「まだ見ぬ17歳の地図」錦織圭インタビュー2006年末
自宅から車で1時間ほど走った鳥取のゴルフ場。平日のゴルフ場は人もまばらだったが、家族団らんのレジャーの場としてはうってつけだった。13歳で親元を離れ、アメリカで暮らす息子の約2週間の休暇の間、両親は時間を惜しむようにいっしょに過ごす。
アメリカでの生活は4年目に入った。そこはまさに成績至上主義。結果によって、生活環境も練習環境もまったく変わってくる。
普通に日本の学校に通う同年代と自分の生活とのギャップ。最初の1、2年は戸惑いがあったともという。「嫌々やっていた時期も、正直あった」と、当時の心境を振り返る。
「やっと今年(2006年)くらいから、なんか慣れてきたという感じ。言葉だったり、いろいろこっち(日本)では体験しないようなことがいっぱいあったり。やっと溶け込んでいけた、みたいなところもあります。
3年目で、やっとテニスが楽しくなってきたというか。いろいろ結果も出てきたし、テニスに対する思いが強くなってきたと思います。もっとやりたいと思えるようになったし、おもしろいと思えるようになりましたね。今は(アカデミーの)ジュニアの中で、まあトップになったって感じで。それで部屋も、いい部屋を用意してくれたのかもしれない」
家族との束の間のひととき 写真◎毛受亮介
練習では、アカデミーに拠点を置くトッププロ、アカデミーを訪れるプロたちとも打ち合う。トミー・ハース、マックス・ミルニー、ザビエル・マリース、ラデク・ステパネック…。まだ実績のないジュニアが頻繁にプロと練習させてもらえる環境は有名アカデミーならではだが、それは彼がそこでも大きな期待を寄せられているという証でもある。
マリア・シャラポワ、二コル・ヴァイディソワといった女子選手たちの印象の強い同アカデミーだが、以前はアンドレ・アガシやジム・クーリエが籍を置いていたことからもわかるように、男子トッププロも多く輩出している。
アカデミーの期待、日本からの期待。17歳は、これらをどんなふうに感じているのだろうか。プレッシャーには感じていないのだろうか。
「あんまり(プレッシャーは)ないです。たぶん日本にいたら、すごいなると思うんですけど、あっち(アメリカに)いるとなんにも感じないというか。あんまり考えていないですね。なんにも情報が入ってこないし。まあ、そこがいい点だと思うけど」
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