鈴木貴男プロ_究極のプレッシャーゲームを制するコツ



セカンドサービスの考え方|その1
セカンドサービス自体、
ポイント獲得率は高くない

 トップ選手のセカンドサービスのポイント獲得率は平均60%前後。この数字は驚異的です。50%を超えても褒められる数字なのですが、あまりその事実を知る方は多くありません。その点も、セカンドサービスに苦しむ要因です。

 2回に1回は相手にポイントを取られることを理解しておかないと、必要以上に落ち込んでしまい、消極的なプレーにつながることもあります。ここでひとつ、具体的な例を挙げましょう。

 この場面、僕なら「ダブルフォールトしてもいいや!」という気持ちで攻撃的に狙いにいきます。実際にネットの下にひっかかることさえなければ、フォールトもOKです。

 ところが、多くの方はサービスボックス内に入れにいき、ポイントを奪われてガックリ……いやいや、すぐに忘れたほうがいいでしょう。まず、この展開でセカンドサービスを入れにいくこと自体「?」なのですが、それ以上に落ち込む状況ではありません。ポイントを落としても影響がない場面、大事な場面をしっかりと理解すべきです。




ゲームカウント 4-1
(2ブレークアップ)

サービスゲーム 30-0
セカンドサービス (デュースサイド)


セカンドサービスの考え方|その2
“プレッシャー”と
戦うべからず
指導者も冷静さを忘れずに

 試合はプレッシャーが必ずかかるものです。「プレッシャーに勝て!」とか「はねのけろ!」という話もありますが、敵対心を抱くものでもありません。受け入れればいいだけです。

 大事な場面でミスしたときに「試合に集中していない」と怒る指導者もいますが、サービスはそんなうわべだけの話ではありません。例えば、第1ゲームでブレークポイントを握られた場面、セカンドサービスを積極的に打ってダブルフォールト。これは“いいミス”ですよね? まだ取り返すチャンスはありますし、この積極性は試合で生きます。

 ミスをしてでも攻める場面、攻めつつもミスが許されない場面、粘り強くプレーする場面と、展開によってプレーの選択は異なります。プレッシャーをどのように受け入れ、自分を客観視できたか。指導者の方も「メンタルの弱さ」という言葉だけで一括りにせず、細かい分析が必要です。



“セカンド下手”の特徴
レシーバーから見て、
“このタイプは崩しやすい”

 最後に僕自身がレシーバーの立場で「この選手、崩しやすいな」と思うサーバーの特徴を挙げてみました。セカンドサービスをレシーバー側から見ると、どんなサーバーが嫌で、どんなサーバーが戦いやすいか理解しやすいと思います。

1 |同じことしかしない

 対戦相手と駆け引きせず、自分が打てるコースや打ちたい球種だけを打つ選手は攻略しやすいと思います。特にこ の手の選手は、サービスの練習で的当てをメインとしている方が多いように思います。レシーバーを想定したり、立たせることなくサービス練習をしているので、いざ試合になると練習と勝手が違うことに戸惑いやすく、サービスが安定しません。

2 |自ら“間”を崩す

「なんかダブりそうだな」と思っていたら、相手が本当にダブルフォールトした経験、ありませんか? これはリズム=間の取り方が悪いからです。レシーバーがうまく間をとってリズムが崩れるケースもありますが、サービスに自信がない選手は自ら崩れてしまいます。時間をかけて落ち着くべき場面なのに、焦ってテンポを早めたり、その逆も然り。レシーバーのリズムに合わせてしまうのもよくありません。場面ごとに自分に合った間をとり、相手のリズムに合わせない選手はセカンドサービスもスムーズにポイントを積み重ねる印象です。

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