振り返ってみればあのとき、2020年コロナ禍特別企画「from SNS」Part1「ナダル×フェデラー」


 新型コロナウイルス感染拡大の影響が、世界中に広がる中、それでも選手たちは前を向いている。SNSなどを通じて“stay home”を呼び掛けながら、次々と発信されていくポジティブなメッセージ。ここではその一部をお届けしていこう。(2020年7月号掲載記事)

Rafael Nadal × Roger Federer
ラファエル・ナダル(スペイン)× ロジャー・フェデラー(スイス)

2020年4月20日、ナダルのインスタグラム生配信(@rafaelnadal)に、ライバルにして盟友のフェデラーが登場!互いのジュニア時代のことから、家族との時間まで、リラックスした雰囲気で会話を楽しんだ。

   ◇   ◇

手術はもう勘弁

「インディアンウェルズ以来、ラケットを握ってないよ!」(ナダル)

ナダル 今、ロジャーとつながっているようだ! 彼を見つけて、一緒に話したいと思う。インスタライブは初めてだから、簡単じゃないんだ、ゴメン。……(沈黙)。ゴメン、みんなもうちょっとの辛抱だ。彼を見つけるのは簡単じゃない! アンディは見つかった! アンディとは後で話すから、今はロジャーを見つけないと。OK、ようやく見つけたようだ。彼と一緒に少し話そうと思う。彼は家で家族といるから、やらなきゃいけないこともたくさんあるだろうけど。彼の自宅は山の中にあるのは知っている。先週も少し話したんだ、ツアーのことについてなどね。そしてコートに戻れる日のこと、どうやって助けが必要な人々を助けられるかと、その方法などを話し合ったんだ。あれ? つながらなくなっちゃった……。見つけた!
(ついにフェデラーが登場、2人とも大爆笑!)

フェデラー つながったね?

ナダル やっとだよ!

フェデラー なんてこったい! 君と僕、どっちがいけなかったのかな? 調子はどうだい?

ナダル ゴメン、たぶん僕のせいだと思うよ。

フェデラー いや、僕もだ。1回入ったけど、すぐにログアウトしちゃった。それを何回繰り返したかわからない。

ナダル 僕らはもういい歳なんだから、これくらいのこと、できなきゃダメでしょ!

フェデラー もっとできる奴にお願いしたほうがよかったんじゃない? 調子はどうだい? 君の家族や友人たちもみんな大丈夫かい?

ナダル ああ、大丈夫だよ。何日か前に教えたとおりだ。状況はよくはないけど、少しだけマシかな。まだ外には出られないけど、僕の周囲の人たちはみんなOKさ。君のほうはどうだい?

フェデラー 僕も調子はいいよ。ほかの人たちと同じように自宅にこもっているよ。ある意味、移動しないのはいい面もあるけど。でも、大変な思いをしている人たちがたくさんいるのに、自分たちの今の状況は歯がゆいというか居心地が悪い。でも団結して、家族、両親も元気だから、うれしいしホッとしている。アカデミーは開いている? いや、さすがに開いてないか。いつ再開するか、プランはあるの?

ナダル まだ再開の予定はない。政府の下したルールを守っているよ。前に少し説明したように85人のジュニア選手、70人のスタッフがいる。コック、フィジオ、トレーナー、みんなが子供たちの面倒を見てくれているよ。この前、子供たちやコーチたちと話したけど、みんな元気そうだった。

フェデラー インディアンウェルズ以来、プレーしてない?

ナダル インディアンウェルズ以来、ラケットを握ってないよ!(笑)

フェデラー 素晴らしい!(笑) もう、テニスできなくなったんじゃない!(笑)

ナダル コートに戻ったら、何か思い出せればいいけどね! 君のほうはどうだい?

フェデラー 壁に向かって少し打つ程度さ。膝のリハビリもしている。

ナダル 膝はよくなったの?

フェデラー ああ、大丈夫さ。最初の6週間はよくて、そのあと少し調子が悪かったけど、またよくなってきた。時間はたっぷりあるからね。ストレスもないし、急ぐ必要もない。その点はすごくポジティブだよ。1日の終わりに膝の調子がよければいいやって感じかな。いつ復帰できるかはあまり重要じゃない。少し壁打ちをしたり、リハビリ、フィットネスもやっている。OKだよ。ハッピーさ。君が手術を受けたことがあるかどうか知らないけど、2度目の手術だったから、リハビリなどにも慣れていて、前回よりだいぶ楽さ。断言できるのは、3度目を経験する必要はないということだけど。

ナダル そのとおりだね。少なくとも、現役の間にはもう経験する必要はないね。

フェデラー ああ、歳をとってからならまだいいかもしれないけど、今は勘弁だね。



家族との時間

「家族と一緒に長い時間を過ごすから、ルーティンは大事なんだ」(フェデラー)

フェデラー 一つ聞きたいことがあったんだ。ラファ、君が小さい頃にいたアカデミーはどんなものだった? すごいよかった? シンプルなものだった? 完璧だった?

ナダル 完璧ではなかったよ。でも両親がいたから、すごく幸運だったと思う。僕はサッカーをして、テニスをして、学校に行っていた。今のように簡単じゃなかった。9時から12時まで学校に行き、12時から14時までテニスの練習をして、15時までに急いで何かを口に放り込んで、17時半までサッカーをした。そこからまたテニスをすることもあり、宿題もあったから、両親は本当に大変だったと思う。でも大きな助けになったのは確かだ。叔父(トニー)もすごく重要な存在だった。君も似たような生活だったんじゃない?

フェデラー そうだね。テニスとサッカーをしていたのは同じだね。でも、サッカーはおそらく君ほどうまくなかったと思う。12歳でサッカーよりテニスを選んだから。でも一日のスケジュールは似たようなものだね。学校も宿題もあるのに2つの練習をこなすのは、ちょっときつかったから。一つどうしても聞きたいことがあったんだ。それは僕をすごく悩ませていたこと。君がレフティーだということさ。なぜ、元々右利きなのに左でプレーするようになったんだ? お父さんや叔父さんの影響があったの?

ナダル 僕は右ではプレーできないよ。僕が元々右利きというのはただの噂さ。バスケットボールでは右利き、文字を書くのも右だけど、サッカーとテニスは左利きなんだ。

フェデラー 生まれつき? 

ナダル ああ。君は何歳でテニスを始めたんだ?

フェデラー 3歳か4歳かな。ずっと右だけど、両手打ちだった。

ナダル 僕もバックもフォアも両手打ちで始めたよ。だから、それを見た人は僕が右利きなのか左利きなのかわからなかったと思う。でも僕はテニスではずっと左利きなんだ。

フェデラー ただの噂だったのか……。じゃあ、生まれつきというか、自然と左利きになったのなら、怒っても仕方ないね。

ナダル 子供たちはどう? この時間を楽しんでいるかい?

フェデラー ああ。先日、南アフリカから戻ったとき、娘のレニーと自宅の車に乗ったんだ。友人のところへ行こうとしていたんだけど、行き先を言ってなかったら、「どこへ行くの?」と聞かれて「オーストラリアへ戻るんだよ」と答えたら「オーケー!」だってさ。全然慌てることもなく(笑)。

ナダル (笑)

フェデラー 彼女は24時間の旅をする準備ができていたんだね。子供たちはどこへ行くのもハッピーなんだ。でも、スイスで一緒に過ごせるのはいいことだ。電話で話す以外、誰にも会えないのは正直つらい。両親でさえもね。子供たちも友達と遊びたいはず。それでも、一緒に過ごして、いつも大忙しさ。ずっと一緒にいられるから楽しいしエキサイティングだ。あと、ルーティンがあるのはいいことだね。学校、食事、就寝時間。子供がいて、特に何人もいるから、大事なことだ。家で一緒に長い時間を過ごすから、特にルーティンは大事なんだ。月曜日に何をしよう、火曜日にこれをしよう、週末はお休みという風にね。今は何をしていいのかわからないから。でも、みんな元気さ。それが一番だよ。

ナダル わかった。じゃあ君と家族との時間をこれ以上邪魔するわけにはいかないね。

フェデラー OK! じゃあ、僕はもう行くから、次はアンディと話しなよ。さっきから僕らの会話を聞いて笑ってばかりいるからね。彼とつながるのも10分くらいかかっちゃうかもね?

ナダル ロジャー、ありがとう。近いうちにまた会えるといいね。

フェデラー ありがとう。奥さんにもよろしく伝えて。じゃあね。ちゃんとログアウトできるかな? チャオチャオ、バイバーイ!

ナダル バーイ! ロジャーと一緒に話せるのは本当に素晴らしいね。アンディもオンラインだから、すぐにつながるはずさ。僕らよりもSNSには詳しいから、すぐに見つかると思うんだけど……。見つかるかな? ……アンディ、お前はどこにいるんだ!? (Part2「ナダル×マレー」へ続く)

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