AP通信が選ぶ最優秀女性アスリート賞「セレナ・ウイリアムズ」、彼女がここ10年で成し遂げたこと
セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)はコート上で、そして話題性という意味でもここ10年を支配してきた。まず、グランドスラム大会で10を超えるタイトルを誇り――10シーズン中に3度以上グランドスラム大会で優勝した女子選手はほかにいない――それから3年半連続でWTAランキング1位を維持していた。
そして、勝利、トロフィー、ファッション、または大会オフィシャルとの口論、雑誌の記事、女子のパワーに関するメッセージ入りのスーパーボールの広告、娘の誕生、それに続く健康の問題など、彼女にまつわるすべてをニュース価値のあるものとする“テニスを超えた有名人”としてのステータスもある。
30代後半になっても変わらず試合に勝ち続け、グランドスラム大会で決勝に進出し、変わらず重要性を誇示しているセレナは、土曜日にAP通信が選ぶ『ここ10年における最優秀女性アスリート賞』に選ばれた。投票はAP通信のスポーツエディター、APライターたちによって行われた。
『ここ10年における最優秀男性アスリート賞』は、日曜日に発表される。
「歴史書が書かれるとき、偉大なセレナ・ウイリアムズは史上もっとも偉大なアスリートとなっているかもしれません。私はそれを、『セレナ・スーパーパワー』と呼びたいと思います。…それがチャンピオンの精神姿勢なのです。直面してきた苦難やハンディをものともせず、彼女は常に自分を信じています」と2009年から2015年のWTAの責任者で、現在はUSTA(全米テニス協会)の最高責任者であるステイシー・アラスター氏はコメントした。
「それが健康の問題であろうと、カムバック、出産だろうと――彼女は出産に続く健康の問題で命を危険にさらされさえしました――でも彼女はそれらすべてに耐え抜き、変わらず優勝を狙える状態を維持しています」とアラスター氏は続けた。「彼女の記録を見れば、それは言わずとも明白です」。
2019年最優秀女性アスリート賞を受賞した体操選手のシモーネ・バイルズ(アメリカ)はこの10年の栄誉賞でセレナについで2位となり、3位には水泳のケイティ・レデッキー(アメリカ)が選ばれた。
セレナが受賞した5つの『APが選ぶ本年の最優秀選手賞』のうち3回はここ10年で実現している。それは2013年、2015年、2018年で、それ以前には2002年と2009年にも受賞していた。
「私は彼女をアイドルとあがめて育ってきた」とバイルズは明かした。「彼女は謙虚であり続けている。また自分のままで…自分のキャラクターを崩さず生きており、それは素晴らしいことだと思う」とバイルズは言った。「ひとたび勝ち始めると、人は横柄になりがちなもの。でも彼女は、負けても勝っても変わらぬ自分自身であり続けているのよ」。
彼女を駆り立てているのは、むしろ敗戦のほうのようなのだ。その悔しさが、どのスポーツにおいてもアスリートが滅多に到達し得ない高みへと彼女を押し上げた。
「負けるたびに、私はより決意を固める。それが、努力をつぎ込むための目標を与えてくれるのよ」とセレナは2013年にAP最優秀選手賞を受賞したときに話していた。「私は悦にいることはない。私はより懸命に努力し、よりよい成績を挙げる必要があると気づき、よりよいパフォーマンスをしたいと願っている。そうでなければプレーし続けたりしないわ」。
テニス界最高の一角であるサービスとパワフルなグラウンドストローク、間断ないコートカバーリングで、彼女はグランドスラムのシングルスで「23」のタイトルを獲得してきた。これは1968年に始まったプロ化以降の時代で、最多の数字だ。
そしてうち半分以上は、2010年〜2019年から来ている。ウインブルドンで4回、USオープンとオーストラリアン・オープンで3回ずつ、フレンチ・オープンで2回優勝。それには彼女の2度目の『セレナ・スラム』である2014年USオープンから2015年ウインブルドンまでの、グランドスラムでの4大会連続優勝も含まれている。セレナはここ10年に、グランドスラム大会でさらに7回準優勝しており、そのうち4回は2017年の出産後に復帰してからのものだ。
総じて彼女は、ここ10年で出場した「33」のグランドスラム大会のうち19回で決勝に進出している。これは58%近い高確率だ。
この10年は不運なことに、セレナがレストランで割れたガラスで足を切り、また肺に血栓ができて入院した2010年から始まっていた。
彼女がここ10年で成し遂げたことの中には、以下の事柄がある。
・2007年以来、毎年少なくとも一度はグランドスラム大会で決勝に進出している。
・2012年ロンドン五輪のシングルスとダブルス双方で金メダルを獲得した。
・プロ化以降の時代にグランドスラム大会で優勝した最年長プレーヤーとなった。
・WTA史上もっとも年齢の高い世界ランク1位となり、連続して首位で過ごした週の数でシュテフィ・グラフ(ドイツ)の最多記録と並んだ。
・シングルスで「37」のタイトルはツアー最多。37回は、ここ10年でほかの者がやってのけた数字より11回以上多い。
2016年にウインブルドンで優勝したとき、セレナは自分が絶えず行っている自己評価の仕方について話した。
「敗れたときには間違いなく、私は自分について(勝ったときほど)いい感じを覚えない」と彼女は語った。「でもそれから、私は自分に『あなたはセレナ・ウイリアムズなのよ! 冗談じゃないわ』と思い出させなければならないの」とセレナは笑いながら言った。「そんなときこそが、『セレナ、自分が何をやってきたか、自分が誰だか知っているでしょ? テニスの世界だけでなく、オフコートでも、何を自分がやり続けてきたか。あなたはすごいのよ』という感じに、自分に言ってやるべきときなのよ」。
(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
※写真はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)、2019年9月ニューヨークで撮影
NEW YORK, NEW YORK - SEPTEMBER 09: Tennis player Serena Williams and Alexis Ohanian attend the "The Game Changers" New York premiere at Regal Battery Park 11 on September 09, 2019 in New York City. (Photo by Jim Spellman/Getty Images)
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