グランドスラム大会のシングルスで3度優勝したダーリーン・ハードが85歳で逝去
アグレッシブなサーブ&ボレーのプレースタイルで知られ、国際テニス名誉の殿堂メンバーでもあったダーリーン・ハード(アメリカ)が85歳で亡くなった。彼女はグランドスラム大会のシングルスで3度、ダブルスで18回優勝するなど1950年代後半から60年代初頭にかけて活躍した。
45年に渡ってハードが働いた南カリフォルニア大学(USC)で学生新聞のディレクターを務めるモナ・クレイブンスさんによると、彼女は病気のためアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスのノースリッジ病院で息を引き取った。
現役時代のハードはグランドスラム大会のシングルス決勝に7度進出し、1960年フランス選手権(フレンチ・オープンの前身)および60年と61年の全米選手権(USオープンの前身)でチャンピオンに輝いた。彼女は1957年と59年のウインブルドンで準優勝し、1962年オーストラリア選手権(オーストラリアン・オープンの前身)では8強入りした。57年ウインブルドン決勝でハードに勝ったアリシア・ギブソン(アメリカ)は、黒人選手として初のウインブルドン制覇を果たした。
シングルスよりもダブルスでより大きな成功をおさめたハードは四大大会の女子ダブルスで13勝(全仏:1955年・57年・60年、ウインブルドン:57年・59~60年、63年、全米:58~62年・69年)、ミックスダルスで5勝(全仏:1955年・61年、ウインブルドン:57年・59~60年)を挙げた。彼女は様々なパートナーとダブルスをプレーしたが、1957年ウインブルドンはギブソンと、1959年と60年のウインブルドンではロッド・レーバー(オーストラリア)と組んでタイトルを獲得した。
1954年から63年まで毎年アメリカのトップ10に入っていたハードは4度1位となり、60年と61年には世界ランク2位をマークした。彼女は女子テニスの英米対抗戦「ワイトマンカップ」でアメリカの勝利に4度貢献し、1963年にはアメリカ代表チームの一員としてフェドカップ優勝を飾った。
1936年1月5日にロサンゼルスで生まれたハードは、南カリフォルニアの公営コートで母ルースの手ほどきを受けてパワーゲームを身につけた。彼女は女子テニスがベースラインでの長いラリーからオールコートスタイルに移行しつつあったときに現れた選手で、彼女のアグレッシブなプレーはこの流れによく合っていた。
テニスのプロ化が始まったのは1968年からのため、ハードの成功の大部分はテニスがアマチュアスポーツだった時代に築いたものだった。彼女は引退後にテニスを教える立場に回り、そのときに夫と一緒にテニスレッスンを受けにきたクレイブンスさんと知り合った。ハードは自分の業績について何も話しておらず、クレイブンスさんはインターネットが普及する前だったたため図書館で調べて初めて彼女の輝かしいキャリアについて知った。
「彼女は外見的にはぶっきらぼうな感じだったけど、内面はとてもソフトでした」とハードの親しい友人となったクレイブンスさんは語った。
クレイブンスさんはのちにUSCでの仕事をハードにオファーし、彼女はそこで大学のコンピューターシステムのメンテナンスから大学の年鑑や学校新聞のデザインまで様々な仕事をこなした。
「彼女にはデザインのセンスがありました。彼女は何をやるにしても、非常に熱心に打ち込んでいました」と金曜日にクレイブンスさんは話した。
ハードは短期間の結婚生活を送ったが、子供はいなかった。(APライター◎ベス・ハリス/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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