6限目_森 稔詞コーチ「『時間』を制して、ラリーで勝つ!」

2015年7月26日(日) 開催の第34回テニマガ・テニス部「夏季特別集中レッスン|6限目」は、森稔詞コーチがストローク強化を担当。テニスは自分のミスを減らし、相手にミスをさせるスポーツ。今回の部活で行ったラリー練習は、「時間の奪い合い」を意識した。ミスを減らすには自分の時間が多いほうがいいわけで、相手にミスをさせるには時間を奪う必要がある。それを念頭に置きながら、読み進めよう。【2015年10月号掲載】

構成◎編集部 写真◎BBM 協力◎亜細亜大学テニス部

夏季特別集中レッスン|6限目|徹底的にラリー練習

『時間』を制して、
   ラリーに勝つ!

講師◎森 稔詞

もり・としつぐ◎1969年12月22日、大阪府生まれ。亜細亜大学時代の90、91年にインカレ連覇、92年全日本選手権複優勝。大学卒業後はプロとして活躍し、94年全日本室内選手権優勝。現在は亜細亜大学 学生生活課所属 テニス部コーチとして後進の育成・強化にあたる。07年度ユニバーシアード日本代表監督。

LESSON 1|3人1組になりテークバックをチェック!

“早いテークバック”で
自分の時間をつくる

 テニスは自分のミスを減らし、相手にミスをさせるスポーツです。今回のラリー練習で意識してもらいたいことは「時間の奪い合い」。ミスを減らすには自分の時間が多いほうがいいわけで、相手にミスをさせるには時間を奪う必要があります。それを念頭に置きながら、レッスンに入りましょう。

 最初のテーマは「自分の時間」をつくることです。これを解決するために一番初めに取り組むべきことは、テークバックを早く完了させることです。これにより、時間に余裕が生まれ、“相手を見る時間”が増えます。相手を見ることができれば、次にどのようなプレーをしてくるかという“予測”ができるようになり、自分のミスも減ります。

PRACTICE|3人1組でテークバックをチェック

 3人がひとつのグループとなり、ひとりがテークバック、一人が左右に指示を出す役で、最後のひとりがテークバックする人のフォームをチェック。プレーヤーは、指示が出た方向に素早くターンし、後ろでチェックする人は「テークバックが遅いのか、早いのか」を見て、アドバイスをします。

レディポジションからスプリットステップを踏み、持っている棒が地面と平行のままターンできているかをチェック

ターンは90度くらいひねるのが理想。ターンした後も顔は前を向く。テークバックしたときに膝が極端に落ちるのは間違い。×のように膝を曲げすぎると、顔の上下動が大きくなり、飛んできたボールをラケットで正確にとらえづらくなる

SET UP|慣れたら棒→ラケットへ

 レッスンの最初は棒を両肩にかつぎ、「肩」と「体幹」で平行にターンする感覚を身につけました。それが形になったら、ラケットを持って同じ練習をします。ラケットは手で引くのではなく、前に出る肩でテークバックを行うイメージです。手や腕でラケットを動かさないこと。膝と腰、肩のラインが平行になったままターンします。

LESSON 2|ボールを打った後にパートナーのサインを見る

LESSON 2|ボールを打った後にパートナーのサインを見る

相手を見て自分の時間をつくる

 相手がボールを打つところが先にわかれば、ボールの落下点に早く入ることができ、正確なショットが打てるようになります。このコースの予測ができるようになれば、次のプレーを考える時間も増え、自身のミスも減らすことができます。

 テニスという競技はゴルフのように、ボールが止まった状態のままプレーできるわけではありません。飛んでくるボールや打ったボールにも「時間」が存在し、これを瞬時に状況判断することで、プレーの精度を高めていきます。ボールばかり見てしまうと、自分の時間がそれだけなくなることも覚えておいてください。

 早いテークバックができるようになったら、次は“予測の練習”をします。プレーをしながら、相手を見ることができれば、次の展開がわかります。相手の情報を常に入手しながら、深追いする必要のない“余分な情報”を排除することで、次のプレーがより明確となり、時間に余裕が生まれるのです。

PRACTICE|打球後に相手のサインを見る

 球出ししたボールを打つ直前に、パートナーが手で「パー」か「グー」(レベルに合わせて「チョキ」も追加)のサインを出します。プレーヤーは打球直後に打ったボールを目で追わずに、パートナーのサインをチェック。どちらか判断したらサインを声に出します。この練習では、相手コートの対戦相手を見る癖がつき、プレー中の視野の広さ、予測する力が身につきます。

サインを出す人はその場にいる必要はない。動きながらサインを出すのもOK。動くことでより試合に近い状況となる

Check!Point|レディポジションとスプリットステップで情報を正確に把握しよう!

 時間をつくるには早いテークバックのほかに、打った後のリカバリーステップやスプリットステップなどのポイントがあります。これらが遅くなると、次への動き出しも遅れ、自分の時間を失ってしまうのです。レディポジションとスプリットステップのときに、相手やボールを正確に見ることで自分の時間をつくりましょう。

サインを見る練習は相手の行動を把握することだけ考えてはダメ。ボールと相手、コート全体を見られるようにする。そのためにはまずレディポジションとスプリットステップを正確に行うことがカギ

LESSON 3|手出しで3つの打点を理解する

LESSON 3|手出しで3つの打点を理解する

ボールの打点を変えて、
時間をコントロールする

 相手から時間を奪うには、ボールの「打点を変える」のも戦略のひとつ。これは、日本人プレーヤーが苦手としているものです。多くのプレーヤーは、得意とする打点を「ひとつ」しか持っておらず、指導者からは「同じところでボールを打て!」と教え込まれているのが現状です。

 相手から時間を奪うラリー練習は、上写真のように3つの打点でボールを打つ方法があります。打点にあえて高低差をつけることにより、相手のリズムを狂わせるのが目的です。このように、打点をその都度変えていきながら、ラリーをすることは重要です。意識して打点を変えることにより、相手とポイントの駆け引きをする術を学んでいきましょう。

PRACTICE|①上がり際 ②頂点③落下の打点でボールを打ち分ける

 レッスンでは、手出しからそれぞれの打点で正確にボールを打てるかをチェック。基本の打点は、落下しているボールを打つものですが、これ一辺倒だと相手は同じリズムで居心地のいいラリーが展開できるだけです。そこで、ボールの上がり際(ライジングショット)とバウンドの頂点を叩くように意図的に練習しましょう。

クルム伊達公子選手が得意とするライジング。この打点でボールを打つと、相手がポジションをリカバリーし終える前に、コートの空いたスペースに打つことができる

錦織選手の「エアケイ」もこの打点でラケットに当たる。ライジングと同様に相手の時間を奪うことができる。ただ、両ショットともに落ち際と比べ、トップスピンがかけづらく、ボールがコートをオーバーするミスも増える

Check!Point|ライジングショットを身につける

 ライジングショットは、3つの打点の中でもっとも難しい技術です。ボールに対して軸足をセットする“タイミング”が重要となります。ライジングで打つと決めたら、身体をターン(テークバック)させながら、落下点を予測し、軸足をしっかりと決めてから、ボールの上がり際をコンパクトなスイングで打ちます。

テークバックが遅く、スイングも大きいままだと窮屈な状態に

LESSON 4|ルールを設けてストレートラリー

LESSON 4|ルールを設けてストレートラリー

「打点」と「球種」を変えて、
相手のバランスを崩す

 選手がプレーを変えると、相手もプレーを変えなければならなくなります。ここからは打点の変化だけでなく、「球種」も変化させたストレートのラリー練習を行います。

 球種の変化とは、無回転、順回転(縦スピン)、逆回転(バックスピン)などを指します。これらをラリー中に織り交ぜることで、相手のラケットのスイートスポットをうまく外すことができ、エラーを誘い出すことができます。

 この球種にも「時間」が存在します。目安として無回転の速いボールは、相手から時間を奪うことができ、順回転は時間こそ無回転と比べて遅いものの、ボールのバウンドが大きく弾むため、相手のミスを引き出すメリットもあります。逆回転のスライスなどは、滞空時間が長く、自分の時間をつくることができ、ボールが滑ることによって、相手を低い体勢でプレーさせることができます。

 球種を変えることは、相手の時間を狂わせ、ミスを誘うために重要なファクターなのです。

PRACTICE|ストレートラリーにルールを設ける

ルール1「打点の確認」

 片方のプレーヤーは必ずライジングで対応し、もう片方はボールの落ち際でボールを打つというルールを設けます。ライジング側は、相手コートに早く返すことになり、相手から時間を奪うことになります。ボールの落ち際(トップスピン側)は、ボールをインパクトするまでの時間が長いため、相手よりも回転量の多いスピンをかけて返球します。当然、スピン量を増やすことによって、ボールの軌道を高く、相手コートの深いところを狙います。

ルール2「球種の指定」

 片方はトップスピン、もう片方はスライスでラリーするルールを設けます。トップスピン側は、相手のスライスに対応するため、低い体勢でボールを下から上へ打つことになります。先に説明した打点の変化で言えば、ライジングや頂点の位置でボールをとらえ、相手のスライスに対抗します。スライス側は低くて遅いボールを打つことで、相手の好きな打点で打たせないようにします。ただ、スライスはボールが浅くなると相手に待たれて攻められることも注意しましょう。

SET UP|スピンとスライスを交互に打って、相手の打点を上下させる

 ルールを決めてラリー練習するときに、片方がトップスピンとスライスを交互に打って、相手のミスを誘うものもやってみましょう。ゲームでいうところの球種の変化による「緩急」がこれに当たります。これを試合で使うと、相手のレベル、緩急への対応など、多くの情報を引き出すことができます。

第34、35回テニマガ・テニス部参加者の皆さん

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