「夢の実現」地元カリフォルニア州出身の24歳フリッツがルブレフを倒し、ATPマスターズ1000大会でキャリア初の決勝進出 [ATPインディアンウェルズ]
ATPツアー公式戦の「BNPパリバ・オープン」(ATP1000/アメリカ・カリフォルニア州インディアンウェルズ/3月日10~20日/賞金総額955万4920ドル/ハードコート)の男子シングルス準決勝で第20シードのテイラー・フリッツ(アメリカ)が第7シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)を7-5 6-4で倒し、ATPマスターズ1000の大会でキャリア初の決勝進出を決めた。
出だしから積極的にプレーして第2ゲームで早くもブレークしたフリッツは、断続的な反撃を受けながらも試合を通して優位性を手放さなかった。通常ならアグレッシブなグラウンドストロークで常に先手を取るのがルブレフだが、この日のフリッツは後方からのラリーでも打ち負けていなかった。
少しずつ勢いを上げつつあったルブレフを抑えてストレートで決勝行き決めたあと、フリッツはオンコートインタビューで「現実じゃないみたいだ。これが現実だと感じられない。消化し、体勢を整えて明日の決勝に戻ってきたい。でもこれは、夢の実現だ。こういう瞬間のために、僕はテニスをプレーしてきた」と感慨を吐露した。
ややミスの多かったルブレフに対し、ベースラインからときに辛抱強くときに果敢に戦ったフリッツは5-2としながらブレークバックされて追いつかれたが、7度のデュースを繰り返した第12ゲームで相手のセカンドサーブを容赦なく攻撃してプレッシャーをかけ、3度目のブレークポイントをものにして第1セットをもぎ取った。
「僕は今日、間違いなく今大会ここまでの試合で最高のプレーをした。これ以前の試合ではやや安全にプレーしていたかもしれないけど、今日の僕はグラウンドストロークでずっとアグレッシブだったし堅実だった。今日の僕は主導権を握り、自分のテニスを相手に押し付けようとしたんだ。うまくできたと思う」とフリッツは試合を振り返った。
第1セット最後のサービスゲームで何度もアドバンテージを握り、キープするチャンスを手にしながらその都度自らのミスで棒に振ってしまったルブレフは、セットを落としたあとフラストレーションのあまり自分のラケットのストリングを拳で激しくパンチし、流血して治療を受ける羽目になった。第2セットに入ると冷静さ取り戻してスムーズにサービスゲームをキープできるようになったが、第2セット4-4から2つのブレークポイントをものにし損ねたあと、ルブレフはふたたび苛立ちを見せ始めた。
第2セット最後のゲームでのルブレフは見事な反射神経のボレーでポイントを取ったあとにイージーな決め球をアウトするなどプレーに一貫性を欠き、自らのミスで墓穴を掘ることになった。最後はフリッツがバックハンドのリターンをダウン・ザ・ラインに打ち込み、試合を締めくくった。
ジュニア時代から互いのプレーをよく知り合っているだけに、「今日は非常に明確なゲームプランを持って臨んだ」とフリッツは明かした。この勝利でフリッツは、プロ大会でのルブレフとの対戦成績(Next Gen ATPファイナルズ含む)において3勝2敗とリードした。
単にアメリカ人というだけでなくインディアンウェルズのあるカリフォルニア州出身のフリッツは、試合を通して主に自分を後押ししていた観客たちに「素晴らしい応援に背中を押された。ここの応援がなければやってのけられなかったと思う。ありがとう」とお礼を言うことも忘れなかった。
ひとつ気になるのは、最終ゲームの前にふくらはぎに違和感を覚えたフリッツがゲーム後にトレーナーを呼びたいと審判に声をかけていたことだ。結局メディカルタイムアウトを取る必要なく試合を終えることができたフリッツだが、脚の問題について聞かれると「サービスリターンの際に、ふくらはぎにちくっとした痛みを感じたんだ。深刻な問題でないよう願っているよ」と答えていた。
地元アメリカ勢として2012年のジョン・イズナー(アメリカ)となる決勝進出を決めたフリッツは次のラウンドで、第19シードのカルロス・アルカラス(スペイン)との新旧スペイン対決を6-4 4-6 6-3で制して勝ち上がった第4シードのラファエル・ナダル(スペイン)と対戦する。
写真◎Getty Images
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