奥大賢&長尾克己_ダブルスの戦い方&考え方【前編_サービス&リターン】

高校時代からペアを組み、もう10年が経つ。2人は現在も日本トップクラスのダブルスとして活躍し、国内、海外のトーナメントに参戦している。サービスとネットが得意でパワー系の長尾選手と、ストロークが得意な技巧派の奥選手。2人のプレースタイルは正反対ではあるものの、だからこそ機能し、何よりもお互いが、お互いのプレーを知り尽くしていることに強さの秘密がある。彼らの言葉から上達へのヒントを探りたい。前編はサービスゲームとリターンゲームの戦い方&考え方について。/日本を代表するトップダブルスに聞く~奥大賢&長尾克己「ダブルスの戦い方&考え方」【テニスマガジン2016年10月号掲載記事】

Service Game
サービスゲームの戦い方&考え方
~勝利への条件となるサービスキープ

コイントスに勝ったらリターン

長尾 サービスゲームは必ず僕からですね。昔からずっとそうです。
  長尾選手のほうがサービス力があるからですが、でもコイントスに勝ったら必ずリターンゲームを選びます。
長尾 リターンゲームのほうが思いきっていけますから。立ち上がり、いきなりサービスキープが重圧にならないようにという意味もあります。
  まずは1ゲーム戦って、身体をよく温めてから、長尾選手のサービスゲームをしっかりとキープしたい。それと次のボールチェンジのときに、こっちのサービスゲームじゃないですか。ニューボールで打ちたいという狙いもあります。

2人のポイントパターン

長尾 僕のサービスのときは、とにかくサービス力で崩して、リターンが甘くなったところを前にいる奥選手に決めてもらうということを考えています。僕はほぼサーブ&ボレーで前へ出ます。僕は後ろにいるよりも前に行くタイプで、そのほうが自分の持ち味が生かせます。
  僕はサーブ&ボレーはほとんどしません。長尾選手とは逆で、後ろでボールをつくるタイプで、前にいる長尾選手に決めてもらいたい、決めてもらうようにしています。
長尾 役割分担ができているというか、はっきりしているよね。
  僕がつくって、長尾選手が決める。もちろん逆もありますけど、このかたちのポイントパターンが一番多いし、そうなるとこっちのペースかなと。
長尾 その軸となっているショットが奥選手のフォアハンドのストローク。僕たちの強力な武器です。サイドスピンがかかった独特のボールで相手も打ちづらい。「いける!」と思ったらどんどん(ポーチに)出ていきます。
  普通のフォアハンドよりも外から巻くような感じで、バウンドに変化します。僕がそのショットを打つタイミングも長尾選手はわかっていると思うので、そこはもう阿吽の呼吸ですね。

Iフォーメーションの使い方

長尾 2人の違いと言えばI(アイ)フォーメーションもそう。僕のサービスゲームではほとんど使いませんが、奥選手のときは多用しています。
  僕には長尾選手のようなサービスの威力がないので、相手に簡単にリターンされないように、いろんなことをしないといけない。レシーバーを揺さぶり、いろいろと考えさせる意味でIフォーメーションをよく使います。
長尾 1ポイント目からでも普通にIフォーメーションを使うよね。僕はどうにもファーストサービスが入らないときや、相手のリターンが絶好調のときに使う程度です。
  僕のサービスゲームの半分はIフォーメーションをやっているかもしれません。ただ、目的はIフォーメーションを使うことではなく、サービスをキープすること。そのための手段として、長尾選手はあまり使わないけれど、僕は使うということです。

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