百戦錬磨のジョコビッチがマッチポイントを凌いで優勝、若き挑戦者コルダを称賛「君の未来は輝いている」 [アデレード国際1]

写真はマッチポイントを凌いで優勝を飾ったノバク・ジョコビッチ(セルビア)(Getty Images)


 2023年ATPツアー開幕戦のひとつとなる「アデレード国際1」(ATP250/オーストラリア・南オーストラリア州アデレード/1月2~8日/賞金総額64万2735ドル/ハードコート)の男子シングルス決勝で第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が22歳のセバスチャン・コルダ(アメリカ)に瀬戸際まで追い詰められながらも百戦錬磨のしぶとさで形勢を覆し、最終的に6-7(8) 7-6(3) 6-4で競り勝ち優勝を飾った。

 立ち上がりから主導権を握っていたコルダは5-4からサービング・フォー・ザ・セットを迎え、一時40-15としてセットポイントを握りながらもブレークバックを許した。コルダはもつれ込んだタイブレークでも6-4から数本のミスで追い上げられる若さゆえの揺らぎを見せたものの、最後は深いショットでジョコビッチのミスを誘って第1セットを先取した。

 この時点でのジョコビッチは観客席の弟など自分の周辺の人々に「出ていけ!」と叫ぶほどの苛立ちを見せていたが、元王者はそれでも崩れなかった。

 引き続き競り合いながら進んだ第2セット5-6からのサービスゲームで30-40とチャンピオンシップポイントを握られたジョコビッチはそのピンチでスマッシュを決めて凌いで何とかキープすると、ふたたび突入したタイブレークを危なげなくものにしてセットオールに追いついた。第3セットでは重要なポイントで相手が見せた詰めの甘さをジョコビッチが逃さず付け込み、決して楽ではなかった試合から勝者として抜け出した。

「素晴らしい1週間だったし、皆さんのおかげでさらに特別なものになったよ。ここに立っていること自体が僕にとって贈り物だ」とジョコビッチは表彰式で観客たちにラブコールを送った。

「今日だけではなくこの1週間を通し、トロフィーを手に入れるために僕は全力を尽くした。この10日間に受けたサポートは人生で何度も経験したことのないものだった。毎日試合を観にきてくれた皆さんにお礼を言いたい」

 試合の大部分でジョコビッチを圧倒する強さとポテンシャルの高さを見せたコルダだが、この日はここぞというときにアグレッシブさを欠いてメンタル面の未熟さと経験の差を露呈した。彼は第3セット4-5からのサービスゲームでも40-15とリードしながらダブルフォールトなどでジョコビッチに付け入る隙を与えてしまい、中途半端なグラウンドスマッシュをネットにかけるなどミスを重ねて相手を助けてしまった。

 あと一歩で金星を逃した若い挑戦者に対してジョコビッチはスピーチの冒頭で「君は素晴らしい大会を送り、今日も本当によく頑張った。今日は僕よりも君のほうが勝利の近くにいたと言えるかもしれない」と称え、「勝負は僅か1~2本のショット、1~2ポイントで分けられた。今日は不運だったかもしれないけど、君の未来は輝いている。だからそのまま進み続けることだ。君は驚くべき選手だよ。よくやった!」と励ましの言葉を送った。

 これに先立ち行われたダブルス決勝では、第3シードのロイド・グラスプール(イギリス)/ハリ・ヘリオバーラ(フィンランド)が第4シードのジェイミー・マレー(イギリス)/マイケル・ビーナス(ニュージーランド)を6-3 7-6(3)で倒してコンビ3勝目を挙げた。


男子ダブルス優勝のロイド・グラスプール(イギリス/左)とハリ・ヘリオバーラ(フィンランド)(Getty Images)

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写真◎Getty Images

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