セレナがウィンブルドン決勝で敗れたハレプを倒し、大坂の大一番へ [オーストラリアン・オープン]
第2シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)――ハレプは前回の対戦で勝っていた――に対してあるポイントを落としたあと、セレナはあたかも自分のせいではないと示唆するかのようにラケットのストリングを指さして渋い顔をした。別のミスのあとには「何が起きてるの?」とでも言うかのように手の平を上に向け、自分のゲストボックスを見上げた。
しかしそのぐらつきも、それほど長くは続かなかった。第10シードのセレナは素晴らしいフットワークを駆使してショットの正確さを取り戻すと33本のアンフォーストエラーを克服し、最後の5ゲームを取って6-3 6-3でハレプを退けた。そうして彼女は、最後にグランドスラム大会で栄冠に輝いた2017年以来となるオーストラリアン・オープン準決勝に戻ってきたのだ。
「私はただ、落としたゲームで多くのアンフォーストエラーを犯していることに気付いたの。そして私にはもっといいプレーができるはずと思い直したのよ。私はただ『踏ん張るのよ。もっと行けるわ』と言い聞かせたていたわ。それが私がやったことよ」とセレナはその場面でのことについて明かした。これでセレナは、24回目のグランドスラム制覇まであと2勝と迫ったことになる。
木曜日の準決勝で、セレナは第3シードの大坂なおみ(日清食品)に対する大一番に臨むことになる。すでにグランドスラム大会優勝を3度経験している大坂は、火曜日の勝利で連勝記録を「19」に伸ばした。
「彼女はセレナよ。彼女がコートの反対側ドにいるのを見ると、本当に気後れしてしまうわ」と大坂はコメントした。
これはふたりにとって、公式戦では4度目の対戦となる。中でももっとも記憶に残っているのは2018年USオープン決勝で、そのときは大坂が勝っていた。
セレナはその夜、コーチのパトリック・ムラトグルー氏が手振りで合図を送っているところをTVカメラで撮られたあとに――グランドスラム大会ではコーチが試合中に選手にアドバイスを与えることは許されていない――主審と口論を始め、最終的にペナルティで1ゲームを剥奪された。大坂の勝利はアーサー・アッシュ・スタジアムの何千というファンたちがブーイングをする中で終わり、表彰式の間は双方の選手が涙を流していた。
「私たちはふたりとも、(あの一件は)終わりにしたの。そして私たちは歩み寄ったのよ」とセレナはのちに打ち明けた。
ビクトリア州政府が5日間のロックダウンを課したため、火曜日のロッド・レーバー・アリーナに観客はいなかった。
ムラトグルー氏が強調したのは特に力を入れて取り組んだことでの動きが向上したことで、セレナはそのことについて問題だった左アキレス腱がようやく回復しつつあるためだと説明した。39歳のセレナは試合中、コートを申し分なくカバーしていた。彼女は素晴らしいディフェンスでポイントを長くし、ライジングでボールをとらえてハレプから時間を奪おうとしていた。
「キャリアを通してずっと、スピードは私のテニスの中で非常に優れた要素のひとつだったわ」とセレナは胸を張った。
第1セットでのセレナは、素晴らしいプレーを見せた。サービスは最高時速200kmを記録し、リターンではハレプが打った最初のサービスに対してフォアハンドでクロスのウィナーを奪った。セレナがのちにくすくす笑いながら、「見たわ。ドーナツみたいに見えたわね。思い切って叩きにいったの」と言った鋭いショットだった。
しかしそれからここでダブルフォールト、あそこでボレーのサイドアウトとミスが出始めたセレナは第2セットで0-2、1-3とリードされた。しかし彼女は、そのぐらつきに自らストップをかけた。
カギとなる瞬間は3-3から、ハレプのサイドアウトで終わった21本のラリーをものにすることでそのゲーム6度目のブレークチャンスを手にしたときに訪れた。セレナはそこで、13ショットのラリーを制してそのブレークポイントをものにした。彼女はダブルスのアレーに走り込んでフォアハンドを返球してラリーを継続させ、最終的にはハレプがフォアハンドをネットに掛けてポイントを終わらせた。
「この試合後の私のフィーリングは、私は(勝利に)それほど遠くはなかったというものだったの。でもそれと同時に、彼女は重要な瞬間に私よりも強かったわ」とハレプは振り返った。
2017年オーストラリアン・オープン優勝以降、セレナはグランドスラム大会決勝に4度進出しながらすべて敗れている。そしてその敗戦のひとつは2019年USオープンで大坂に喫し、もうひとつは2019年ウインブルドンでハレプに対して起きていた。その試合でのハレプはのちに自身「人生最良の日」と表現したパフォーマンスを見せ、試合を通してアンフォーストエラーがわずか3本という前代未聞のプレーぶりを披露した。
大坂は時速196kmにも至ったサービスを随所で決めてピンチを凌ぎ、世界ランク71位のシェイ・スーウェイ(台湾)を6-2 6-2で圧倒した。彼女は7本のサービスエースを含めて25回あったファーストサーブからポイントのうち23本を取り、24本のウィナーに対してアンフォーストエラーは14本に抑えた。
35歳のシェイはトリッキーな両サイド両手打ちのストロークを使い、プロ化以降の時代で初めてグランドスラム準々決勝に進出した最年長プレーヤーとなった。しかしこの日の彼女は、その勝利が何を意味するかを知っていた大坂に太刀打ちできなかった。
「私はいつもならドローの先のほうは見ないの。でも皆が私のドローについて教えてくれたから、次の対戦相手を知る以外に選択の余地はなかったわ。間違いなく、すごく楽しい試合になるでしょうね」と大坂は次戦について語った。(C)AP(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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