マルティナ・ヒンギス流「両手打ちバックハンド」のカギはバランスにあり!
私が考えるバランスとは❸
スイング時の力の伝達は
右手→両手→左手
インパクト以降は左手主導で、それが「方向性」を決定
バックハンドのスイングは、テークバックからフォロースルーまでの“両手の使い方”が重要です。
テークバックからインパクトの直前までは右手主導(右利きの場合)で、インパクト時は両腕で力強くボールをミートし、インパクト以降は左手主導でフォロースルーを完了させます。ストロークは体のひねり戻しを使うとともに、その中で両手の間で力の伝達があります。両手打ちバックハンドは、ただ腕で打っているだけではなく、手の力のかけ方にも状況に応じたタイミングのとり方があります。
両手打ちバックハンドは、特に左腕を使ったフォロースルーが重要です。例えばクロスに角度のあるショットを打つ場合は、左手がコントロールやショットの方向性を決め、その力加減(または動き)でショットの深さや角度に変化を与えます。左手の役割は“ディレクション(方向性)”にあります。正確なショットを打つには、この左手の重要性を認識しましょう。
私はスイングするときに体重移動も意識しています。軸足(右利きの場合は左足)を決めて重心を置いて、どのタイミングでそれを右足に移行させるか、そして、どのタイミングで向かってくるボールをとらえるかがポイントです。
ここでも「バランス」がとても大切で、相手がどんなボールを打ってきたかによって、体重移動のスピードや重心の位置も変わってきます(重心はスタンス内で移動します)。
相手がスライスを打ってきた場合、それはリズムや打点の高さを変えるために使ってきます。低い弾道で滑ってくるボールに対しては、ラケットを下から上へと振り上げなければなりませんから、当然ながら重心は低くなります。そして、体重移動のタイミングもチャンスボールのような高くて早い打点で打つボールと比べるとかなり遅くなり、より下半身の力を意識してスイングすることになります。
テークバック時は右手主導体をひねると同時に右手主導でテークバック
インパクト時は両手で、両手の力を使って、ボールにパワーを与える
フォロースルー時は左手主導、左手の力を使って、ボールをコントロールする
▼ボールに合わせて、体重移動のタイミングも変化させる
相手がどんなボールを打ってくるかによって、体重移動のスピードや重心の位置も変わってくる(重心はスタンス内で移動)。低いボールに対しては膝を使って重心を下げて、体重移動のタイミングも遅らせるとバランスが保てる
ボールに合わせて、体重移動のタイミングも変化させる
ヒンギスからプラスワンポイント|PLUS ONE POINT
テークバック時の
手首の角度は約90度です
テークバック時の右手とラケットがつくる手首の角度はほぼ90度で、この角度をキープすることがとても大切です。そうするとテークバックが安定し、その後の手の使い方(右手→両手→左手)もスムーズにいきやすいと思います。これはナダルやジョコビッチも実践しています。
ヒンギスからメッセージ|Message from HINGIS
いろいろなボールに対応する中でバランス感覚を養いましょう!
私はコーチとしての経験がまだ浅いので、「バランス」を説明するときにいつも悩んでしまいます。「もっと速いボールを打って」などのアドバイスはできますが、「バランス」を言葉で表現することはとても難しいものです。それは私がまだ小さい頃につかんだ感覚でもあり、どうやってつかんだかを思い出そうとがんばっています(笑)。
テニスを始めた頃は、テニスクラブが開く時間になると友達と一緒にコートへ向かい、一日約5~6時間は練習していました。その中で得たものは多く、テニスの楽しさはもちろん、状況に応じた打ち方を選び、戦術の面も学びました。子供たちにはもっと多くの練習をこなしてもらいたいし、様々な相手と、様々なボールを、様々なサーフェスで打ってもらいたい。そうすると状況判断や相手の傾向なども学びとることができるようになります。それはみなさんにも学んでほしいし、実行してほしいことなのです。
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