フェデラーの棄権に続きセレナが敗れ、またもスターを失った大会に打撃 [フレンチ・オープン]
セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は9月に40歳になる。ロジャー・フェデラー(スイス)はその1ヵ月前に同じく人生の節目を迎える。ふたりがあと何度フレンチ・オープンに出場できるか誰にも分からない。そして今年の大会は2人とも、日曜日に終わりを迎えた。
第21シードのエレナ・リバキナ(カザフスタン)に対する4回戦でリードを奪われたセレナは、より若いがその分経験も浅い相手に体勢を立て直して巻き返すことができないまま3-6 5-7で敗れた。
これはこのクレーコートのグランドスラム大会における最後の試合だったのではないかと尋ねられたセレナは、「そんなことについてはまったく考えていないわ。私は別のことについて考えていたけど、そのことではない」と答えた。
彼女の敗戦は、フェデラーの棄権が発表された数時間後に起きた。フェデラーは日曜日の午前1時過ぎに終わった長い3回戦の勝利のあと、ウインブルドン前に身体を回復させる必要があると言って次の試合を戦うことなくリタイアを決めた。彼がターゲットとしているウインブルドンは、6月28日に開幕する予定になっている。
「私はサーフェスが変わることにちょっぴりワクワクしているわ。私は過去に、グラスコートではかなりいい成績を挙げてきたから」とセレナは話した。
グランドスラム大会のシングルスでセレナは23回優勝し、フェデラーは20タイトルを獲得した。彼らはテニス界最大のレジェンドでもっとも人気のある選手でもあるため、大会にとってもテレビの放送局にとってもファンにとっても2人が相次いで大会から去ってしまったことは大きな痛手だった。しかもこの前には世界ランク2位の大坂なおみ(日清食品)がメンタルヘルスの問題を理由に棄権したこともあり、ショックは倍増した。
過去にフレンチ・オープンを3度制した実績を持つセレナだが、準優勝に終わった2016年以降は4回戦を突破することができていない。
世界22位で21歳のリバキナにとってこれは7度目のグランドスラム大会に過ぎず、これまでは昨年のオーストラリアン・オープンで3回戦に進出したのが最高成績だった。
「私は小さな子供の頃、多くのグランドスラム大会で彼女の試合をテレビで見ていたわ」とリバキナは語った。
右腿に厳重なテーピングを施していたセレナに対してリバキナはパワフルなショットを打ち込み、184cmの長身からフラットサーブを打ち込んだ。彼女は多少苦労しながらもメンタル的に安定性を保ち、時折セレナの速い優れたサービスに対してリターンエースをお見舞いして5度のサービスブレークに成功した。
「彼女のサービスをリターンするのが難しいことは分かっていたわ。彼女はパワフルだけど、でも私には準備ができていた。それから幾つかポイントをプレーしたあと、調子がいいと感じたの」とリバキナはコメントした。
この試合でのリバキナはショットをセレナのバックハンド側に集め、なるべくフォアハンドを打たせないようにするというコーチに授けられた戦略に従ったのだと明かした。セレナが流れを変えるかに見えた瞬間はあったが、彼女は完全に勢いに乗りきることができなかった。
第2セットでもたちまちブレークされたセレナは2-2と追いついきながらまたブレークを許して3-4とされ、そこからふたたび追いついた。しかし次のゲームでセレナはアウトになりそうだったリバキナのショットを避けることができず、最初のポイントを与えてしまった。セレナは悔しそうに笑って前屈みになり、ラケットを杖のようについて少し休んだ。
繰り返し起きた様々なミスが、セレナを破滅に導いた。彼女は19本のアンフォーストエラーを犯し、ウィナーは15に留まった。
「もう少しだった。文字通り、試合の行方を変えそうなポイントがあちこちにあったわ。私はそれらのポイントを取れなかった。そのことが文字通りすべてを変えてしまったのよ」とセレナは振り返った。
2017年オーストラリアン・オープンでプロ化以降の時代で最多となるグランドスラム23勝目を挙げて以来、セレナは何度も史上最多記録を持つマーガレット・コート(オーストラリア)の「24」まであと一歩と迫ってきた。その間に彼女が最後に決勝まで勝ち進んだのはビアンカ・アンドレスク(カナダ)に敗れた2019年USオープンで、実に4度の準優勝を経験した。
しかしそれ以降のセレナは準決勝で2回、3回戦と4回戦で一度ずつ敗れた。昨年のフレンチ・オープンでの彼女は、アキレス腱のケガを理由に2回戦を前に棄権していた。一方でフェデラーは、グランドスラム大会でプレーし始めたあとに棄権したことはこれまで一度もなかった。
リバキナは次のラウンドで、第31シードのアナスタシア・パブリウチェンコワ(ロシア)と対戦する。ふたりは今大会でダブルスを組んでおり、月曜日に3回戦をプレーすることになっている。パブリウチェンコワはこの日、オーストラリアン・オープンを2度制した実績を持つ第15シードのビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)を7-5 3-6 6-2で倒して10年ぶりの8強入りを決めていた。
ボトムハーフのもうひとつの準々決勝は、過去にグランドスラム大会でここまで勝ち進んだことがなかったパウラ・バドーサ(スペイン)とタマラ・ジダンセク(スロベニア)の顔合わせとなった。
第33シードのバドーサが2019年準優勝者で第20シードのマルケタ・ボンドルソバ(チェコ)を6-4 3-6 6-2で振りきり、ジダンセクはソラナ・シルステア(ルーマニア)とのノーシード対決を7-6(4) 6-1で制して勝ち上がった。
これら4人のうちひとりが来週、初めてグランドスラム決勝の舞台に立つことになる。(APライター◎ジェローム・パグマイア/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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