セレナがUSオープン出場をいち早く表明「待ち遠しくて仕方がない」

2020年USオープンに参加するために、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が行った準備は入念だった。彼女は自宅の練習場に、今年のフラッシングメドウで使用される新しいブランドのハードコートを設置したのだ。

 新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中で初のグランドスラム大会にどのトッププレーヤーが出場するかについての疑問が飛び交う中、このテニス界最大の有名人は8月31日に本戦が始まったとき、そこにいるつもりだということを明言した。

「私はニューヨークに戻るのが待ち遠しくて仕方がないわ」とグランドスラム優勝歴23回のセレナは全米テニス協会(USTA)が彼らのもっとも大きな大会のプレゼンテーションの間に流したビデオの中でコメントした。

「USTAはすべてが素晴らしくなるよう、すべてが完璧で皆が安全であるよう手を尽くし、本当にいい仕事をしてくれると感じている。すごくエキサイティングな経験になるでしょうね。我々の多くが最後にプロテニスをプレーしてから、6ヵ月になるわ」

 男女のプロテニスツアーはパンデミックにより、3月途中から中断期間に入った。フレンチ・オープンは5月から9月に延期され、ウインブルドンは75年ぶりに中止(戦争以外では史上初)となった。

 USTAは火曜日、ややスケールを縮小した大会開催の提案についてニューヨーク州政府からGOサインをもらった。観客はなしで種目は減らされ、コート上で働く審判の数は少なく、検温が義務付けられて鼻腔粘膜を採取するウイルス検査も何度か行われる。より高価なプライベートの家をレンタルするオプションもあるとはいえ、ほとんどのプレーヤーと人数を制限された彼らのスタッフたちは指定されたふたつのホテルに泊まることになる。

「観客がいないのは間違いなく寂しいことよ。誤解しないで欲しいんだけど」と38歳のセレナは打ち明けた。「ただそこに出ていって、あのニューヨークの観客、皆の声援を聞くということ。それがないことは寂しいわ。彼らの声援のおかげで、私はこれまで何度もタフな試合を切り抜けることができたの」。

 セレナが大会を支持していること――彼女はUSオープンで6度優勝し、2018年と19年に準優勝していた――は間違いなく、同大会のテレビ放映を行うアメリカのスポーツ専門チャンネル「ESPN」にとって景気づけとなり、もしかすると他の迷っている選手たちを出場する方向に導くことになるかもしれない。

「言うまでもなく我々は非常にわくわくしており、彼女がこれほど早い時期に出場意思を表明してくれたことに感謝しています」とUSTAの最高責任者(CEO)であるマイケル・ドース氏は語った。「誰もが知る通り、彼女はテニスを超越しています。彼女は我々のスポーツよりも遥かに大きな存在なのです」。

 世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)とアシュリー・バーティ(オーストラリア)はニューヨークに赴くことに懸念を示しており、前年度覇者のラファエル・ナダル(スペイン)も同様だ。グランドスラム大会で2度優勝した実績を持つシモナ・ハレプ(ルーマニア)は水曜日に、現時点ではプレーしないほうに傾いていると発言していた。

「現時点で、反応は様々です」とWTAツアーのCEOであるスティーブ・サイモン氏は電話取材に答えて言った。「流動的になるでしょうね。しかしもし旅ができるなら、そして言うまでもなくプレーして安全な環境であると感じられるなら、戻ってきてふたたびプレーしたいと願うプレーヤーたちを本当に多く目にすることになるでしょう」。

 ニューヨークは一時期、アメリカにおける感染拡大の中心地だった。クイーンズのUSオープン会場の室内テニスコートのある施設は、感染者が多発した状況がピークのときに何百というベットを並べた仮設病院と化していた。しかし今は新規感染者の数は急速に減少し、町はふたたび開かれ始めている。

 今年から新しく大会ディレクターに就任したステイシー・アラスター氏によると、セレナは彼女が参加について連絡を取った数人の中のひとりだった。アラスター氏はメールや電話、ビデオ通話を通してプレーヤー、コーチ、代理人などとやり取りしていた。

「この進展の道を通し、そして大会は開催されるという噂が今週初頭に広まり始めたとき、多くの選手たちがプレーしたがっており、すでにトレーニングを開始してプランに安心感を覚えてくれているということを私は耳にしました」とアラスター氏は明かした。

「それは進化していく旅路となるでしょう。そして最終的にはアスリートたちが決めることになります。来ると決めた選手たちは、素晴らしいスターたちと素晴らしいショーを演じてくれると我々は信じています」

 28歳のハレプは現在世界ランク2位で、ウインブルドンの現チャンピオンでもある。彼女はまた、2018年フレンチ・オープンでも優勝していた。一方で彼女のUSオープンでの最高成績は、2015年の準決勝進出に留まっている。

「今朝の発表で知らされたUSオープンの条件を考えると、現時点での私はニューヨークでプレーすることを予定してはいない」とハレプはAP通信に送ったメールの中で述べた。

「とはいえご存知の通り、状況は流動的なものであり、コンディションは7月の出場申し込み期限の前に変わる可能性もある。私の決断は“不動のものではない”ということを強調しておきたい」

 ウインブルドンを2度を制したペトラ・クビトバ(チェコ)は、ニューヨークに行くか否かまだ決めていないとする声明を出した。

「プレーするという決断が簡単なものになるよう、COVID-19の感染者数と旅行の規制に関わるコンディションが改善され続けるよう願っている」(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真は昨年のUSオープンの女子シングルス表彰式でのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ/左)(Getty Images)

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