“アメリカンドリームを生きる”ソフィア・ケニンがグランドスラム初優勝 [オーストラリアン・オープン]

 この勝利でケニンは、2008年に20歳で優勝したマリア・シャラポワ(ロシア)以降でもっとも若いオーストラリアン・オープン女王になった。ちなみにシャラポワもロシアにルーツを持ち、フロリダのコートで育った選手だ。

 彼女に推進力を与えたのは、2019年フレンチ・オープンにおけるセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に対する勝利だったという。それはこの大会前の、グランドスラム大会における彼女の最良の成績だった。彼女は昨年、WTAツアーレベルの3大会で優勝してトップ20位内に食い込んだ。

 しかし今回のこれは、まったく新しい領域だ。

 これ以前のケニンは、例えば15歳のコリ・ガウフ(アメリカ)や18歳のアマンダ・アニシモワ(アメリカ)ら他の若いアメリカ人選手がグランドスラム大会で活躍して脚光を集めているときに、見過ごされていたかもしれない。しかし他のプレーヤーたちは、ケニンに何ができるかを知っていた。

 そして間違いなく、彼女自身もそれを知っていた。彼女は4回戦で1セットダウンからガウフを倒すことにより、それを示して見せた。フレンチ・オープン優勝者で世界1位のアシュリー・バーティ(オーストラリア)に対する準決勝で、4つのセットポイントを凌いだことによってもだった。

 彼女のフォアハンドとバックハンドは同様に頼れる武器であり、ドロップショットとロブも素晴らしい。ボールに追いつき返すカバリング能力は、すでにトップクラスだ。

 しかし、ケニン自身がテニスコート上での最大の武器だと考えているものは?

「それは、私の中の闘志よ」と彼女は明言した。「これは、教えることの出来ないものなのだと感じている。それをもともと持っていなければならないのだと。その信念と情熱を、擁していなければならないのよ」。

 ケニンは頻繁に、セレナが自分のアイドルだと公言している。しかし彼女はまた、「自分のプレースタイルのいくつかの要素のため、他の人々の真似をしているとも言った。

「私はマリア・シャラポワ、アンナ・クルニコワを尊敬してきた。小さな子供のとき、彼女たちの試合をよく見ていたわ。私は自分があの闘争心や威勢のよさを持っていると感じている。それがどんなものかが見えていたの」とケニンは語った。

「ええ、間違いなくそれが私を助けたと感じている。私はロシア的なものの一部、闘魂と激情を自分の中に宿しているんだわ。ただ自信を持ち、自分がもっともうまくできることをやろうと努めている」と言ってから、彼女はまたこう付け足した。

「そして、私にアメリカンドリームを与えてくれた両親に感謝しているわ」

 試合中のケニンが振り、ときに落とし、悪いポイントのあとには苛立ちからたまには蹴ってしまったそのラケットは、赤白青の星条旗の色に塗られていた。

(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真はソフィア・ケニン(アメリカ/右)と父のアレックス(左)
撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU

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