10度の優勝を誇るジョコビッチがオーストラリアン・オープン準決勝で初黒星「自分のレベルにショックを受けた」
シーズン最初のグランドスラム大会「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦1月14~28日/ハードコート)の男子シングルス準決勝で、第4シードのヤニク・シナー(イタリア)が第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)を6-1 6-2 6-7(6) 6-3で倒してグランドスラム初優勝に王手をかけた。
序盤から主導権を握って2セットを先取したシナーは第3セットのタイブレークでマッチポイントを握ったが、ジョコビッチがそこから3ポイントを連取して1セットを奪取した。しかし反撃は続かず第4セット第4ゲームで相手のサービスゲームを破ったシナーが最初のサービング・フォー・ザ・マッチで迎えた2度目のマッチポイントをフォアハンドのウィナーで仕留め、一度もブレークポイントを与えないまま3時間22分で勝利を決めた。
シナーは決勝で、第6シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を5-7 3-6 7-6(4) 7-6(5) 6-3で破って勝ち上がった第3シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)と対戦する。
男子の最多記録となる10度(2008年、11~13年、15~16年、19~21年、23年)の優勝を誇る36歳のジョコビッチは2018年大会の4回戦を最後に同大会で負け知らずだったが、連勝は「33」でストップした。
54本ものアンフォーストエラーを犯して同大会の準決勝で初めて敗れたジョコビッチは、「自分のレベルに悪い意味でショックを受けた」と試合後の記者会見で語った。
「僕は最初の2セットでほとんど正しいことができていなかった。少なくとも記憶する限り、これは僕がグランドスラム大会でプレーした中で最悪の試合のひとつだ」
年頭の男女混合国別対抗戦「ユナイテッドカップ」でアレックス・デミノー(オーストラリア)に敗れたジョコビッチは今大会でも準決勝までの5試合で3セット落としており、ベストの調子とは言えない状態だった。
「正直に言って、大会を通してベストに近いプレーはできなかった。アドリアン・マナリノ(フランス)に対する4回戦はよかったかもしれないけど、ほとんどの試合で僕のプレーは平均以下だった。ここオーストラリアでいつもできていたようなプレーができなかった」
リターンの名手として知られるジョコビッチがグランドスラム大会で一度もブレークポイントを握れなかったのは、この試合が初めてだった。
「その統計が多くを物語っている。彼は非常に正確にサービスを打ち、それに続くプレーがとてもよかった。説明するのが難しいけど、僕がやった今日のテニスにはネガティブなことがたくさんある。リターンや動き、フォアハンドとバックハンドにも満足していない。彼はとても圧倒しており、サービスゲームで常に優位に立っていた」とジョコビッチは悔しさを滲ませた。
「彼は常にフォアバックの両サイドから本当にボールを強く叩いていた。とても素早く、アグレッシブにプレーするのが大好きだ。彼のサービスはかなりよくなった。うまくコースを突くしスピードもアップしたと思う」
「彼は以前から試合中に冷静だったけど、大舞台の重要な試合で勝つのに苦労していたと思う。でも今ではそれもうまくいきつつある。非常に経験があり世界1位になった選手を指導してきたダレン・ケーヒル(オーストラリア)の存在がメンタル面で大きな助けになっているはずだ」
2022年7月にチームに加わったケーヒル氏はシナーの大きな成長をサポートした功績が認められ、シモーネ・バニョッツィ(イタリア)とともに2023年ATPアワードの最優秀コーチ賞に選ばれていた。
写真◎Getty Images
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