「私はセレナよ!」自らを鼓舞したセレナがコリンズをストレートで退ける [フレンチ・オープン]
グランドスラム大会で23回も優勝したチャンピオンでさえ、ときには勝つためのテニスをどうやってプレーするのか自分に思い出させる必要がある。
女子シングルス3回戦でダニエル・コリンズ(アメリカ)と対戦したセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は、第2セットで1-4から挽回を図るのに言葉によって自分を奮い立たせた。
第7シードのセレナは「カモン!」「足を動かして」となどと叫びながらふたたびビッグサーブとリターンの強打で圧倒し始め、世界ランク50位のコリンズはそれに抵抗する術を持たなかった。
「すごくいい感覚だったわ。自分にとっていい流れではなかった。彼女が私にゲームをくれた訳ではなかったから、私が自分で取りにいって流れを逆転させなければならなかったの。それができたということは、次の試合に向けて本当にポジティブなことだわ」とセレナは振り返った。
「私は自分自身を見つけなければならなかった。自分が誰だか知る必要があったの。セレナはほかの誰でもない、この私なのよ」
この分岐点は、コリンズのボディランゲージや独り言にも表れていた。ウイリアムズ姉妹を手本として彼女たちと同じく市営のコートでプレーしてきたコリンズは、重要なショットをミスしたあとなどにフラストレーションからラケットを手から落としたり、それを蹴ったりした。また最終ゲームで長いラリーの末に奇妙なバウンドに惑わされてフレームショットを打った際には、皮肉っぽく「エクセレント(素晴らしい)」などと言った。
ミハエラ・ブザネスク(ルーマニア)に対する2回戦でセレナは3セットの戦いを強いられたが、今回は明らかにそれは避けたいと願っている様子だった。第2セットの序盤でタイミング悪く何本かのダブルフォールトを犯してコリンズに4ゲーム連取を許したときでさえ、彼女はそのセットを諦めるようなことはしなかった。
この試合に対するセレナの決意の固さはドロップショットを追ってコート後方から走ってそのポイントを取り、ブレークして4-3とリードした第1セットでも見て取れた。
試合が終わったときにはセレナとコリンズの双方が微笑み、友好的な抱擁を交わした。コリンズはセレナに、「あなたが優勝するところを見たいわ」と声をかけたのだと明かした。
「彼女は史上最高の選手よ。私たちは皆セレナに憧れ、彼女のことが大好きだと思うの。アメリカ人プレーヤーは特にね。9歳か10歳の頃から憧れていた選手とコートでプレーするなんて、今日は超現実的だったわ」とコリンズはコメントした。
2015年を最後にパリでの栄冠から遠ざかっているセレナは、グランドスラム大会シングルス優勝回数でマーガレット・コート(オーストラリア)の持つ史上最多記録「24」を追いかけている。
39歳のセレナは次のラウンドで、第21シードのエレナ・リバキナ(カザフスタン)と対戦する。リバキナはエレナ・ベスニナ(ロシア)を6-1 6-4で下し、グランドスラム大会で初の4回戦進出を決めた。
今大会ではセレナを別にして、女子の上位シード勢が次々と姿を消し続けている。早期敗退を喫したトップ選手の最新の例は、アナスタシア・パブリウチェンコワ(ロシア)に4-6 6-2 0-6で敗れた第3シードのアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)だった。
第1シードのアシュリー・バーティ(オーストラリア)が腰のケガによりリタイアを余儀なくされ、第2シードの大坂なおみ(日清食品)もメンタルヘルスの問題を理由に棄権ししたあと、サバレンカは残っている中でもっともランキングの高い選手だった。
サバレンカは39本のアンフォーストエラーを犯し、パブリウチェンコワが10年前に準々決勝に進出したとき以来の4回戦進出を果たす手助けをしてしまった。
パブリウチェンコワは次のラウンドで、第23シードのマディソン・キーズ(アメリカ)を6-2 6-2で破って勝ち上がった第15シードのビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と顔を合わせる。(APライター◎サミュエル・ペトレキン&アンドリュー・ダンプ/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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