「20」に到達しても満足しないジョコビッチ、次は『年間グランドスラム』の偉業達成を目指す
ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は決して満足しない。
グランドスラム大会で最初のタイトルを獲ったとき、彼は2つ目を欲しがった。ハードコートでの卓越性を証明したとき、彼はグラスコートやクレーコートでも秀でることを望んだ。四大大会での獲得タイトル数でロジャー・フェデラー(スイス)やラファエル・ナダル(スペイン)とのギャップが狭まれば、ジョコビッチは彼らに追いつこうと決意を固めた。
今の彼を見てみるといい。彼はウインブルドン決勝でマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)を6-7(4) 6-4 6-4 6-3で倒し、『ビッグ3』の他のメンバー同じようにグランドスラム優勝回数「20」に漕ぎつけた。
そんな訳で今、近年多くの人々の頭にあった問いが勝利のあとのジョコビッチに投げかけられた。“あなたは自分をオープン化以降の時代でもっとも偉大な男子プレーヤーだと見なしていますか?”
「僕は自分をベストであると見なしている。僕は自分がベストであると信じている。そうでなければ僕は自信満々にグランドスラム大会に勝ち、歴史を築くことについて話したりはしていないだろう。しかし、僕が史上もっとも偉大な選手か否かに関しての議論は他の人々に任せるよ」と世界ランク1位で34歳のジョコビッチは答えた。
「前にも言った通り、違った時代のテニスを比べるのは非常に難しい。ラケットも違うし、テクノロジーもボールもコートも違う。我々がプレーしてるコンディションは(一時代前とは)まったく違うんだ。だから、例えば今から50年前のテニスと比べるというのは非常に難しいよ」
それから彼はこの件に関する謙虚な見解を示し、「でも僕は間違いなく、この論議に参加できることをこの上なく光栄に思う」と言って締めくくった。
もちろん彼は、その話題に関する中心人物のひとりだ。そして最善のスタンスは、競技者として現代のライバルたち3人すべてに感謝することだ。彼らがこのスポーツにもたらしたものを大事にし、3人の純粋な偉大さを認めることだ。とはいえジョコビッチが3人の中で抜きん出ていると主張したがる人たちは、最近かなりいい証拠を手に入れ始めている。
まずジョコビッチは現状で他の2人との直接対決でリードしており、すべてのグランドスラム大会で最低2回勝っているのは彼だけである。彼は2015年ウインブルドンから16年ロラン・ギャロスまで4つのグランドスラム大会を連続で制しており、シーズン最初のグランドスラム3大会で優勝――1969年に『年間グランドスラム(同じ年に四大大会全制覇)』を達成したロッド・レーバー(オーストラリア)以来の快挙――したことも含めて他の2人が成し遂げていない業績を残している。
そしてジョコビッチは本当に特別なあるものの際に立ち、8月に開幕するUSオープンのためにニューヨークに向かっていく。テニス史上で同じ1年に4つのグランドスラム大会すべてで優勝した男子プレーヤーは、1938年に達成したドン・バッジ(アメリカ)と1962年と69年に成し遂げたレーバーの2人しかいない。
「彼と一緒に働くことは、特権であり栄誉でありすべてだ。しかし容易なことではない。非常に大きなプレッシャーがある。決勝進出では十分ではない。我々は優勝しか重視しないんだ」と2001年ウインブルドン優勝者でジョコビッチのコーチのひとりであるゴラン・イバニセビッチ(クロアチア)は語った。
10年前の状況を振り返ってみて欲しい。2011年シーズンに入るときの四大大会優勝回数はフェデラーが「16」でナダルは「9」だったが、ジョコビッチはまだひとつだけだった。
そして3年プラス2週間前の2018年ウインブルドン前にはフェデラーが「20」でナダルは「17」となり、ジョコビッチが「12」まで追い上げていた。
ジョコビッチによれば、それが彼が本気でグランドスラム大会でのタイトル数を増やし、世界ナンバーワン在位期間でフェデラーの記録を追い越すことを目指し始めたときだったのだという。それ以来ジョコビッチがやったのは、グランドスラム12大会のうち8つで優勝することだった。
「僕は常にグランドスラム大会で自分の最高のテニスをし、どのサーフェスどの大会あっても自分に優勝するチャンスがあると信じてきた。何故なら僕は、自分に何ができるかを知っているからだ。僕は過去にすべてのサーフェスで勝てることを証明しており、非常にオールラウンドで万能なテニスができることを自覚している」と彼はコメントした。
彼はオーストラリアン・オープン(ハードコート)で9回、ウインブルドン(グラスコート)で6回、フレンチ・オープン(クレーコート)で2回、USオープン(ハードコート)では3回優勝している。そして将来的に、さらにタイトルを増やす可能性がある。
来年の5月まで35歳にならないジョコビッチに対し、フェデラーは8月8日に40歳になる。彼はウインブルドン準々決勝での敗戦と昨年に2度受けた右膝手術を経て、自分の未来についてはっきり分からないでいる。35歳のナダルは先月のロラン・ギャロスでジョコビッチに敗れたあと、休息を取って回復するためにウインブルドンと東京オリンピックをスキップする決断を下した。
この時点で、誰がジョコビッチを否定できるだろうか?
「彼を倒すことができると信じることすら不可能だ。何故なら彼は、今のところ無敵だからね」とイバニセビッチは話した。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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