31回目の姉妹対決はセレナの逆転勝利、8強が出揃う [トップシード・オープン]
WTAツアー公式戦の「トップシード・オープン」(WTAインターナショナル/アメリカ・ケンタッキー州レキシントン/8月10~16日/賞金総額22万5500ドル/ハードコート)の女子シングルス2回戦で、第1シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)がビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)との31度目の姉妹対決を3-6 6-3 6-4で制してベスト8進出を決めた。
試合が始まる前にウォームアップエリアでビーナスがセレナの横を通り過ぎたとき、ふたりの間には何の言葉の掛け合いもなく、視線すら交わらなかった。その少しあと、ふたりはともに顔をマスクで覆った姿でコートへと向かった。セレナのマスクは豹柄のプリントで、ビーナスは空色の医療用マスクだった。
そして彼女たちはふたりの登場を喜ぶ観客たちの歓声の代わりに、基本的に静寂によって迎えられた。ファンファーレがなかった理由は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが起こってからアメリカ合衆国で開催された初のツアー公式戦は無観客で行われているからである。
しかし試合が始まればストロークの強打やビッグサーブが炸裂し、すべてが普通通りであるように見えた。セレナは最初の姉妹対決から22年半が過ぎていたこの日、挽回して最後の4ゲームを取って姉のビーナスに勝った。
コートの後ろにあるフェンスの下の隙間から試合を覗くため、地面に横たわっている人々の姿が見えた。
「ウインブルドンやUSオープンのスタジアムでよりも、リラックスした気分になったことは間違いないわ」とセレナはコメントした。彼女は今や、この姉妹対決の戦績において19勝12敗でリードしている。「それでも、練習コートのようではないわね」。
試合が終わったとき、姉妹はお互いのラケットを軽くタップした。ソーシャルディスタンスの規則により、握手や抱擁は禁じられていたからだ。もうひとつ時代を表していたことは、ベースラインの後方に「Black Lives Matter(黒人の命は重要だ)」のステンシルが張られていたことだろう。
それは一方が抜け出したように見えたあとに、もうひとりが追いつくというシーソーマッチだった。間違いなくそれは、戦いの雰囲気に溢れていた。第1セットでセレナは、オーバールールでビーナスにエースを与えた主審の判定に疑問を投げた。
「これは真のポイント、真の結果を伴う本当の試合だったわ」とビーナスは語った。彼女はグランドスラムにおいて、妹セレナの「23」より16少ない7つのタイトルを保持している。
試合開始後にセレナはすぐにブレークして2-0とリードしたが、ビーナスが5ゲーム連取で勢いに乗って第1セットを先取した。それからセレナが体勢を立て直し、第2セットを取り返した。
32度を超える暑さと高い湿気のためヒートルールが適用され、第2セットのあとには10分の休憩があった。ビーナスはそれを利用してコートを離れたが、セレナはコートに留まった。
第3セットはビーナスが3ゲームを連取して4-2とリードしたが、言うまでもなくセレナは巻き返した。ビーナスの11本のダブルフォールトにも助けられたセレナは、12本のラリーの末にダブルスアレーからバックハンドのランニングショットをダウン・ザ・ラインに叩き込んで5-4とリードするブレークに成功した。
「ただ私は、そこで時間切れになってしまった…。そんなふうに感じられたわ」とビーナスは自己分析した。
ビーナスは40歳で、セレナは来月39歳になる。これは2004年に47歳だったマルチナ・ナブラチロワ(アメリカ)と31歳のエイミー・フレイジャー(アメリカ)がプレーして以降、対戦した2選手の合計年齢がもっとも高いWTAツアーの試合だった。
セレナは金曜日の準々決勝で、ワイルドカード(主催者推薦枠)で出場したシェルビー・ロジャーズ(アメリカ)と対戦する。ロジャーズはこの日、センターコートの最後の試合で予選から勝ち上がってきた17歳のレイラ・フェルナンデス(カナダ)を6-2 7-5で退けた。
そのほかの試合では、ジル・タイヒマン(スイス)が第5シードのユリア・プティンセバ(カザフスタン)を6-2 6-2で、キャサリン・ベリス(アメリカ)はジェシカ・ペグラ(アメリカ)を6-3 6-2で破り、勝ち上がった両者の準々決勝での対戦が決まった。(C)AP(テニスマガジン)
※写真はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ/左)とビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)
LEXINGTON, KENTUCKY - AUGUST 13: Serena Williams (L) and Venus Williams touch rackets after Serena Williams defeated Venus Williams 3-6, 6-3, 6-4 during Top Seed Open - Day 4 at the Top Seed Tennis Club on August 13, 2020 in Lexington, Kentucky. (Photo by Dylan Buell/Getty Images)
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