10の戦術的ミスとそれを避ける方法_vol.02_トッププレーヤーたちの失敗に学ぶ
戦術的ミス|6|
ボールのプレースメントでラインぎりぎりを
狙いすぎる/狙わなすぎる
「ラインぎりぎりを狙え」と
選手にアグレッシブに
プレーさせたホップマン
オーストラリアの伝説的コーチであるハリー・ホップマン。かつてホップマンがデビスカップの監督だった頃、教え子たちに「ラインぎりぎりを狙って打て!」とよく言っていたものだ。このアドバイスは、選手たちの自信を鼓舞し、アグレッシブにプレーさせ続けることを意図したものだった。
1952年ウインブルドンにて、ハリー・ホップマンを囲むオーストラリアの選手たち。左からメルビン・ローズ、ケン・ローズウォール、ケン・マクレガー、ホップマン、ルー・ホード。ホップマンはオーストラリアチームのみならず、世界のテニス界を牽引した伝説的な名コーチ。彼の元で多くの選手、コーチたちが学んだ
世界トップクラスのプレーヤーは、ボールを並外れた正確さで狙った場所に打つことができる。この正確さは、一流のストローク技術やフットワーク、正確なタイミング、コート上での自らのポジションと、その結果として生じる各ショットのコースの選択肢の認識などを含めた、いくつかの要因からきている。
2つの戦術的ミス
第一にセンターに
打ち過ぎること
しかし、レベルの低いプレーヤーは一般的に言って、ショットのプレースメントに関して、2つの戦術的ミスをおかしがちである(イラスト①②参照)。
×の例|①対戦相手とコートのセンターで打ち合うこと、②サイドラインぎりぎりを狙ってアウトすること
第一に、彼らはあまりに多くのグラウンドストロークとボレーを、コートを縦に3分割したときの真ん中3分の1の範囲に打ちすぎなのだ。センターにボールを打つというのは、2人の対戦するプレーヤーが唯一協力し合って行うウォームアップのときだけのこと。試合が始まったら、あなたは相手と戦っているのだから、ミスを強いるためにコートの外側3分の1ずつも使ってボールを散らし、相手をへとへとに疲れさせ、精神的に参らせなければいけない。
2つの戦術的ミス
第二にラインぎりぎりを
狙いすぎること
第二の戦術的ミスは、前述の内容と正反対のことと言える。ボールをサイドラインに近すぎる位置に打とうとし、不必要で損失の大きいミスをおかすことにある。一般的に言って、サイドラインとベースラインから、少なくとも90㎝は内側の仮想コートを狙って打つようにしたい。
このルールの例外は、2つの極端な状況においてだけ当てはまる。プレッシャーをかけられ、針の穴を通すようなパッシングショットを打たなければならないときには、サイドラインから60㎝、ときにはさらにラインに近い位置を狙って打つべきだ。そして相手が弱いショットを――柔らかで浅く、コート中央辺りに――打った場合には、あなたが必要な技術を持っているという条件付きで、サイドラインから90㎝未満の位置を狙って打ってよいだろう。これらの場面はそうする必要がある。(続く)
コートの中央での打ち合いはウォーミングアップのときだけだ。試合ではコート全面を使って相手を疲れさせ、ミスを強いることが重要
○の例|サイドラインとベースラインから、少なくとも90cmは内側の仮想コートを狙って打つようにしたい
相手にミスを強いるためには、ボールを散らして相手を走らせてへとへとに疲れさせ、精神的に参らせなければいけない。ただし、サイドラインを狙いすぎて不必要で損失の大きいミスをおかしてはならない。
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