山下且義_高校生プレーヤーのためのコンディショニング基礎知識+実践
「コンディショニング」という言葉は、最近では中学や高校の部活でプレーする選手にとっても身近な言葉になっているようで、頼もしい限りです。学校によっては、専門のトレーナーがついて、トレーニングやコンディショニングを指導しているケースもあるでしょう。ケガを予防し、競技力を向上するためにもコンディショニングは不可欠です。ただ単に、指導されるトレーニングやコンディショニングメニューをこなすだけではなく、それがどのように体に役立っているのか、また自身で簡単に取り組める方法などをさまざまなテニスプレーヤーの身体のケアやトレーニングを担当してきた山下且義トレーナーに教えてもらいました。/山下且義「高校生プレーヤーのためのコンディショニング基礎知識+実践」【MOOK 強くなるドリル・シリーズ「テニス 強豪校の丸秘練習法、教えます!」掲載記事】
01|日々の練習や生活の中で軽いコンディショニングメニューを取り入れる
テニスはオールシーズンのスポーツで、試合や大会も特定の時期に限らず、また季節も問わずに行われています。高校生にとってもその状況は同様で、夏のインターハイなど重要な大会はあるとはいえ、常に試合を繰り返しながら上達を目指すというのが一般的でしょう。また、部活動でプレーする高校生にとっては、試合は常に次の大会への予選のようなものであり、出場するすべての大会、すべての試合が大事なものだと思います。
年中試合があるということは、集中したトレーニング時期などを設けられないということも意味しています。あまりハードなトレーニングは故障の原因にもなりかねません。次の試合に合わせてコンディショニングを行うことを考えるべきでしょう。
おすすめしたいのは、トレーニングというよりも、日々の練習の中で行えるコンディショニング的な軽いメニューです。日頃から少しずつ身体を鍛えていき、さらにコート内のボールを打つ練習の中で、テニスに必要な動きを磨いていけばいいと思います。
すべての競技において競技力向上のためにはトレーニングは必要な要素であり、テニスにおいても例外ではありませんが、逆にあまりハードにできない競技でもあると私は思っています。
ポイントとしては、毎日できるものをバランスのよい負荷で行うこと。筋力には個人差があるので、負荷はそれぞれ違っていて構いません。腹筋、背筋、スクワットのように道具を使わずに簡単にできるものを、筋肉を意識しながら行うことで、動きに敏感な筋肉をつくることができます。
例えば、練習前に、筋肉にそういった軽い刺激を入れておくと、コート上でボールを打つ練習でも、筋肉の動きを意識しやすくなるという効果があります。それは競技に必要な、動ける、使える筋肉になっているということです。つまり、大きな負荷をかけたハードなトレーニングでなくても、軽いコンディショニング的なメニューで、十分トレーニング効果を得られるのです。
このように動きを意識できる筋肉をつくっておけば、プレー自体の好不調の波もコントロールすることができます。当然、誰にでも好不調はやってきますが、自分の身体を把握しておけば、不調のときでもそれに対処し、その不調の波を最小限に留める術を見つけることができるからです。
写真はイメージ(Getty Images)
02|コンディショニングのやり方・身体の不調部位の見つけ方
高校生ではほとんど毎日、長時間の練習をしているという選手が多いでしょう。毎日の練習をこなしていくことばかりに目をとらわれてしまうと、練習によって筋肉が張り、それによって体のバランスが崩れてしまっていることに気がつかずにいることが多いようです。
練習内容によっても、使う筋肉が違うので、日によってどうしても使いすぎているところ、使えていないところなどが出てきます。その時点で、すでに身体のバランスは悪くなっているのですが、その状態のまま、また練習に入ってしまうと、さらにバランスを崩し、プレーにも悪影響を与えますし、何よりも故障の原因になりかねません。練習の前後には、使った筋肉の状態をニュートラルに戻すことが必要です。
また、みなさんは朝や練習前に個々で軽くストレッチなどを行うかと思いますが、そのときに自分で「この部分が少しおかしいな」など察知できるといいでしょう。その部位は練習によって筋肉が張ったりしているので、まずはそこを十分に伸ばし、左右対称にバランスよく動かせるようにして練習に励みましょう。
ADVICE|普段の姿勢、意識していますか?
普段の生活の中から意識しておいてほしいのが“姿勢”です。普段、机の前にいるとき、どんな姿勢でいますか? 足を組む、肘をつく、首を曲げる、猫背……ちょっとした癖がすべて身体に影響しています。
ほんのちょっとした癖でも、そういった状態でいるということは、身体や筋肉に軽く刺激が入っている状態と言えます。そのまま練習に入ってしまうと、刺激が入ったところが強くなる傾向があるため、どんどん体のゆがみとなっていきます。前後左右の身体のバランスが悪くなっていくのです。
練習前後のコンディショニングも大切ですが、それ以前の問題として、身体に余計な刺激を与えないよう、普段の姿勢にも気をつけてみましょう。
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