オーストリアがロックダウンのためインスブルックでのデビスカップ・ファイナルズは無観客開催に
男子テニスの国別対抗戦「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」(スペイン・マドリッド、オーストリア・インスブルック、イタリア・トリノ/11月25日~12月5日/室内ハードコート)の開幕が近づく中、開催地のひとつであるオーストリアがふたたびロックダウンに入ったためインスブルックで行われる試合をファンが観戦することはできなくなった。
またイタリア・トリノは収容人数の60%に制限され、チケット販売が低迷しているためイタリアの子供たちがスタンドの大部分占めることになりそうだ。準決勝と決勝の舞台となるスペイン・マドリッドは、最大75%までの観客動員が許可されている。
これは新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックのために昨年の大会がキャンセルされたあと、ふたたびフォーマットを変えて大会を復活させるに当たって主催者が思い描いていた形ではなかったはずだ。
2019年に18チームによる大会を7日間に渡ってすべてマドリッドで行ったあとにプレーヤーから出た主な批判は、スタンドに空席の目立つ夜遅い試合と対戦の間に十分な休みがないことだった。そのため主催者は木曜日に始まる今年の大会の期間を11日間に延ばし、会場を3都市に分けて行うことを決めていた。
ところがここにきてヨーロッパでふたたびCOVID-19の感染者数が増え始めたため、テニス最古の国別対抗戦にとって状況はより複雑になってしまった。
「デビスカップは素晴らしい観客たちの前でプレーできる大会だった。(前回の)マドリッドでは、僕たちは満員の観客の前でプレーできなかった。ほとんど無観客でやってるみたいだったよ」とダブルス世界ランク8位のピエール ユーグ・エルベール(フランス)は振り返った。
グループCのフランスはイギリスとチェコと同組で予選ラウンドをインスブルックでプレーすることになっており、そこでは本当に無観客での試合となる。
ニコラ・マウ(フランス)とのコンビで日曜日にATPファイナルズの男子ダブルスで優勝したばかりのエルベールは、「非常に多くの感染者が出ているオーストリアのことを思うと悲しいし、大会も観客をフル動員して行うことができなくなって残念だよ」とコメントした。
各都市はそれぞれ3チームによる2グループの予選ラウンドと少なくともひとつの準々決勝を主催し、準決勝と決勝はマドリッドで行われる。
ラファエル・ナダル(スペイン)が左足のケガでシーズンを早めに終えたためディフェンディング・チャンピオンのスペインはエース不在となり、世界2のダニール・メドベージェフ(ロシア)と同5位のアンドレイ・ルブレフ(ロシア)というふたりのトップ10選手を擁するロシアが優勝候補と目されている。
「チームの布陣を考えれば、僕たちがここで有力な優勝候補になることができると感じているよ」とUSオープン優勝者のメドベージェフは大会を見据えた。
ドーピングによる国際スポーツ界での出場停止処分が現在も進行中のため今大会でRTF(ロシアテニス連盟)と呼ばれることになる彼らはスペインとエクアドルと同じグループAで、会場はマドリッドとなっている。
ナダルを欠くとはいえスペインは、Next Gen ATPファイナルズ優勝者のカルロス・アルカラス(スペイン)やトップ20プレーヤーのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)とパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)がおり強力なチームであることに変わりはない。
世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)はセルビア代表チームを率い、インスブルックでの予選ラウンドでホスト国のオーストリアとATPファイナルズを制したばかりのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)が不在のドイツと対戦する。
東京オリンピックに続いてATPファイナルズでも準決勝でズベレフに敗れたジョコビッチは、「母国のためプレーすることに意欲を掻き立てられている」と意気込みを語った。
「デビスカップでの対戦にわくわくしているが、言うまでもなくこれはチーム戦だ。これは僕だけで決まる大会ではない。我々はシングルスもう1試合、或いは少なくともシングルス1試合とダブルス1試合に勝たなければならない。仲間たちがいい体調で準備万端であることを願っているよ」
世界24位のジョン・イズナー(アメリカ)と同26位のライリー・オペルカ(アメリカ)という身長2m超えのビッグサーバー2人を擁するアメリカ代表チームはグループEに入り、トリノのATPファイナルズで使われたのと同じ非常に速いコートでホスト国イタリアとコロンビアと対戦する。
「我々は最高に優れたサービス力を誇るチームのひとつだ。それは我々にとって大きなアドバンテージだ。ここのコートは速い。我がチームの皆に適した環境だよ」と同じく強力なサービスを武器とするジャック・ソック(アメリカ)と組んでダブルスをプレーすると予想されているラジーブ・ラム(アメリカ)は話した。
開催国のひとつであるイタリアはウインブルドン準優勝者のマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)をケガで失ったが、それでも新しくトップ10プレーヤーになったヤニク・シナー(イタリア)と地元トリノ出身のロレンツォ・ソネゴ(イタリア)を擁している。
ファイナルズでは18ヵ国が3チームによる6グループに別れて総当たり戦を行い、各グループの1位と2位の中でもっとも成績のいい2チームが決勝トーナメントに進出して優勝チームを決定する。試合はベスト・オブ・3セットマッチで行われ、シングルス2試合とダブルス1試合で争われる。(APライター◎アンドリュー・ダンプ/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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