新旧スペイン人対決を制したナダルが決勝へ、18歳アルカラスは次期王者の証を見せるも惜敗 [ATPインディアンウェルズ]

写真は試合後に健闘を称え合うラファエル・ナダル(スペイン/右)とカルロス・アルカラス(スペイン)(Getty Images)


 ATPツアー公式戦の「BNPパリバ・オープン」(ATP1000/アメリカ・カリフォルニア州インディアンウェルズ/3月日10~20日/賞金総額955万4920ドル/ハードコート)の男子シングルス準決勝で第4シードのラファエル・ナダル(スペイン)が第19シードのカルロス・アルカラス(スペイン)を強風の中で3時間12分に渡った死闘の末に6-4 4-6 6-3で倒し、4大会連続優勝に王手をかけた。

 “王者とそれを引き継ぐ者”と銘打たれたナダルとアルカラスの新旧スペイン人対決は、期待に違わぬ熱戦となった。本人が比較を望まないにせよ、頻繁にナダルの後継者と呼ばれてきたアルカラスはそれが単なるニックネームでないことを、その並外れたストローク力と何よりメンタル的な強さによって示して見せた。

 アルカラスのコーチであるフアン カルロス・フェレロ(スペイン)は試合前、「技術的な意味でのテニスでは、彼は誰をも倒す力を持っている。しかし特に自分のアイドルと対戦する今回、問題はメンタル的な部分だ」と話していたが、アルカラスは最初のゲームをブレークすることで師匠の心配を直ちに拭い去った。電撃的なバックハンドクロスのエースでブレークポイントをものにしてガッツポーズを作った18歳は、あらゆる意味で印象的だった。

 次のゲームで直ちに追いつこうとするナダルに対して試合を通して効果的だったドロップショットのエースでブレークポイントを凌いだアルカラスは、ファーストサーブの確率がかなり悪かったにもかかわらず6度のデュースと5つのブレークポイントを凌いでそのゲームをキープした。そのあとナダルはさらにもう一度サービスゲームを落としながらも追いついて最終ゲームでもブレークに成功するが、セットを取るために長い死闘を強いられた。

 双方が非常に強い風に苦しめられた第2セットでも、同様の競り合いが続いた。かなりのブレーク合戦となったこのセットで、アルカラスが5-4とリードを奪うことを可能にした第9ゲームは7度のデュースと20分の競り合いの末、最後はロブのウィナーによってアルカラスの手に落ちた。彼は続くサービング・フォー・ザ・セットで3つ目のセットポイントをものにし、セットオールに追いついた。

 よりネットに出ることで状況を打開したナダルが最終的なギアアップを見せて4-3から勝負を分けるブレークを果たすまで、最終セットもイーブン進んだ。そして多くのゲームがデュースにもつれたこの試合からついに勝者として抜け出したあと、ナダルは数時間ぶりに笑みを見せると「決勝に至れてこの上なく幸せだ。僕にとって大きな意味がある」と喜びを爆発させた。

 目覚ましいラリーのあとに何度か笑みを見せていたアルカラスとは対照的に、ナダルは試合を通して緊迫した表情を見せていた。

「彼はトップ100の中で上昇中の若手じゃない。彼はすでにトッププレーヤーだ。だから僕はこの試合を、世界最高峰の選手のひとりとの対戦として受け取っていた。若かろうが関係ない。彼は驚くべき選手であり、素晴らしい未来を擁している。僕はとにかくベストを尽くし、すべてのチャレンジを受けとめようとした。僕は切り抜けた。これは僕にとって、非常に重要な勝利なんだ」とナダルは試合後に語った。

 また第3セット途中からより頻繁にネットを取る道を選んだギアチェンジについて、「第3セットでは風が少し弱まり、何かする必要があると感じた」とナダルは説明した。

「第2セットでは(風が強すぎて)ボレーするのが難しかったけど、風が少し凪いだときによりアグレッシブにいく必要があると思った。そうしなければカルロスがショットを強く打ち込んできて、試合の主導権を彼に握られる。僕はよりアグレッシブに戦おうとし、それが機能したんだ」

 そして実際、その判断が勝負を分けた。

 キャリア最長となるシーズン開幕からの連勝を「20」に伸ばしたナダルは決勝で、第7シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)を7-5 6-4で破って勝ち上がった第20シードのテイラー・フリッツ(アメリカ)と対戦する。単にアメリカ人というだけでなくインディアンウェルズのあるカリフォルニア州出身のフリッツは、ATPマスターズ1000の大会でキャリア初となる決勝行きの切符を手に入れた。

 この日の最終試合で行われた男子ダブルス決勝ではワイルドカード(主催者推薦枠)で出場したジョン・イズナー/ジャック・ソック(ともにアメリカ)がサンティアゴ・ゴンサレス(メキシコ)/エドゥアール・ロジェ バセラン(フランス)を7-6(4) 6-3で退け、同大会で2018年に続く2度目の栄冠に輝いた。


男子ダブルス優勝のジョン・イズナー(アメリカ/左右)とジャック・ソック(アメリカ)(Getty Images)

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

写真◎Getty Images

Pick up

Related

Ranking of articles