元世界1位の大坂なおみとアザレンカがともに3度目のグランドスラム制覇を目指す [USオープン]
ある意味で、今の大坂はアザレンカが10年近く前にいた場所にいる。20代前半で世界ランク1位となり、すでに2度グランドスラム大会で優勝しているのだから。
「彼女の成功はかなり早かった。そうだろう? 彼女は突然、将来有望な選手から非常に成功をおさめたプレーヤーとなった。ふたつのグランドスラム大会を連続で獲り、たぶん3つ4つ続けて勝つことを考えていただろう。彼女はほとんどすべてで勝っていた」と大坂のコーチを務めるウィム・フィセッテ氏は語った。フィセッテ氏はかつて、アザレンカと一緒に働いていた。
「明らかにそれは若気の至りで、もしかしたら無敵であるかのように感じられる瞬間なんだ。ひょっとすると、物事をちょっぴり当然のように受け取ってしまうかもしれない。それは大きな間違いだと思う。期待を高くしすぎることになってしまうからね」
来たる土曜日には、22歳の大坂はプレーした7つのグランドスラム大会で3度目の優勝を目指すことになる。そして31歳のアザレンカは、2013年のフラッシングメドウ以来となるグランドスラム決勝に挑む。彼女は2012年と13年のオーストラリアン・オープンで優勝し、同じ2年にUSオープン決勝でセレナに敗れていた。
過去の栄光の時代を振り返り、アザレンカは当時の自分自身を「私は若く、私のエゴは大きすぎた」と表現した。
「どこからともなく現れて世界1位になった暁には、ときどき自分は無敵で他の誰よりも優れているのだと考え始めてしまうものなの。そしてそれは真実じゃないわ。私はそのような思い上がりを取り除き、自分のミスから学ぼうとした。テニスプレーヤーであるということは自分を他の誰かより優れた存在にする訳ではないのだ、変わらない人間なのだということに気付くことによって成熟するものだと思うわ」
彼女は母になるため、少しの間ツアーから離れた。彼女の3歳の息子レオはここ2大会の間、ロングアイランドに借りたプライベートの家で彼女と一緒に過ごしている。アザレンカはこの連勝に至る前、コート上では丸1年の間1試合も勝てなかったことをはじめとする厳しい時期があった。
「彼女はそのキャリアで、多くのどん底を経験したわ。そして彼女は今、多くの高みを経験し始めたのよ」とアザレンカのよき友人であるセレナは彼女が乗り越えてきた苦しみについて話した。
「正直に言って、彼女がどうやって前向きな気持ちを保っていたのか私にはわからないわ。私たち皆にとって、これはよいレッスンよ。例え何があったとしても、人はとにかく前に進み続けなければならないの。彼女が自分の夢を生き続けられるよう願っているわ」(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
※写真は大坂なおみ(日清食品/左)とビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)(Getty Images)
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