錦織を圧倒したジョコビッチが東京オリンピックでメダルラウンドへ「すべてに対する答えを持っているように感じていた」
1年遅れでの開催となる世界的なスポーツの祭典「東京オリンピック2020テニス競技」(東京都江東区・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/7月24日~8月1日/ハードコート)の大会6日目は、男子シングルス準々決勝と女子シングルス準決勝および男女のダブルス準決勝などが行われた。
日本の錦織圭(日清食品)はいいプレーをしていると思っていた。それから彼は、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)に対する準々決勝に臨んだ。
世界ランク1位のジョコビッチは6-2 6-0の圧勝の中で、錦織に東京五輪テニス競技でベスト4に進出するチャンスを微塵も与えなかった。
「彼は今日、驚くほど見事にディフェンスしていた。すべてが深かった。僕は何とかついていこうとしたけど、できなかった。悪くないプレーをしていると思っていたけど、今日は僕のサービスがよくなくて彼は毎回そこをついて攻撃してきた」と錦織は振り返った。
この圧倒的なパフォーマンスでジョコビッチは、東京オリンピックでメダルラウンドに勝ち進んだ。もっと重要なことに、彼は『ゴールデンスラム(四大大会全制覇+オリンピックの金メダル)』にまた一歩近づいたのだ。
オリンピック準決勝進出は3度目ながらこれまで金メダルを獲っていないジョコビッチは次の試合で、ジェレミー・シャルディ(フランス)を6-4 6-1で破って勝ち上がった第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)と対戦する。
もうひとつの準決勝は、パブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)とカレン・ハチャノフ(ロシア)の顔合わせとなった。第6シードのカレーニョ ブスタが第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)を6-2 7-6(5)で下し、第12シードのハチャノフは第14シードのユーゴ・アンベール(フランス)を7-6(4) 4-6 6-3で振りきった。
ロシア五輪委員会(ROC)を代表してプレーしたメドベージェフは敗れたあとラケットを叩きつけ、その残骸を空っぽの1番コートの観客席に投げ入れた。
すでにオーストラリアン・オープン、フレンチ・オープン、ウインブルドンを制しているジョコビッチは、ゴールデンスラムを完成させるために東京オリンピックとUSオープンで優勝する必要があるだけだ。この偉業を成し遂げたのは、1989年のシュテフィ・グラフ(ドイツ)しかいない。
「彼は今日、素晴らしいプレーをしたよ。今週、そしてここ数ヵ月の彼のプレーぶりは驚くべきものだった」と錦織は相手を称えた。
ここ数ヵ月ずっとそうだったように、今大会でまだ1セットも落としていないジョコビッチはプレーするたびによくなっていくようだ。あまりに見事な勝ち上がりなので、彼はほとんど力を試されていないようにさえ見える。
「勝ち進むにつれて試合が簡単になっていく訳ではないが、自分のプレーレベルはどんどんよくなっている。これまでのキャリアでもこのような勝ち上がりを何度も経験してきた。大会で勝ち上がるにつれて、どんどんプレーの感触がよくなっていく。それがここでも起きているんだ」とジョコビッチは話した。
この試合でジョコビッチが僅かに問題に直面したように見えたのは、本当に一度だけだった。それは第2セットの第1ゲームで、錦織がブレークポイントを掴んだときのことだ。ジョコビッチは錦織をコートの端から端まで走り回らせるラリーで応じ、最後は錦織がまったく触ることもできなかったフォアファンドのウィナーをクロスコートに決めた。その瞬間、ジョコビッチは雄叫びを上げた。
試合後に彼はそれを「今大会で最高のパフォーマンス」と呼び、「それも本当に本当に素晴らしい相手に発揮できた」と語った。
「僕は自分がすべてに対する答えを持っているように感じていた」
その約2時間後、ジョコビッチは2日連続で1日2試合をプレーした。彼はニーナ・ストヤノビッチ(セルビア)と参戦しているミックスダブルスの準々決勝もプレーし、ラウラ・シグムンド/ケビン・クラウィーツ(ドイツ)を6-1 6-2で退けた。
もっとも暑い時間帯を避けるためにプレー開始時間を遅くして欲しいという選手たちからのリクエストにようやく主催者が応え、この日の試合はここまでより4時間遅くスタートした。
「17時以降のプレーだと全然違うよ。変わらず非常に湿度が高くて大いに汗をかくが、暑さは弱まっている。湿度がある中で直射日光を受けることにはならないからね」とジョコビッチはコメントした。
男子ダブルスは第1シードのニコラ・メクティッチ/マテ・パビッチ(クロアチア)とマリン・チリッチ/イバン・ドディグ(クロアチア)が勝ち上がり、決勝はクロアチア勢対決となった。(APライター◎アンドリュー・ダンプ/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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