忘れがたきタイブレーク(2) 18-16の壮絶バトル「ボルグ対マッケンロー」|1980年ウンブルドン決勝

タイブレークが絡んだ歴史に残る名勝負の2本目のストーリーは、1980年ウインブルドン決勝「ボルグ対マッケンロー」。どちらを応援していたとしても、1ポイントごとに苦しみとエクスタシーをもたらした忘れがたきタイブレークがそこにある。【テニスマガジン2019年1月号掲載記事】
文◎ポール・ファイン 写真◎Getty Images
タイブレークにまつわる名勝負| STORY 2
史上もっとも
忘れがたきタイブレーク
18-16の壮絶バトル

ビヨン・ボルグ(スウェーデン)とジョン・マッケンロー(アメリカ)のように、主人公がドラマチックに対比されるときにライバル関係は繁栄する。
スウェーデン人の明るいが、真面目な気質がボルグを人気者のチャンピオンに仕立て上げた。特にヨーロッパ中で人気が高かった。
一方、理屈っぽく、激しいアイルランド系アメリカ人、マッケンローは、プレーしたどの場所でも論争を巻き起こした。
2人のデュエルはまるで正義の味方対悪者……、落ち着き、我慢強く、内向的なボルグ対激しい、ヒステリカルで外向的なマッケンロー。古い世界の価値や姿勢の砦が、醜いアメリカ人を食い止める。ボルグ対マッケンローの獰猛は、そのスポーツを愛する人々が好みの選手にそそられる情熱と一致した。
彼らの正反対のプレースタイル——21歳のマッケンローのスペクタクルなサーブ&ボレー対ボルグの安定したグラウンドストロークや正確無比のパッシングショット——それらが1980年ウインブルドン決勝をより一層魅力的なものにした。
34ポイント、22分間のタイブレーク
長く抱えてきた
弱点が出た最後のポイント
ボルグは5連続となるビッグタイトルに向けて突っ走っていた。第4セット5-4で40-15とリード。しかしマッケンローは、2つのマッチポイントをしのいだ。
6-6で突入したタイブレークをスタンドから見ていた者、テレビで見ていた何百万人もの人々は忘れることはないだろう。
『Love Match My Life with Bjorn』の中でマリアナ・ボルグは、タイブレークが始まる前の張り詰めた空気、テンションをこのように記している。
「このような瞬間では、観客は特別な感情がミックスされるもの。犯罪者が死に向かう前触れのドラムのビートのよう。中世の夜明けに、その刑が執行される瞬間を逃すまいと、すべてのバルコニーが予約で一杯になっているような雰囲気」
テニスはよく血を流さないボクシングに例えられる。そしてタイブレークはヘビー級のタイトル戦での11ラウンドのようなものだ。そこでは激しい攻撃、一つひとつのポイントのためにがむしゃらに戦う本物の挑戦者がいる。
5-6でマッケンローのサービスーーボルグはこの試合3つ目のマッチポイントを迎えた。ネットのマジシャンであるマッケンローは、絶妙なフォアハンドのドロップボレーで生き延びて6-6とした。6-7でもマッケンローはもうひとつマッチポイントをしのいだ。今度はバックハンドのパッシングショットだった。そして8-7とし、マッケンローは、この試合で7つあったブレークポイントのうち、最初のチャンスだった。だが、ボルグはフォアハンドのリターンエースでしのいだ。
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