人種平等を呼び掛けた大坂なおみが決勝へ「昨日はあまり眠れなかった」 [ウェスタン&サザン・オープン]
WTAツアー公式戦の「ウェスタン&サザン・オープン」(WTAプレミア5/アメリカ・ニューヨーク/8月22~28日/賞金総額225万829ドル/ハードコート)の女子シングルス準決勝で、第4シードの大坂なおみ(日清食品)が第14シードのエリース・メルテンス(ベルギー)を6-2 7-6(5)で下し、今季初優勝に王手をかけた。
ほとんど眠れぬ2日間と予想していなかったストレスを経て、大坂はこの瞬間にふさわしい力を見せた。グランドスラム大会を2度制したチャンピオンは人種平等の訴えをテニスツアーの前面に押し出すために奮闘したあと、彼女はコートに戻ってストレート勝ちをおさめた。
この勝利には、ただの1勝利以上の意味があった。
「もちろん注目されることでより多くの人々が自分を見ているから、今の私は余計なプレッシャーを感じているわ」と彼女は明かした。
人種差別に対する抗議のために声を大にするという彼女の決断に促されて大会が1日停止したあと、大坂はメルテンスを倒して今シーズン初の決勝進出を決めた。
22歳の大坂はテニス界の誰かが人種平等のためにリーダーシップを執ることを願っていたが、自分が最初の一歩を踏み出さなければいけないことに気付いたのだという。目立たないところにいるほうが好きな性格だけに、ここ2日間に注目を集めてしまったことは「少し恐ろしかった」と彼女は認めた。
「てんやわんやだったと感じているし、正直なところ昨日はあまり眠れなかったの。だから今日は、勝ててうれしかったわ」と彼女はコメントした。
女子のドローで勝ち残った唯一のトップ10選手である大坂は準決勝のあと、多くの黒人が警官に殺されたことについて「ムカムカし、疲れきっている」とツイートした。彼女は他のスポーツのアスリートたちに続き、人種平等をサポートする宣言として大会から棄権することを決意した。
他のテニス選手もサポートの意思を表明し、大会はやはり支持の意志表示として1日競技を停止した。そのこともあって大坂は、棄権せずにドローに留まることを決めたのだった。
コートに戻った彼女は、どのようにしてここ2日間の感情に対処したのだろうか?
「この試合のために準備するのは、ちょっぴりストレスが多かったわ」と彼女は打ち明けた。彼女のサービスは不安定だったが、――ファーストサーブの確率は50%ほどだった――大坂はガッツを見せて21回あったブレークポイントのうち18本をセーブした。
「私は彼女の決断に敬意を表すわ」とメルテンスは大坂が最初に棄権の意思を表明したことについての意見を述べた。「彼女がやったのは素晴らしいことだと思う。彼女はテニス界の模範よ。だから私は完全に受け入れているわ」。
この試合中には、ヒヤリとする瞬間もあった。タイブレークの途中でボールを追って走ったあとに、大坂が左のハムストリングを押さえたのだ。しかし彼女は休むことなく、そのまま試合を終えた。2018年USオープンで優勝した大坂はあらゆる意味で成功をおさめた週を経て、今年ふたつ目となるグランドスラムに臨むことになる。
大坂は決勝で、復活を図るビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と対戦する。アザレンカは第8シードのジョハナ・コンタ(イギリス)を4-6 6-4 6-1で振りきり、タイトルを獲得した2013年以来の決勝に戻ってきた。彼女は2013年決勝で、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に勝って栄冠に輝いた。
元世界ランク1位で31歳のアザレンカは、今年の初頭に引退を考えていたことを告白した。彼女は3月にモンテレイで初戦負けを喫し、先週のレキシントンでも1回戦でビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)に敗れていた。
現在59位のアザレンカは準決勝を通して微笑んでおり、試合を締めくくったあとに人差し指を上に向けて勝利を祝った。彼女は今週まだ1セットしか落としておらず、コート上でより楽しもうとしているように見えた。
「私は本当に長いこと、こんなふうに感じていなかったわ。正直に言って、恐らく一度もこんな気分になったことはなかったかもしれない」と彼女は語った。「それを今、私は楽しんでいるの」。(C)AP(テニスマガジン)
※写真は大坂なおみ(日清食品)
NEW YORK, NEW YORK - AUGUST 28: Naomi Osaka of Japan returns a shot to Elise Mertens of Belgium during the Western & Southern Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on August 28, 2020 in the Queens borough of New York City. (Photo by Matthew Stockman/Getty Images)
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ