「まだ見ぬ17歳の地図」錦織圭インタビュー2006年末
2006年は、テニスプレーヤー錦織圭にとって、大きな変化の年だった。ジュニア大会の最高峰、グランドスラムにはすでに前年に本戦デビューを果たしていたが、1月のオーストラリアン・オープンと6月のフレンチ・オープンでベスト8。フレンチ・オープンのダブルスでは、日本男子としては初の快挙となるタイトル獲得を果たした。そのご褒美というわけではないだろうが、会場では世界ナンバー2、ラファエル・ナダルとの練習が実現した。
うれしい思い…、そして遠く日本からは決して見えない心の奥にあった悔しい思い…。
「最初にうれしかったのがフレンチのダブルスの優勝で、それがすごい自信にもなったし、そのときにナダルとも打てて。今年、捻挫を2回していて、2…3ヵ月くらいは休みもあったし、イライラしていた部分もあって。で、そのあとにフューチャーズで優勝して、チャレンジャーも1回勝てたし、それはすごいうれしかったですね。
捻挫は、一度目は3月に、メキシコのフューチャーズに出ていて、準決勝で捻挫して。なんとかフレンチはぎりぎりで出られたけど、そのあとにまた捻挫して。ウインブルドンの前ですね。一番悔しかったこと…一番はやはりケガです。それですごい気持ちがイライラしてて、すごい…なんていうんだろう……悲しかった」
ケガを「悲しかった」と表現する錦織に、アメリカの空の下での孤独を思い知らされる。そして、それでも、そんな中でこれまでと違った感情が生まれてきたと言う。
「そのケガがあって、もっとテニスがやりたいと思って、心が強くなったかもしれないです。テニスをやりたいというのがもっと増したという感じ」
ケガはテニスプレーヤーにとって、いやアスリートとして選手生命さえ脅かしかねない。才能ある選手の今後にもっとも影響を与えるのが故障と言ってもいいだろう。「ケガは年齢的にも仕方ない?」。度重なるケガについて率直に聞いてみた。
「いやー、ちょっと多すぎると思います。なんだろ、フレンチのときも試合中に腹筋を痛めて。すぐ痛くなっちゃう。もっとトレーニングが必要だと思います。体作りが一番ですね。今はランニングだったり、ウエイトだったり、週に2回ずつくらい」
本人も心配するフィジカル面だが、アカデミーのトレーナーが指導するトレーニングの成果は、見た目には彼の体つきを変えてきている。身長180㎝の体は、夏よりもひと回り大きくなっていた。
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