ナショナルチームの証言〜なおみの「夜明け前」と「強さの秘密」
パワーよりも安定感
吉川はデビッドからサーシャに替わるとき、どんなテニスを教え込むのかと興味を持った。しばらくして、目指すべきところは同じだが、方向性を少し変えたと感じた。
「簡単に言うと、サーシャはミスを減らそうと。なぜなら、なおみにはパワーがあるんだから、それを一球でも多く枠の中に入れることで、もう十分に相手に効いているんだと。デビッドはミスをしても、その分、相手にもプレッシャーを与えられているからミスは気にしなくていいと。言っていることは似ていますが、アプローチが違いました」
デビッドはパワーを、サーシャは安定を求めた。この順序がよかったと吉川は考えている。
サーシャの教えだと当然、ラリーが増える。以前の大坂なら「いいボールを打っているのに、なぜ返ってくるの?」とさらにいいボールを打とうと力んでミスを重ねた。だが、サーシャは「そうじゃない。ラリーが続いて苦しいのはなおみじゃない。相手のほうなんだ」と言い続けた。吉川が言う。
「ラリーしてもこっちは何も痛めつけられていない。何球でもラリーできるというマインド、それをなおみにどうやって植え付けられるか、サーシャはそこにトライしているように見えました」
結果は想像以上に早く出た。3月のインディアンウェルズで新旧女王を次々となぎ倒し、圧巻のツアー初優勝。
吉川が「サーシャの言っていることが、あれで本当にわかったと思うんです。安定すると、これだけ勝てるのかと。それに気づき、結果も出たから、ぴたっとマインドがはまった」と言えば、土橋は「デビッドが教えてくれたこと、それがサーシャの柔らかい性格、練習を楽しもうという気持ちと、うまくミックスしたように思います」と話す。
この優勝で大坂の世界ランクは自己最高の22位まで跳ね上がった。次に目指すべきものは何か。もう言うまでもなかったが、それがこのシーズン中に実現するとは正直、チームの誰も考えていなかったのではないか。
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