エバートがナブラチロワとの長いライバル関係の浮き沈みを回顧
ふたりがグランドスラム決勝で戦う前、エバートとナブラチロワはペアを組んでフレンチ・オープンとウインブルドンでダブルス優勝を遂げた。
それは1973年にオハイオ州アクロンで18歳だったエバートが16歳のナブラチロワを倒した初対戦から始まり、最後は1988年のシカゴでの記録的80回目の対戦まで続いたふたりのライバル関係の変化の一部でもあった。最終的に両者の対戦成績は、ナブラチロワが43勝37敗(グランドスラム決勝ではナブラチロワの10勝4敗)で勝ち越した。エバートは初対戦のことを、「脅威を感じていた」と回顧している。
またノバク・ジョコビッチ(セルビア)がフェデラーとナダルに関して「我々はある意味で、互いを補い合っている。我々はお互いを成長させ、進化させ合っているんだ」と表現しているように、ふたりのライバル関係はお互いの上達に一役買っていた。
忍耐強いエバートの存在がナブラチロワにもっと集中することやよりハードにトレーニングすることを強い、攻撃的なナブラチロワの存在によってエバートはサーブ力の改善を余儀なくされた。ふたりをよく知るシュライバーは、その切磋琢磨の原動力を間近で観察してきた。
「クリシー(エバートの愛称)は非常に早い段階で優勢だったけれど、その後はある程度互角の時期があった。そして81年か82年くらいから、マルチナがクリシーだけでなく皆を圧倒するようになり始めたの。これらの年月を耐え抜いたとき、クリシーのキャラクターが本当の意味で現れたと私は思う」とシュライバーは解説した。彼女はナブラチロワと組んだダブルスでグランドスラム20勝を挙げ、シングルスでナブラチロワと43回、エバートとは21回対戦していた。
「クリシーは自分のテニスを調整し、少し力強くなってリスクを冒すプレーを取り入れるようになった。だからこそ彼女は、グランドスラム決勝でマルチナをさらに数回倒すことに成功したのよ」
共通するところもいくつかある。エバートとナブラチロワは、グランドスラムのシングルスでそれぞれ18度ずつタイトルを獲得した。
「最初の頃は、私が彼女をやっつけていた。私は彼女と練習していたし、ペアを組んでダブルスをプレーしていたの。それから彼女が私を倒すようになり始め、私は親しくなりすぎていると感じたからダブルスのペアを解消した。私たちはそれぞれの道を歩むことになった。彼女のコーチがナンシー・リーバーマンだったとき、ナンシーは彼女に対戦相手を憎むよう指導していたから私たちの関係はうまくいっていなかったわね」とエバートはくすくす笑いながら言った。
「私たちが仲良くやっていけるようになったのは本当にキャリアの最後のほう、たぶん最後の5年くらいになってからだったわ」とエバートは振り返った。
「フェドカップが私たちを結び付けてくれたの。私たちはかなり親しくなったわ。――ふたりのトップ競技者同士ではこれ以上はないというくらいにね」(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
※写真は1978年ウインブルドン決勝後のマルチナ・ナブラチロワ(当時チェコスロバキア/左)とクリス・エバート(アメリカ)(Getty Images)
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