負傷したセレナが途中棄権、グランドスラム大会で2度目の初戦敗退「本当に辛いこと」 [ウインブルドン]

写真はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)(Getty Images)


 2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)の女子シングルス1回戦で、第6シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が第1セットのラリー中に滑ったことで左脚を痛め、途中棄権を強いられた。彼女の24回目のグランドスラム制覇への挑戦に、唐突に終止符が打たれた瞬間だった。

 セレナに起きたことを知ったときのロジャー・フェデラー(スイス)の反応は?

「何だって? 信じられない!」と彼は皆が感じたことをはっきりと口にした。

 フォアハンドを打ちながらベースライン付近で足を滑らせたとき、セレナはセンターコートでのアリャクサンドラ・サスノビッチ(ベラルーシ)に対する1回戦の第5ゲームで自分のサービスゲームをプレーしているところだった。午後のほとんどで雨が降っていたため、屋根は閉じられていた。

 セレナは顔をしかめ、ポイント間に恐る恐る歩いた。何か問題があることは明らかだった。そのゲームを落としたあと、彼女はメディカルタイムアウトを取ってプレーし続けようとした。

 泣きながら唇を噛んだセレナは、ポイント間に顔を覆った。観客たちは声援を送って彼女を励まそうとした。しかし最終的に39歳のセレナは膝を落とし、頭を芝につけた。彼女はラケットの助けを借りて起き上がると足を引きずりながらサスノビッチと握手をするためにネットに向かって歩いていき、第1セット3-3(15-30)の時点でプレーを断念した。彼女がグランドスラム大会で試合途中に棄権したのは2度目に過ぎず、1998年以来のことだった。

「今日の試合で棄権しなければならなかったのは、本当に辛いことでした」とセレナは大会が発行した声明文の中で述べた。

「もちろんセレナの気持ちを思うと本当に悲しいわ」とサスノビッチはコメントした。彼女は世界ランク100位で、ここまでのグランドスラム大会最高成績は2018年ウインブルドンでの4回戦進出となっている。

「彼女は偉大なチャンピオンよ。ときにテニスの世界ではこういうことは起きる。彼女がいち早く回復することを願っているわ」

 右手でラケットを掲げたセレナは左の掌を胸にあて、それから観客に手を振った。彼女がグランドスラム大会の1回戦で敗退したのは、わずか2度目のことだった。

 ディフェンディング・チャンピオンのシモナ・ハレプ(ルーマニア)と世界2位の大坂なおみ(日清食品)の欠場に続いてセレナがケガで棄権したことで、女子のドローは一層オープンなものになった。セレナはウインブルドンのシングルスで7度優勝を遂げており、2018年と19年にも決勝に進出していた。

 ウインブルドンが開幕してからまだ2日しか経っていないが、滑りやすい芝への対処に苦労した選手はセレナが最初ではない。これに先立つセンターコートでの男子シングルス1回戦で、第6シードのロジャー・フェデラー(スイス)は第4セットの途中で対戦相手のアドリアン・マナリノ(フランス)が足を滑らせベースライン付近で転んで右脚を痛めたことで最終的にリタイアしたため2回戦進出を決めていた。

 フェデラーは第1セットを先取したあと続く2セットを落としてセットカウント1-2とリードされていたが、マナリノが転んだときには第4セットで4-2とリードしていた。マナリノは試合を続けようとしたが試合再開後の9ポイントで1ポイントしか取れず、第5セットで1ポイントだけプレーしたあとに棄権を決めた。

 2時間44分の試合を6-4 6-7(3) 3-6 6-2で終えたあと、「これは僕が望んでいた終わり方ではなかった」と話したフェデラーは「今日は全体的にマナリノのほうがいいプレーをしていた」と認めさえした。

 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)も大会初日、センターコートの開幕試合で2度ほど滑って転んでいた。

「屋根が閉まっていると、少し余計に滑りやすくなるように感じるよ。単なる直感みたいなものかもしれないから分からないけどね。コートでは非常に注意深く動かなければならないんだ。まずい瞬間に無理し過ぎると、転んでしまうからね」とフェデラーは語った。

「日中にはより乾いていると感じるよ。風などが芝から湿気を取り去るからだろうね。でも言うまでもなく、この状況は酷いことだ」(APライター◎CHRIS LEHOURITES/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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