マルティナ・ヒンギス流「両手打ちバックハンド」のカギはバランスにあり!


私が考えるバランスとは❷

状況に応じたスタンスをとる

 飛んでくるボールによってスタンスを変えます。私は、コーチの立場で若い選手を指導するようになり、そのことを実感しました。どんなボールかに関わらず「このスタンスで打たなければいけない」という意識が強すぎて、フォームを崩してしまっている選手が多いように思いました。ボールに合わせたスタンスでなければバランスはとれません。先に説明した「プレーの読み」と「状況判断」、そして「打球するための準備(バランスを整えるということ)」を考えて、ボールに対してどのスタンスが適切なのかを探ってほしいと思います。

 バックハンドでのベーシックなスタンスは「セミオープンスタンス」か「クローズドスタンス」ですが、ディフェンス時にはしっかりと構える時間がないため、身体を開きながらでも遠くのボールをカバーできる「オープンスタンス」を使います。逆に、しっかり構える余裕があるボールに対しては非常に攻撃的なショットを打ちたいので、身体を閉じて打つ「クローズスタンス」を使って、重心を前に移動しながらボールを打ちます(重心はスタンス内で動くことがバランスを保つポイント)。 「セミオープンスタンス」は、コートカバーリングの広さと力強いショットが打てるという2つのメリットを持つスタンスと言えます。特にダウン・ザ・ラインへのショットに効果があり、そのショットは相手の時間を奪うことができるのでたいへん効果的です。私はその状況下ではセミオープンスタンスでバックハンドを打ちます。

「オープン」「セミオープン」「クローズド」3つのスタンスを状況に応じて使い分ける

セミオープンスタンスで打つ両手打ちバックハンドのダウン・ザ・ライン

 セミオープンスタンスで打つ両手打ちバックハンドは、コートカバーリングの広さと力強いショットが打てるため、ショットそのものの威力もあり、なおかつ相手の時間を奪うこともできるのでたいへん効果的とヒンギス。

▼時間がある場合=セミまたはクローズドスタンス

しっかり構える余裕があるボールに対しては(オフェンスの状況では)、攻撃的なショットを打ちたいので身体を閉じて打てる「クローズスタンス」を使い、重心を前に移動しながらボールを打つ(重心はスタンス内で動くことがバランスを保つポイント)

時間がある場合=セミまたはクローズドスタンス

▼時間がない場合=オープンスタンス

しっかり構える余裕がないボールに対して(ディフェンスの状況では)、身体を開きながらでも遠くのボールをカバーできる「オープンスタンス」を使う

時間がない場合=オープンスタンス

ヒンギスからプラスワンポイント|PLUS ONE POINT

スタンスから想定される次のプレーを読んで
相手の動きの意表をつく

 オープンスタンスは、主にベースライン上かそれより外のポジションでディフェンス的に使います。セミオープンやクローズドスタンスは、主にベースライン上かコートの中のポジションで、オフェンス的にパワフルなボールを打つケースに使います。

 このことは基本的な考え方であって、ほとんどのプレーヤーが認識していることです。そこで、この考え方をもとに相手のバランスを崩すための「意表を突くプレー」のやり方を紹介します。

 相手がコート外のポジションからオープンスタンスを使ってバックハンドを打とうとしているとき、相手は守備的な状況にあるためセンターへリカバリーしようとします。その際、あなたは「ドロップショット」を打ちます。相手のスタンスをよく見て、相手が次にしようとしていることを読んで、その裏をかくのです。これはとても効果的です。

相手のスタンスや状況から次のプレーを読んで、例えばドロップショットを打つ

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

Pick up

Ranking of articles