「今大会の目標? 皆わかっているでしょ!?」大会直前に語るセレナ [ ウインブルドン]
今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月27日~7月10日/グラスコート)の女子シングルスに、6度の優勝経験がありながらノーシードで出場するセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が大会への抱負、現在の状況について語った
ウインブルドンに戻ってきて、どんな気分?
「ウインブルドンに戻ってきていい気分よ。少し非現実的な感じもある。ちょっと前にこんなことやらなかったっけ?という感じもある」
戻ってきてくれてよかった。
「長いこと出ていなかったからね」
引退をどのくらい本気で考えた? 戻ってきた理由は?
「わからない。とにかく引退しなかっただけ。フィジカル面、メンタル面で回復する必要があった。正直、プランは何もなかった。いつ復帰できるかわからなかった。どうやって戻ってくるのかもわからなかった。ウインブルドンに出られるのは光栄なこと。何とかうまくいってここにこられた」
イーストボーンの大会でどのくらい準備ができていると感じた? オンス・ジャバ―(チュニジア)とダブルスをプレーするのはどうだった?
「イーストボーンは凄くいい経験になった。とりあえずシングルスの準備はまだ出来ておらず、ダブルスではどんな感じか確かめてみた。シングルスに出場することもできたけどね。オンスのような調子のいい選手とダブルスを組むのは楽しかった。2~3ヵ月前よりかなり準備ができてきたと感じた。驚きもあり、とにかく楽しむことでいい時間になった。コートに戻ってこられて本当によかった」
ウインブルドンに出場すると決めたのはいつ?
「はっきりとは覚えてないけど、少し前ね。数週間前ではない。フレンチ・オープンの前だった」
昨年のウインブルドンの経験はどれほどきついものだった? そのあとUSオープンに出るのはどれほど難しかった?
「昨年のウインブルドンはタフだった。昨年1年間がタフだった。ほとんどケガをしていたから。ハムストリングを断裂した。それもきつかった。あんな経験は誰もしたいと思わない。すべての経験が厳しいものだった。それでもUSオープンを諦めなかった。出場するために毎日最善を尽くした。でも間に合わなかった。気持ちを整理してフィジカル面でも回復するまでラケットを置いたわ。昨年のケガは酷かった。全然楽しくなかった」
この1年間、オフコートでいろんなことを楽しんでいたようだ。
「ええ。全然違うものだった。テニスの大会よりも自分の人生のことだったと感じる部分もある。ベンチャー企業を持つと、すべてをつぎ込まないといけなくなる。私の自由時間をすべて費やしている。とても楽しい。ただ、私はこの数週間はオフィスにいないから、もしメールをしても、“オフィスを不在にしています”と返信がくるわ(笑)。みんな私が数週間後に戻るとわかっている。でもいいの。自分がしていることを本当に楽しんでいる。会社に関わるのも大好き。アカデミー賞の授賞式は本当に楽しかった。素晴らしい映画『ドリームプラン』の一部になれたことは素晴らしい経験だった。普段はあまり意識しないこと。だって、いつもの私はグランドスラム大会で優勝することを考えているのだから。自分がプロデュースした映画でオスカー賞を獲ることなど考えないから。凄くいい経験になった」
あなたはサッカークラブのチェルシーを買収しようとした共同企業に関わっている。今は他のサッカークラブの買収など考えている?
「私は投資家。刺激的な話があるときはいつでも興味をかき立てられる。とくにスポーツではね。私はスポーツを愛する気持ちが自然と備わっているの」
メンタルヘルスの問題で大坂なおみ(フリー)やビアンカ・アンドレスク(カナダ)が苦しんでいた。15年前くらいから話題になっていればよかったと思わない?
「どうだろう? 私は今まで乗り越えてきた様々なことがあって、今の自分がある。私は今の自分に満足している。誰かと交換したいとは思わない。でも、無意識にちょっと休みが欲しいなと思うことがある。私のキャリアを通して今の選手たちほどたくさんの大会に出場したことはなかった。無意識に自分のことを知り、守るためにそうしてきたのだと思う。多くの人がそれを学ぶ必要がある。両親が私の中に植え付けてくれたものだと思う。すでに自分の中にプログラミングされたようなもの。自然と自分には備わっていた」
今大会の目標は?
「皆は答えがわかるでしょ? 私には高い目標がある。どうかな? ここでは答えるのを控えておくわ」
ウインブルドンがロシア人選手、ベラルーシ人選手の出場を認めなかった。その中には君の友人も含まれる。その判断をどう思う?
「また重い質問ね。政治的、政府の決定などいろんなことが関わってくる。この問題について話すのも避けたいわ」
これが最後のウインブルドンになる? 来年も出場する?
「わからない。今言えるのは、今はここにいるということ。次回どうするかは誰にもわからない。出られるように準備しないといけない」
姉ビーナスのコーチを務めたこともあるエリック・ヘクトマン(左/アメリカ)が今年のウインブルドンではセレナに帯同している(Getty Images)
パトリック・ムラトグルーとのコーチ契約を解消した。10年くら一緒にいたコーチが不在の状況をどう感じている?
「オー! それはまったく考えてもいなかった。わからないけど、今の気分はいい。ここで素晴らしいときを過ごしている。その中でまったく考えていなかった」
今大会はセンターコートでの練習が許可された。昨年センターコートで滑ってケガをしたことを考えると、どう思う?
「面白いところね。練習できるのは素晴らしい面もある一方で、センターコートをいい状態に保たなければならない。私個人はセンターコートで練習できて物凄くうれしい。ケガをしたのはいい瞬間ではなかったから、それを乗り越えて忘れるためにも練習できたのはプラスになる。全体的には素晴らしいことだと思う。でも、私のように長年プレーしている選手にとっては少し違うのかな」
ラファエル・ナダル(スペイン)が2022年に達成していることをどう思う?
「多くを成し遂げた。忙しそうね。私はいつもラファのファン。私の犬の名前もラファから取ったほどなの。愛犬に会いたいわね。私はいつもラファを応援している。今年彼が成し遂げたことが皆をインスパイアしている。今後もさらに多くのことを成し遂げると思う」
ドローについて。もっと強い相手との1回戦がよかったと思う?
「すべての試合が難しい。すべての試合よ。どんな相手も下に見ることはできない。すべての選手が私と当たる可能性があった」
負傷で終わった昨年の大会の記憶を払拭するのにどのくらいのモティベーションが今ある?
「正直、物凄いモティベーションがある。あの試合を終えてから、ずっと頭の中に残って離れなかったもの。物凄いモティベーションよ」
記憶を塗り替えるために、リハビリや練習でのモティベーションになった?
「もちろんよ。もちろん。あんな形で試合を終えたいなんて誰も思わないわ。本当に不幸だった。でもいつも頭の中に強く残っていた。今日はありがとう!」
セレナは1回戦で、アルモニー・タン(フランス)と対戦する。
写真◎Getty Images
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