松岡修造_サービス講座「僕はこうして“サービス”を武器にした」

EPISODE2 18歳~プロ前期

89年オーストラリアン・オープン。ステップインサービスをやめて、レンドルを参考にフォーム改良。身体をそって背筋を使うとともに、両足を揃えて、より膝を曲げてジャンプし、スピードを出すようにした

スピード重視でステップインサービス

 身長はもう185㎝くらいになっていました。僕にとってサービスはすでに武器という認識はありましたが、サービスでポイントを取っているという感じがなく、いいときもあれば、悪いときもあるという感じで、リズムが悪かったと思います。

 高2のインターハイが終わってから、前足を大きくステップインするサービスに変えました。なぜそうしたかというと、海外を経験して、世界のサービス力を目の当たりにし、もっと速いサービスを打たなければいけない、サービスポイントを取らなければいけないと、焦ったんです。あのときはスピードばかり追いかけてしまいました。

 ステップインサービスは、確かにスピードが出て、勢いが付くのですが、動いてトスアップするのでトスの精度が落ちて、しかもバランスが崩れやすく、フットフォールトが増えます。そういう代償を払う打ち方だということに気づいていなくて、それを指摘したのが、コーチのボブ・ブレットでした。ひと言「安定しないからやめなさい」と言われ、すぐにやめました。世界のボブが言うのですから、何の反抗もしませんでした。

 結局、ステップインサービスは一年でやめ、その後は、前足を固定する形に戻しました。今は、前足はきちんと決めた方が安定すると考えています。

レンドルを真似てフォーム矯正

 ボブにやめなさいと言われた後のことですが、イワン・レンドルのサービスにヒントをもらいました。僕は人の真似をするのが好きで、子供の頃も、今日はコナーズ、今日はマルティナ・ナブラチロワなどといろいろ真似ていました。僕のサービスを見て、今日はボルグだ、と言う人もいたくらい。いいものを取り入れたい気持ちはいつもありました。

 レンドルを真似て大事にしていたことは、テークバック(完了時)で、より膝を曲げてバランスを保つことでした。これはボブに言われていたことで、テークバックの形がよければ、フォワードスイングでラケットが加速して、ボールにパワーが伝わるというわけです。よく野球の投手が毎日、鏡を見ながら投球フォームのチェックをするように、僕も毎日、鏡の前でサービスフォームをチェックしていました。

サービスエースよりサービスポイント重視に

 プロになって体格のいい選手たちの速いサービスを目の当たりにして、スピードを上げればポイントが取れるという勘違いをしたりしました。しかし、試合を研究していくにつれ、サービスで一番大切なのは、サービスエースを取ることではなく、サービスポイントを増やすこと、サービスを有効打としてポイントを取る人がサービスのいい人なのだと気づきました。

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