム大会以外にもたくさんある。しかし、結局人々の記憶に残るのはグランドスラム大会だけだ。ロジャー・フェデラー(スイス)が残してくれたものを見ても、グランドスラムの重要性がわかる。フェデラーのことを話すときも、誰もが決まってグランドスラム大会の話題になるはずだ。俺はあれほど期待される中、USオープンで敗退したのは本当に胸が張り裂けそうだった。メドベージェフを倒したことで、かなり有利になったのにそのチャンスを生かせず、自分にがっかりした。カレン・ハチャノフ(ロシア)に負けたあと、直ぐオーストラリアに戻って数日後にはコートに立って、また厳しいトレーニングをしたよ。自分は今すべてにおいて正しい取り組みをしていると思う。今後もポジティブなマインドセットでプレーし、オーストラリアン・オープンがきたら、またチャレンジするだけだ。だからと言って、楽天ジャパンオープンを軽視していない。この大会は簡単にモティベーションが上がる。素晴らしいファンがいて、いい雰囲気だし、過去に優勝するなどいい思い出がたくさんある。優勝を期待されているし、グランドスラム大会と同様に重要な大会だ。ここにいてとてもエキサイティングだ。いつもカレンダーに印をつけている大会だ。グランドスラム大会を戦う機会は年4回しかない。だから、このような大会で優勝するチャンスがあることは重要なんだ」


公開練習で何度か股抜きショットを披露したキリオス(写真◎BBM)

――多くのファンを魅了してきたフェデラーが引退した。君も観客を魅了できる選手だが、テニス界のためにどんなことができると思う?

「フェデラーがまだプレーしていた頃から、この数年間も自分はテニスに新たなファン層を呼び込んできた。テニスの楽しみ、個性を見せてきた。それがとても重要なことなんだ。すべてのスポーツにはそれぞれの個性がある。俺のことを好きだろうが嫌いだろうが関係なく、個性を見せることが重要だ。俺は自分がいいと思うようにやっているだけ。自分のやり方で練習して、楽しいスタイルでプレーする。フェデラーにもそのような個性があったと思う。他のすべての選手とは違う個性的なプレーがね。俺自身も、誰にも真似できないスタイルだと思っている。そして俺にはまだ時間が残っている。今、歩んでいる道のりを今後も進み続けたい。それは即ち、いいプレーを続け、グランドスラム決勝に進出することだ。今後も挑戦し続けて、自分が望んでいる結果を手にしたい」


ダブルスでエンドチェンジの際にコキナキスと冗談を言い合うキリオス。雨天のため準々決勝は無観客のインドアコートで開催された(写真◎BBM)

――君はダブルスもプレーしているが、一般的にシングルスほど重要視されていないし、観戦するファンも少ない。でもダブルスにはシングルスにないスピード感があり、観戦するのが楽しい。ダブルス人気を高めるのに、どんなことができると思う?

「オーストラリアン・オープンで俺とタナシ・コキナキス(オーストラリア)がやったことを思い出してくれ。チケットは売り切れてスタジアムは満員に膨れ上がり、何千人ものファンが俺たちを観てくれた。今、俺自身ダブルスにも、シングルスにも大きな誇りを持ってプレーしている。もし、両方のランキング(シングルス21位、ダブルス13位※10月10日付)をくっ付けたら、俺が世界ナンバーワンの選手になる。俺はそこを目指しているし、誇りに思っている。ダブルス、シングルスで最高の選手になりたいんだ。シングルスのランキング、ダブルスのランキングを見て、両方で最高の選手であることを見ると、物凄くうれしい。メチャクチャ楽しいよ。それは小さい頃からやってきたことでもあるんだ。いつもダブルスもシングルスもプレーして育ってきた。そして観客にとってもダブルスは楽しいはずだ。展開がシングルスと違うし、早く、ラリーがスパッと早く終わる。1ポイントが短く、スリリングだ。ダブルスが今後大きく人気を伸ばす余地はいくらでもあると思う」


キリオスを支える彼女コスティーン・ハッツィとフィジオテラピストのウィル・メイアー(写真◎BBM)

――現在コーチをつけていないが、そのメリット、デメリットは?

「俺は、自分のプレーを誰よりもわかっている。自分の弱点からストロングポイントまで、性格、個性もすべてわかっているんだ。自分自身の生活からプレー面までしっかり管理できている。しかも、俺は自分に厳しい。自分が何に取り組めばいいのかよくわかっているから、他の人に言ってもらう必要がない。俺は周囲の誰よりも自分に厳しくすることができる。フィジオはフルタイムでつけており、ガールフレンドがいつも一緒にいる。この2人だけが、俺がいつも必要としている人たちなんだ。彼らは素晴らしく、俺を喜ばせる方法を本当によくわかっている。彼らと一緒に、楽しみながらやっている。それだけだ」

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取材◎池田晋

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