「勝ち方と同様、負け方も学ばないといけないもの」準優勝のプリスコバ [ウインブルドン]

準優勝のプレートを手に明るい表情を見せるプリスコバ


 2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)の女子シングルス決勝で、第1シードのアシュリー・バーティ(オーストラリア)に3-6 7-6(4) 3-6で敗れて準優勝に終わった第8シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)が試合後の記者会見で様々な思いを語った。

 立ち上がり4ゲーム連取を許した。

 「決勝で最高のスタートではなかった。でも彼女のプレーが素晴らしかったことも認めないといけない。凄く難しい状況に追い込まれた。彼女は試合を通して素晴らしかった。何度か対戦して、いいときもよくないときもあったけど、この試合での彼女は今までで一番よかったと思う。酷いスタートだったけど、何とか持ち直せたことには誇りを持っている。勝利に近づくまではいかなかったけど、最初の14ポイントを連続で落とす酷いスタートから、いい感触とまではいかなかったけど自分のプレーを取り戻せた。グランドスラム決勝の経験はまだ少なく、ナーバスになった。それでも最終的にはいいプレーができたと思っている」

 得意ではなかったウインブルドンでの躍進だった。

「いろんな感情が入り混じっているから、話すのは難しい。自分の夢はグランドスラムを獲ること。テニスを始めたときから夢見てきた。目標はいくつか達成できたけど、ここはゴールのひとつだけど、あまりドラマチックにしたくない。ウインブルドンが嫌いではなかったけど、得意ではなかったから一番好きな場所ではなかった。でも、その気持ちは今大会で変わったと思う。この大会への感情、人々への感情、雰囲気は今日も、その前の数試合も素晴らしかった。試合後、この観衆の前でプレーできたことを本当に誇らしく思った。この瞬間のために私はプレーしている。どちらも勝つためにプレーしているから、必ずどちらかは負ける。この結果は受け入れるしかない。私は負け方をよく分かっている。強くなって戻ってきたい。またチャンスはあると思うし、まだまだ諦めない」

 何とか接戦に持ち込んで、最終セットまで持ち込んだ。

「いつも自分の思ったような流れになる、よくなるはずだと信じてプレーしないといけない。簡単ではなかった。自分はもっといいプレーができるはずなのにともどかしかった。当然、彼女がいいプレーをしていて、ショットが深く、自分のプレーを出すのが難しかった。まずは1ゲーム、あのときは2ゲームを失っていたから、まずは1ポイント取らないと始まらないと思っていた。そうすれば状況はよくなるだろうと。彼女と対戦するとき、どんな戦い方をすればいいのかは分かっている。難しいけど、それができたときは今日の途中からのように競った試合にできる。でも本当にスタートが最低だった。もう、試合の最初はあの場にいたくなかった。でも、だからこそ状況を好転させられたことを誇りに思った。あのとき、ローマでの決勝も頭を過ったの。(イガ・シフィオンテクを相手に0-6 0-6で敗れた)あんなことが二度と起きちゃいけないと思って何とか切り抜ける方法を見つけられた。こういう試合ではそれが一番大事なこと。どんな風に感じていて、相手が誰でもいい方法を見つけるのが大事だった」

 グランドスラムを勝つと信じるために、この試合はどれほど重要なものになるか。

「とても重要。自分のテニス、自分のチーム、自分の周囲にいる大事な人たちのことを考えると、自分は絶対にできると信じられる。でも、多くの人が無理だと思っているのも分かっている。だからこそ難しいときがある。いいプレーはいつでもできるはず。信じていない人がたくさんいて、例えば数週間自分がいいプレーができていないときは自分でもなかなか信じられないもの。今は信頼も増していると思う。すべてにおいて自信がついて、グランドスラムの2週目に残れたこと自体が久しぶり(2年ぶり)のことだった。すべてが前よりよくなればいい。次はUSオープン。一度決勝を戦った経験があるから、不可能ではない。いつも挑戦し続ける」


表彰式の準優勝スピーチで感極まったプリスコバ

 準優勝スピーチでは思わず涙がこぼれた。

「もし2セットで負けていたら、こんなに感情は高ぶらなかったと思う。でも物凄く踏ん張って、もがいて、戦って、第2セットを取るのに物凄いエネルギーを使った。第3セットのプレーも悪くなかったし、まあまあ彼女を苦しめられたと思っている。観客から凄くサポートを感じられて、楽しめた。キャサリン妃もいて、こんな凄い舞台はこれまでなかったなと思った。そしたら、いつもより感情的になってしまった。ロッカールームで泣くのはいいけど、コート上では泣く訳にいかない。でも、止められなかった。すごく声援もくれたから。この3週間、バブルの中で過ごして長かったし、疲れも溜まっていた。感情が高ぶってしまった。あれはよくなかった」

 “負け方”を知っていると言った。

「いつもじゃないけど、それも学ばなければならないことのひとつ。勝ち方も学ぶけど、負け方も同じように学んでいくもの。すべて偉大なチャンピオンは、これを学ぶ必要があると思う。試合が終わったら必ず敗者はいるものだから。負けて自暴自棄になる人も、絶望的な気分になる。でもそれを観客の前で見せてはいけない。それに相手のほうがよかったから仕方ないと受け入れることが大切で、その方法を自分は分かっているつもり」(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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