ジョコビッチが『年間グランドスラム』への挑戦を継続、ブルックスビー敗退でUSオープン史上初めてアメリカ人選手が準々決勝を前に全滅

写真はノバク・ジョコビッチ(セルビア/左)とジェンソン・ブルックスビー(アメリカ)(Getty Images)


 今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月30日~9月13日/ハードコート)の大会8日目は、トップハーフ(ドローの上半分)の男女シングルス4回戦などが行われた。

 特に魅力的で激しいバトルが見られた24ポイントのゲームを含む1セット半の間、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の4回戦の相手――シングルスに勝ち残っていた最後のアメリカ人――であるジェンソン・ブルックスビー(アメリカ)はアーサー・アッシュ・スタジアムの騒々しい観客たちが見守る中で王者を苦しめていた。

 これによりジョコビッチだけでなく他のすべての人々に、ニューフェイスのブルックスビーがこのレベルに属する選手であることを知らしめた。カリフォルニア出身で20歳のブルックスビーは世界ランク99位で今大会には(主催者推薦枠)で出場したが、これまで一度もこのような大舞台でプレーしたことがなかった。

 そして当然ながら世界ナンバーワンのジョコビッチは自分が何者であるか、如何にして彼が52年ぶりの『年間グランドスラム(同じ年に四大大会全制覇)』達成にあと3勝というところまで迫ることができたのかを示して見せた。

 試合に入り込んで睨みつけるような眼差しを交えてブルックスビーと騒ぎ立てる観客たちにメッセージを送りながら、第1シードのジョコビッチは1-6 6-3 6-2 6-2で勝利をおさめて今季のグランドスラム大会での戦績を25勝0敗とした。彼は真のグランドスラムと同時に、実現すれば男子の単独トップとなる21回目のグランドスラム制覇を追いかける挑戦を延長させたのだ。

 一方でこれにより、1880年代に始まったUSオープン史上初めてシングルス準々決勝に進出したアメリカ人選手の数が男女合わせて“ゼロ”になるという事態が起きた。

「いいフィニッシュだった。スタートはよくなかったけどね」とジョコビッチは振り返った。彼は2月のオーストラリアン・オープンで9回目、6月のフレンチ・オープンで2回目、7月のウインブルドンで6回目の優勝を飾り、そのコレクションにUSオープンにおける4つ目のタイトルを追加したいと願っている。

 月曜日のナイトセッションでジョコビッチは第1セットを1-6で落としたが、逆転のカギは残りの3セットでブルックスビーの最初のサービスゲームをブレークしたことだった。

「僕は彼を消耗させたかったんだ。そしてそれは機能した。うまくいったよ」とジョコビッチはコメントした。

 大会序盤に煩わされていた左腰の影響を感じたブルックスビーは第2セットのあとにトレーナーを呼んで治療を受け、第3セット終了後にも同様のことを繰り返した。それでも試合開始2時間前に練習するチャンスを得るまで一度もアーサー・アッシュ・スタジアムのコートに足を踏み入れたことがなかった者にしては、ブルックスビーはその舞台の大きさや環境に圧倒されているようには見えなかった。

「これから先、彼のことを目にする機会が多くなるだろう。彼はその能力を持っている。今は多くのことがこれからまとまっていく段階にあるのだろうが、彼はややオーソドックスではないプレースタイルを持っている。彼はより繊細な感覚でプレーしており、賢いプレーヤーだ。彼はポイントの取り方を知っている」とジョコビッチは若いブルックスビーを評価した。

 この日はブルックスビーが持つ能力――身長193cmの歩幅とリーチの長さ、予測力、相手を欺く両手打ちスライスを含めたショットの多様性、一歩先を考えてポイントを築く能力、7歳から指導するコーチのジョー・ギルバート氏により練られたパターン遂行への献身――のすべてが、試合序盤でジョコビッチを混乱に陥れた。

「力強いスタートを切り、自分のテニスをして僕の意図と戦略を相手に押し付けることが大事だとわかっていた。それが機能していることが見えた。僕は本当に“自分は彼を倒せる、どんな相手にも勝てる”という自信を持っていたんだ」とブルックスビーは語った。

 第1セットでのブルックスビーはアンフォーストエラーを1本しか犯さず、対するジョコビッチは11本だった。彼はまた5回以上続いたラリーを14回ものにし、ジョコビッチの4回を大きく上回った。

 ジョコビッチがオーバヘッドをミスしてブルックスビーがセット奪取まであと2ポイントと迫ったとき、2万3000人収容可能なスタジアムを埋め尽くした観客のほとんどは立ち上がって拍手をして叫び声を上げた。ジョコビッチがリターンをミスして若き挑戦者に第1セットを譲り渡したとき、ブルックスビーは両手を振ってますます大きくなる応援の声を聞いた。

「電撃的で、凄かった。楽しかった。本当に楽しんだよ。君たちは双方のプレーヤーに大きなエネルギーを与えてくれた」とジョコビッチは話した。

 第2セットでブレークして2-0とリードしたジョコビッチは、拳を突き上げて叫んだ。そして3-1から、劇的なゲームが訪れる。6度のブレークチャンスと多くのデュースを繰り返して合計24ポイントの攻防となった第5ゲームは、20分以上に渡って繰り広げられた。ジョコビッチがショットをネットにかけてブレークバックを許して3-2とされた瞬間、ブルックスビーは飛び跳ねながら腕を回して「レッツゴー」と叫んだ。

 しかしそこからジョコビッチは、迅速に体勢を立て直した。ブルックスビーが息を切らす中でジョコビッチは直ちにブレークし、そこから程なくして結果は明らかになった。

「勢い、流れが変わったんだ」と34歳のジョコビッチは説明した。

 ジョコビッチは次のラウンドで、予選勝者のオスカー・オッテ(ドイツ)を6-4 3-6 6-3 6-2で破って勝ち上がった第6シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)と対戦する。ジョコビッチは7月、ウインブルドン決勝で彼を倒して栄冠に輝いていた。(APライター◎ブライアン・マホニー/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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