「アデュー、ロジャー」フェデラーが3回戦のあとにフレンチ・オープンを棄権
7日の朝、フランスの有名スポーツ専門新聞『レキップ』は「フェデラーはなぜ棄権したのか」と問いかけた。
ロジャー・フェデラー(スイス)は常に、フレンチ・オープンを真剣にタイトルを目指す場というより膝の手術から復帰する過程の1ステップであると見なしていた。そんな訳で彼は非常に接戦となった3回戦の勝利後、そしてウインブルドンまで数週間となっていたときに休息が必要だと判断した。
グランドスラム大会を20回制したフェデラーは夜中の1時までかかって苦労の末に4セットで勝利をおさめた翌日、そして準々決勝をかけて第9シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)と対戦するはずだった日の前日に当たる日曜日に大会を棄権した。
「2度の膝の手術と1年余りのリハビリのあと、自分の身体に耳を傾けて回復の過程であまり性急に自分に無理を強いないことは重要だ」とフェデラーはフランステニス連盟(FFT)が発表した声明文の中で説明した。
「僕は3試合をこなすことができて感激している。コートに戻る以上に素晴らしいフィーリングはない」
これはフレンチ・オープンとテニスファンにとって、2つの悪いニュースの一部だった。フェデラーが棄権を発表した数時間後、24回目のグランドスラム制覇を目指していた第7シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が4回戦で第21シードのエレナ・リバキナ(カザフスタン)に3-6 5-7で敗れたのだ。
8月8日に40歳になるフェデラーは、2020年オーストラリアン・オープン以来となるグランドスラム大会をプレーしていた。その大会の少しあとに彼は膝に最初の手術を受け、シーズンの残りを棒に振った。
今シーズンのフェデラーは、パリにやってくる前にわずか3試合しかプレーしていなかった。過去のフレンチ・オープンでの彼は2009年に優勝し、それ以外にも4度決勝に進出してすべてラファエル・ナダル(スペイン)に敗れていた。
彼は先月、自分にフレンチ・オープンのタイトルを目指す準備ができているとは考えていないことをはっきりと口にしていた。
「僕はただ現実主義なんだ。自分がフレンチに優勝しないことは分かっている。もし僕に優勝が可能だと考えている人がいたとしたら、それは間違いだ」とフェデラーは話し、彼が男子では最多記録となる8度の優勝を誇るグラスコートのウインブルドンに目標を定めていると公言していた。
フェデラーがターゲットとしているウインブルドンは、6月28日に開幕する。彼はグラスコートで準備をするため、ドイツのハレでプレーすることを予定している。
年齢を考えると、フェデラーがあと何度フレンチ・オープンでプレーするかは誰にも分からない。彼の今大会は、3時間35分かかった3回戦での世界ランク59位のドミニク・コプファー(ドイツ)に対する7-6(5) 6-7(3) 7-6(4) 7-5の勝利で終わった。土曜日にフィリップ・シャトリエ・コートのナイトセッションで行われたこの試合は、新型コロナウイルス(COVID-19)の規制によるフランスの夜間外出禁止令が21時以降に適用されたため無観客で行われた。
「この試合のあと、ロジャーは間違いなく身体的痛みを感じるだろう。彼は39歳で、今年はあまり多くの試合をこなしていない。だから身体に堪えると思うよ」と第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)は指摘していた。
「もちろん僕らは皆、グランドスラム大会が変わらず彼の目標であることを知っている。ウインブルドンは常に――例え彼が50歳になっても――彼にとっては大きなチャンスだ。彼は準備するために最善を尽くしたいんだよ」
四大大会でフェデラーが相手に不戦勝を与えたのは、これが初めてだった。
大会ディレクターのギー・フォルジェ(フランス)は声明文の中で、「ロラン・ギャロスは昨夜に素晴らしいファイトを見せたフェデラーの棄権を残念に思います。我々は皆、パリに戻ってきたロジャーを目にすることができて大喜びしていました。彼は非常に質の高い3試合をプレーしました。我々は残りのシーズンで彼の幸運を心から祈っています」と述べた。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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