次代のスターはどんなテニスをするのか? Next Gen ATPファイナルズ 技術&プロフィール編

03|デニス・シャポバロフ(カナダ)Denis Shapovalov

並外れたネットプレーのセンスと、華麗なバックハンドを持つ逸材

プロフィール

生年月日◎1999年4月15日生まれ(18歳)
身長/体重◎183cm/76kg
利き手/バックハンド◎左利き/片手打ち
世界ランキング◎51位(キャリア最高49位)
出生地/居住地◎イスラエル・テルアビブ/バハマ・ナッソー

 ロシア系イスラエル人の両親の元に生まれた彼は、1歳になる前にカナダに移住。母親がテニスコーチとして働いていたクラブで5歳のときにテニスを始めた。母テッサはカナダ・オンタリオ州ボーガンで自分のテニスクラブを開き、デニスとほかのジュニアにトレーニング拠点を提供。彼女は今でも、カナダのデ杯チームコーチのマーティン・ローランドーとともに、シャポバロフのコーチを務める。

 2013年に最初のジュニア・タイトルを獲った彼は、2015年にジュニア・デビスカップでカナダを優勝へ導き、2016年にはウインブルドン・ジュニアで優勝。今年、シニアのデ杯メンバーとして臨んだ対イギリス戦で、苛立ちから打ったボールが審判の目を直撃し、失格処分を受けるという悪い逸話で名を挙げてしまったが、折しもこれ以降に成績が伸び、8月のロジャーズ・カップではデル ポトロ、ナダルを破って準決勝へ。そこでアレクサンダー・ズベレフに敗れたが、続くUSオープンでも4回戦に進出した。

ネットへの自然な動きは幼少期から鍛えられたもの

 流れるような動きで、チャンスと見ればネットをとる。新世代の選手は皆、ベースラインに張り付くことなく、機を見てボレーに出るが、シャポバロフほど自然にネットをとれる選手はいない。

「母が僕に言ったんだ。僕がまだ小さなときから、行けるときにネットに行け、いつか成長したときに大きな武器になるから、前に行き続けろ、と。僕はいつも彼女の言うことに耳を傾けてきたから、テニスを始めたごく最初の頃からネットダッシュしていた。今、それが僕のテニスの大きな武器になっているから、そうしたことをうれしく思う」とシャポバロフは言う。

ボールの上がりばなをとらえる片手打ちのバックハンドは世界有数の華やかさ

 躍動的なフットワークを生かしたストロークも強く、特に全身を絶妙なタイミングで使い、チャンスではバウンドの上がりばなをとらえて放つ左利きの片手打ちバックハンドは、テニス界でも有数な華やかさだ。今大会でもこのバックハンドから、何本ものノータッチエースを奪った。

 また対戦相手たちによれば、キックをかけたサービスは、コースを読むのが非常に難しい。

 今後の課題は、安定性と、重要なポイントをつかむ力を身につけることだろう。「勝負を分けるのはほんの2、3のポイント」と自覚する彼は、対チョン戦のあと、「彼のほうが大事なポイントで堅固だった。僕もその部分でもっと上達できたらと思う」と言った。

 また、目覚ましいストロークのウィナーで会場を沸かせたと思いきや、何でもないボールに対しアンフォーストエラーをおかすところがあるため、意味のないミスを減らすことも今後の課題のひとつ。

 試合中にカッとなることはまだあるが、基本的に非常に明るく前向きな性格で、今回ルブレフにフルセットで敗れたあとも、「年頭の目標は150位に入ることだったから、今年僕がやってのけたことは驚くべきだ。シーズン初頭から目標にしていたこの大会の出場権を得たことも、夢の実現だった。だからすごく幸運だと感じている。帰って態勢を立て直し、ハードなトレーニングを積んで、来季に力強く戻ってこれるようにしたい」と胸を張って話した。

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