ジョコビッチを育て上げた名コーチ、エレナ・ゲンチッチのテニスレッスン「テニスは『足』と『頭』で戦うスポーツ」

必要でないショットはひとつもない。
すべてのショットを練習すること。

Lesson START! レッスン開始

Drill1|例①…フォアハンド&バックハンド

内容 ゲンチッチがAのフォア(クロス)に球出し(①)。Aはストレートへ打つ(②)。Bはそのボールをクロスへ返球(③)。Aはそのボールをストレートへ、Bはそのボールをクロスへ(と続く)。

ポイント ボールを落とさないでライジングで打つ。ボールが浅い場合は前に踏み込んで打つ。早く動く。深さとタイミングに注意。

ミスで終わらせないように

「メニューの途中で、ジュニアがミスをしたとき、そこで終わらせては(次の人にチェンジしては)いけません。なぜなら、身体がミスを覚えてしまうからです。すぐにボールを出して、ふたたびトライさせ、成功に導きましょう。そのときにはミスを出したボールと同じようなボールを出してあげることです」

取材メモ「自分で考え、自分で動く」

 ゲンチッチのレッスンは通訳を通して行われた。細かい説明がないため、ドリルの内容について、参加したコーチたちは、どこに立って、どこに打ってと、詳細がわからずに戸惑っているようだった。しかし、ゲンチッチはお構いなしに、どんどんとボールを出していく。時折、英語にセルビア語を交えて声を発するが、よく聞き取ることができない。

「デモンストレーションをするなど、ドリルの詳細を説明したほうがいいのでは」とゲンチッチに聞くと…、「自分で考えてやることが大事。こうしろ、ああしろ、ここに打て、では意味がありません。練習の意図をつかんでいれば、次第にわかっていくはずだから。慣れてきたら、自分で考えて動くもの。やっていることは、試合ですべて必要なことなのだから」

Drill2|例②…アプローチ&ボレー

内容 ゲンチッチがAのフォア、バックと交互に深く球出し(①)。その中で(3~4球目あたりで)短いボールを出すので(②)、Aはそれを叩いて前へ出る(③④)。Bはそのボールに対してパッシングショットを狙う(⑤)。返球できずに途切れたら、ゲンチッチがAに球出しをするので、それをボレー。

ポイント ボレー単独の練習ではなく、その前のショットを必ず入れて、最後にボレーに結びつける練習。ネットに詰めたら、ドロップボレーなども織り交ぜて。

Drill3|例③…ストローク→ネットプレー

内容 ドリル②の応用。ゲンチッチがAのフォア、バックと交互に球出し。Aは力強いストロークを放ち続けること。それを4球行なう。しっかりと打てていたらゲンチッチが短いボールを出すので、それを叩いて前へ出る。以後はドリル②と同じ。Aはネットに出たらゲンチッチからの球出しをフォア、バック交互に4本ボレー。

ポイント Aはただ返すのではなく、Bの返球が浅くなってしまうような力強いショットを打つこと。ミスをしたら短いボールは出ず、1球目からやり直し。最後のボレー4本もドロップボレーなどアイディアを使う。

熱心にメモを取る参加者。ゲンチッチのアドバイスのひとつひとつが重い

ジョコビッチは20球

「今日は時間がないし、人数も多いので、最初のストロークは4球にしていますが、これは少ないほうです。強いジュニアなら10球が妥当でしょう。打つコースも決めるといいでしょう。ジョコビッチはジュニア時代、これを20球も行なっていました。彼はほとんどミスをしませんでした。コースも的確に打っていました」

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