コーチのマリアン・バイダが語る強さの理由「覚醒したDJOKER〜ノバク・ジョコビッチ」

フレンチとウインブルドン、両方のタイトル獲得もある

ーージョコビッチのゲームはアガシのゲームに似ていますか? ふたりともパワフルなストロークでどんなボールをも返球し、粘るプレーヤーですから。

「そうだね。でも彼らのゲームと戦術を比較するのは難しいね。アガシには偉大なストロークがあり、まるでボクサーのように、四六時中、ボールを強打していた。彼はパンチを受けると、さらに多くのパンチを返していた。アガシは比類のないプレーヤーでもあった。そして90年代には、若干の類似点があるものの、異なる種類のゲームがあったが、現在は、これまでにも増してベースライン主体のテニスであり、サーブ&ボレーのテニスはないからね」

ーー成功は自信を生み出します。あなたはジョコビッチのメンタル面の進歩をどのように評価しますか?

「彼は穏やかになったし、今では自信がついているが、武器に恵まれているものの、まだまだ取り組むべき弱点もある。だが今ではよりオールラウンドなプレーヤーになり、自分のゲームをかなり信じている。人間的に大人になることが彼のゴール達成に助けとなったのだろう」

ーー彼はコート以外でも人間として成長していますか?

「ああ、もちろん。彼は自分の決定に責任を感じ、自分の決定の結果をより理解するようになった。プライベートな生活では物事をうまく計画し、ノートに毎日、すべきことを書き留めている。彼はかなり集中するが、またうまくリラックスもする。ゴルフをするのが好きだし、友達と話すのも好きだ。彼は人々が喜びそうな冗談を言う(笑)。中には彼のことを“DJOKER”と呼ぶ人もいるが、それはいいニックネームじゃないかな」

ーージョコビッチとマレーは2007年から昨年にかけて、フェデラーとナダルに次ぐ3番手を演じてきました。ジョコビッチは今年のオーストラリアン・オープン決勝でマレーに圧勝しましたし、驚異的にいいプレーをしてきましたが、一方でマレーはひどく下降しています。このふたりの間のもっとも大きな差は何でしょうか?

「グランドスラムの大会では、14日間すべてに集中していなくてはならないから、それはかなりハードなことだ。ノバクはそれにうまく立ち向かうことができた。ところがアンディがオーストラリアン・オープン決勝を戦ったとき、まるで彼はコートにいたくないかのようだったよ。第1セットは接戦だった。でもノバクは最初から気合が入っており、実に最高のテニスをしていたと思う」

ーージョコビッチはサーブ&ボレーすることはほとんどありません。彼のサービスとボレーは両方とも改善されているのですから、彼の進歩の次なる段階として、グラスとハードコートではサプライズとしてサーブ&ボレーを時々することをお考えですか?

「それはいい質問だね。そう。彼はボレーをもっと頻繁にしようとすればできるだろうが、ハードコートは幾分スローなので、しないだろう。しかしグラスは別だ。そうできればいいと願うね。ウインブルドンに対して、ノバクがそのオプションを持ち、もっと頻繁にネットに出る自信があったらいいなと思う。たぶん彼はUSオープンのハードコートではそうできるだろうと思う。あのハードコートはいくらか球足が速いからね」

ーージョコビッチはフレンチ・オープンとウインブルドンの準決勝に2度、到達していますが、クレーはジョコビッチにとってあまり成功しているサーフェスではありません。フレンチとウインブルドンでは第2シードとして、今年はどのような活躍が予想されますか?

「何も予測していないが、我々の希望は高い。彼はどちらかのグランドスラムを獲りたいと思っているだろう。それには今現在、いい準備をしているかどうかが問題であり、またどの前哨戦に出場するかの選択が問題だ。フレンチとウインブルドンの両方で優勝することもあり得る。彼の心の内は、両方の大会とも、優勝するチャンスは等しくあると考えており、両方のサーフェスが好きだが、現在の彼にはクレーの方がいいだろう。もうひとつ有利なことは、ようやくノバクは第2シードになりそうだから、そうなればナダルとフェデラーの両方を破らなくてもいいことになる」

ーー今年、ジョコビッチが残り3つのグランドスラムのタイトルを獲得したら、驚きますか?

「いや!(笑)。彼にはその能力があり、メンタル・ゲームになっても勝負強いからね」

「第2シードが付くのは有利だ。ナダルとフェデラーの両方を倒さなくていいから」(マリアン・バイダ)

フレンチ・オープン制覇も夢ではない。それは世界1位への挑戦でもある

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