ジャバーはウインブルドン決勝敗退も前向きな姿勢を崩さず「あまりに欲しがり過ぎたから手に入れることができなかった」
今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月27日~7月10日/グラスコート)の女子シングルス決勝で第3シードのオンス・ジャバー(チュニジア)は第17シードのエレナ・リバキナ(カザフスタン)に6-3 2-6 2-6で敗れ、悲願のグランドスラム初優勝を目前で逃した。ジャバ―は昨年の大会でベスト8に進出しており、今年はタイトルを目指して戻ってきたということを最初から公言していた。
最後のリターンがラインを割った瞬間にジャバーの顔は失望に染まっていたが、試合後の彼女は笑みを浮かべて「それがテニスよ。勝者はひとりしかいない。でも私にとって、これは素晴らしい初体験だった。次の決勝を心待ちにしているわ」とコメントした。
「私はこの決勝から間違いなく多くを学ぶでしょうね。でもこれは私にとって、ポジティブな2週間だった。私は俯かずに顔を上げるわ」
27歳のジャバーはアラブ人としてだけではなく、グランドスラム決勝に進出した初のアフリカ大陸出身の女子選手として既に歴史に名を刻んでいた。先駆者として道を切り開き続けている彼女は、「チュニジアの若い選手たちにインスピレーションを与えたい」と考えている。
決勝でのジャバーはそのスキルと巧妙な組み立てでリバキナのパワープレーに対抗しようとして第1セットではそれに成功していたが、リバキナのショットが当たり出すとそれを止めるのは非常に困難となった。
「あんなに強いサービスを打ってきて、こちらに少ししかブレークのチャンスを与えてくれない相手と対戦するのはイライラするわ。私は自分自身に『まだ終わっていない。私はあなたを信じてる』と言い続けた。試合中、自分に向かって『愛してるわ』とさえ言ったの」とジャバーは振り返った。
「でも、今日はそうなる運命ではなかった」
これ以前のジャバーはグランドスラム大会で準々決勝より先に進んだことがなかったが、彼女はここ1年で大きく飛躍を遂げた。トップシードのイガ・シフィオンテク(ポーランド)が3回戦で敗れたあとは世界ランク2位のジャバーが優勝候補と見なされ、彼女自身もそれを強く望んだ。
「結果にはとても満足しているし、何も後悔してないわ。私は今日、全力を尽くした。(以前にも)私は本当に多くの決勝で負けているけど、冷静に考えればあと1勝するだけ。私は自分を信じる気持ちを失いはしない。間違いなく戻ってきて、グランドスラム大会でタイトルを獲ると私にはわかっている。これがテニスであり、それ(決勝で敗れること)はその一部なの。私はそこから学ばなければならない。でも私は、非常に前向きな手応えを感じているわ」とジャバーは話した。
ジャバーはこのあとアメリカに渡ってサンノゼで競技を再開し、それからトロントとシンシナティのWTA1000大会に出場したあとUSオープンに臨む予定になっている。
「次の大会をプレーするのが待ちきれないわ。特にアメリカに行くことが。あそこにはクレイジーなファンが大勢いると知っているから」とジャバーは前を見つめた。
「これは多くのことの始まりなの。私はそう確信している。私は本当にあのタイトルが欲しかった。あまりに欲しがり過ぎたから、手に入れることができなかったのかもしれないわね」
「私は今年の出だしからこの大会に気持ちを集中させ、携帯電話にウインブルドン優勝杯の写真を入れてさえいたの。でも(今年は)そうなる運命でなかったのね」と改めてウインブルドンへの思いを語った。
「物事を強制することはできない。恐らく私にはまだグランドスラム大会のチャンピオンになる準備ができていなかった。私は次のチャンスを楽しみにしているわ」
写真◎Getty Images
Pick up
-
PR | 2025-03-14
『日本一を目指して』——ノアインドアステージの日本リーグでの歩み
テニスの日本リーグは男女とも1986年に始まった日本実業団の
-
2025-03-03
春休み部活応援企画---第65回テニマガ・テニス部「テニスフィジバト道場」
テニマガ・テニス部 部活プログラム著者がライブで解説&指
-
2025-03-03
キャンセル待ち受付開始---第64回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[技術の修正] 解説編」
テニマガ・テニス部 部活プログラム著者がライブで解説&指
-
2025-02-04
強豪校の練習法 テニス 大商学園高校式メニュー(吉田有宇哉/著、笹井伸郎/監修)2月5日発売!
強豪校の練習法シリーズ 陸上競技、バドミントン、バレーボー
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] (堀内昌一 著)書籍&電子書籍、QRコード付/動画視聴可
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
Related
-
2022-07-10
リバキナがウインブルドンでキャリア最大のタイトルを獲得「私は自分自身に、グランドスラム大会で優勝できるということを証明した」
-
2022-07-08
ジャバーがグランドスラム決勝に進出した初のアフリカ大陸出身女子選手に [ウインブルドン]
-
2022-07-07
アラブの星ジャバーが2児の母マリアを退けグランドスラム決勝の舞台へ [ウインブルドン]
-
2022-07-06
ジャバーがアラブ人として初めてグランドスラム準々決勝の壁を突破「もう長いこと、この段階に至ることを願っていた」 [ウインブルドン]
-
2022-07-04
世界2位のジャバーが2年連続準々決勝進出「本当にタイトルが欲しいから、私は戦い続ける」 [ウインブルドン]
Pick up
-
PR | 2025-03-14
『日本一を目指して』——ノアインドアステージの日本リーグでの歩み
テニスの日本リーグは男女とも1986年に始まった日本実業団の
-
2025-03-03
春休み部活応援企画---第65回テニマガ・テニス部「テニスフィジバト道場」
テニマガ・テニス部 部活プログラム著者がライブで解説&指
-
2025-03-03
キャンセル待ち受付開始---第64回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[技術の修正] 解説編」
テニマガ・テニス部 部活プログラム著者がライブで解説&指
-
2025-02-04
強豪校の練習法 テニス 大商学園高校式メニュー(吉田有宇哉/著、笹井伸郎/監修)2月5日発売!
強豪校の練習法シリーズ 陸上競技、バドミントン、バレーボー
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] (堀内昌一 著)書籍&電子書籍、QRコード付/動画視聴可
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
Ranking of articles
2025-03-15
錦織が第2シードを倒して4強入り、初対決のコボッリにフルセット勝利 [フェニックス・チャレンジャー]
2025-03-10
綿貫陽介がティアフォーを倒す番狂わせで初のマスターズ16強入り [ATPインディアンウェルズ]
2025-03-13
錦織がシード撃破で初戦突破、ヘルシンキ決勝の相手ナルディに連勝 [フェニックス・チャレンジャー]
2025-03-12
杉山愛監督がファイナルズ予選の日本代表メンバーを発表、伊藤あおいが初選出 [ビリージーンキングカップ]
2025-03-09
ジョコビッチが2大会連続初戦敗退、2018年シーズン以来の3連敗「ここ数年は状況が明らかに違ってきている」 [ATPインディアンウェルズ]