「テニスは大好きだし、大嫌いだ!」準決勝敗退のキリオスが熱く語る [ ATPハレ]

ATPハレの準決勝でホベルト・フルカチュ(ポーランド)に敗れたニック・キリオス(オーストラリア)(Getty Images)


 ATPツアー公式戦の「テラ・ウォルトマン・オープン」(ATP500/ドイツ・ノルトライン ヴェストファーレン州ハレ/6月13~19日/賞金総額227万5275ユーロ/グラスコート)の男子シングルス準決勝で第5シードのホベルト・フルカチュ(ポーランド)に6-4 6-7(2) 6-7(4)で敗れたニック・キリオス(オーストラリア)が、テニスに対する自身の姿勢、気持ち、ジュニア時代から変わらないスタイルなどについて語った。

「テニスは心地よくも悪くもある。コートでストレスは大きい。テニスは物凄くストレスの溜まるスポーツだ。よくイライラするし、自分を落ち着けようとする。何とかうまくやる方法を探っている。でも、今は凄く高いレベルのプレーができて勝っているから、楽しめているよ」

何故それほどストレスを感じる?

「何故ストレスが大きいかというと、一人でプレーするからだ。他のスポーツでこれほど孤独なものはない。コートでは孤島にいるようでチームの助けも得られない。30秒間ベンチに座ることはできるが、誰とも話すことはできない。テニス界の偉大な選手たちの成績を見ても、彼らは50%より少しだけ多くのポイントを取っているだけなんだ。ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)でさえも、全ポイントの54%、55%くらいしか取れていないはずだ。これは物凄くストレスが溜まるものだ。相手より1~2ポイントの差だけで勝つんだ。こんなストレスフルなことはない。2ポイント中、ほとんど1ポイントは落とすんだ。メチャクチャストレスの大きいスポーツだ。君もテニスをしている? ストレスが大きいと感じないか?」

ああ、プレーしているし、ストレスは溜まるよ。でも、君ほどのレベルではプレーしていない。

「じゃあ、それ以上悪くなることはないね」

テニスのルールを変えるべき?

「いいや、その必要はない。でも、物凄くストレスが大きいスポーツだ」

それでもテニスが好き?

「大好きだし、大嫌いなスポーツだ。俺が7歳のときに両親がテニスを勧めてくれた。そこから長い道のりだった。テニスで成し遂げてきたことは素晴らしいものばかりだ。自分で基金を立ち上げて人々の助けになることができた。その部分は途轍もなく素晴らしい。毎週新しい国へ移動して、現地の人々と触れ合うのは最高の経験だ。そういう面ではテニスは素晴らしい。選手は早く独り立ちして人間として成長しなければならない」

君が引退したあと、君のような存在がいなくなることはテニス界にとって大きな損失になる。

「でも、僕のあとにもカルロス・アルカラス(スペイン)のような素晴らしい選手たちが出てきている。彼らも素晴らしい選手で、彼らなりの方法でファンを楽しませている。でも、テニスで多くの苦しみも味わってきた。難しい時期もあった。でも、そういう経験が俺を強くしてくれた。感謝している。僕が引退してもテニス界は大丈夫だ」

君のように奇抜なことをやる選手がいなくなる。

「テニスは凄く実直だ。そんな中で俺がやっているのが、アンダーアームのサービスだ。何もおかしなことをしている訳じゃない。でも観客は喜んでくれる。テニスはずっと同じことの繰り返しに慣れている。そこに俺のような者が登場して皆と違うことをやると、そういうことが起きるんだ。俺は別に人と違ったことをやろうとしている訳じゃない。10歳のときから、今と同じスタイルでプレーしてきたんだ。フランシス・ティアフォー(アメリカ)らとジュニアの頃からこのように一緒にプレーして成長してきた。ジュニアのときも同じようなことを試合中にしてきた。感情的になるのも変わっていない。今と同じスタイルでジュニアで世界ナンバーワンになった。すべての年代で勝ってきたから、そのスタイルを変える必要がなかった。12歳以下、14歳以下、16歳以下、18歳以下でもいつも勝ってきた。世界一になった。だから自分のスタイルを変えなかった」

普段、練習ではどんなことに取り組んでいる?

「基本的にポイント練習だ。タイブレークもよく練習する。ただ、ボールを出してもらって打つだけの練習などしない。コートの上で楽しみたいからね。つまらない練習はしない。いつもバスケットボールもプレーしているが、自分が興奮してしまうようなプレーをいつも練習している。テニスのためにバスケットボールをするトレーニングも取り入れている。でも、テニスを2時間以上はプレーできない。そんなに続けたら面白くないからね」

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写真◎Getty Images

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