セレナ・ウイリアムズ----大記録グランドスラム24度目の優勝まであと2勝 [ウインブルドン]

 しかし、十分ではなかったのである。セレナは静かに去ろうとはしなかった。

 彼女はラブゲームでサービスをキープして4-3とリードし、それからカギとなるゲームがやってきた。リスクは次の自分のサービスゲームで3度ブレークポイントをセーブし、セレナが芝の禿げたベースライン上で滑った際にはポイントを取って4-4まであと1ポイントのところまでこぎつけた。

 その場面でセレナはまずドロップショットでボレーチャンスをつくって決め、デュースに持ち込んだ。それから彼女はスリリングな10本のラリーの末にまたもドロップショットでリスクを前に引き出してボレーを決め、ふたたびブレークポイントを手に入れた。

 このボレーが決まった瞬間、セレナは両腕を上げて顎を突き出した。観客席では彼女の夫が席から飛び上がり、彼女に人差し指を向けて叫び声を上げていた。

 そして次のポイントでリスクはダブルフォールトをおかし、セレナが必要としていた最後のブレークを手渡してしまったのである。

 今シーズンのセレナは故障や体調不全に悩まされ、先週までわずか12試合しかプレーしていなかった。

「1月以来、いい感じを覚えたのはこれが初めてよ」とセレナは記者会見の間に言った。部屋の後方では、娘オリンピアを彼女の代理人が抱きかかえていた。

「私にとってはすでに、本当に長い年、厳しい年だったわ」

 それは事実だ。しかし、彼女が“セレナ・ウイリアムズ”だということも、また事実なのだ。彼女は、12度目のウインブルドン準決勝に戻ってきたのである。

「彼女は真の大物だわ」とリスクは賛辞を贈った。

「私たちのスポーツがかつて決して目にしたことがなかったような…」

女子シングルス準決勝

セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)[11] vs バーボラ・ストリコバ(チェコ)

エリナ・スビトリーナ(ウクライナ)[8] vs シモナ・ハレプ(ルーマニア)[7]

※[ ] 数字はシード順位

(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)(写真◎小山真司 / SHINJI OYAMA)

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