奥大賢&長尾克己_ダブルスの戦い方&考え方【前編_サービス&リターン】

得意なパターンに持ち込む

  リターンゲームの前衛にいるときは、サーバーを見つつ、長尾選手のリターンの体勢を見ています。それでリターンを返すコースはだいたいわかるので、自分のポジションも見えてくる。僕はそこからポーチに出ることは少ないほうなんですが。
長尾 僕はどんどんポーチに出るほう。ネットは僕にとってのセーフティーゾーン。奥選手が後ろ、僕が前というのが、やっぱりポイントパターンなので、そういうかたちにもっていきたいんです。僕がリターンする以外で後ろに下がっている理由が見当たらないというか。
  僕はフォアのクロスラリーをやりたいので、僕が右に動いて、長尾選手が左に動くパターンが多いですね。
長尾 そのほうが僕もフォアボレーでいけるし、ものすごく安心感があります。アドコートのラリーはあまりないですね。そうなると奥選手は前へスルスルと出てきますから。

リターンゲームの重要性

長尾 試合に負けるときはブレークを許すなど、サービスゲームでのミスや問題点が多いと思っていましたが、今はそれが少し違うことに気づきました。
  そうだよね。負けるときはリターンゲームに問題のあることが多い。サービスの調子が悪くても何とかキープにつなげられるけれど、リターンが揃って調子が悪いときはまず勝てない。
長尾 以前はサービスキープを続けて、リターンゲームのどこかで1回でもブレークできれば勝てると思っていたし、そう教わっていたんですが、実際はリターンゲームの質、内容がサービスゲームにものすごく直結していると感じるんです。
  僕もそう思う。いい試合ができているときは、たとえゲームを取れなくても、リターンゲームをしっかりと戦えていると思うことが多いですね。
長尾 リターンゲームの調子がいいと、気持ち的にポジティブになってサービスゲームにスムーズに臨めるというか。リターンゲームでポイントがとれないときは、サービスゲームが重いものになってしまう。
  サービスゲームとリターンゲームは別物ではなく、やっぱりつながっているんだと思う。
長尾 それがわかるようになってから、少しずつ結果が出るようになったような気がします。

デュースサイドの奥選手(左)とアドサイトの長尾選手

デュースサイド/奥選手の声

「僕は一発勝負のタイプじゃなく、安定してリターンを打てるほう。デュースサイドは15-15、30-30などイーブンのときが多いので、そういう意味では合っているかもしれませんね。フォアハンドのクロスラリーは得意だし、バックハンドも逆クロスは苦にしないですし。さらにワイドに打たれたときのフォアのストレートも大きな武器ですから、やっぱりデュースサイド向きなのかなと思います」

アドサイド/長尾選手の声

「デュースサイドはまず確実にというイメージがありますから、安定感のある奥選手が適任。ゲームの1ポイント目は手堅くいきたいですから。アドサイドはゲームポイントがかかることが多く、よりチャレンジできるサイドと感じています。バックの逆クロスがそれほど得意ではないし、勝負をかける点で自分はアドサイド向きだなと。ただ、デュースサイドで勝負、アドサイドで堅実にという逆の考え方もあるとは思います」

奥 大賢(写真左)|プロフィール

おく・ひろまさ◎1989年7月31日生まれ、27歳。178㎝、69㎏。東京都八王子市出身。6歳から自宅近くのミヤムラテニスセンターに通い始める。長尾谷高へ進学し、長尾とインターハイ、選抜、全日本ジュニアなどに出場し、ダブルスのタイトルを獲得。日本大に進学し、卒業後はミヤムラテニスセンターで働きながら2012年8月にプロ転向。その後、長尾とともに2015年の和歌山国体の強化選手となり、ミヤムラテニスセンターを離れて紀洋石油―エキスパートパワーシズオカに所属。今年の日本リーグはエキスパートパワーシズオカの初優勝に貢献。現在は立川ルーデンステニスクラブを拠点にし、国内、海外と積極的にトーナメントに出場中。この8月は長尾と3週連続で韓国フューチャーズに出場予定。ダブルスの世界ランク自己最高位は491位(2016年6月27日)。現在の目標は「長尾と組んで全日本ダブルス優勝。それとチャレンジャー大会にも2人で出てみたい」。得意なショットはフォアハンドの逆クロス。バックハンドは両手打ち(※プロフィールは2016年8月当時)

長尾克己(写真右)|プロフィール

ながお・かつき◎1989年4月14日生まれ、27歳。178㎝78㎏。和歌山県和歌山市出身。家族の影響で7歳からテニスをはじめ、長尾谷高へ進学。高校時代は伊藤竜馬、三橋淳、奥大賢らとともにインターハイ、選抜に出場した。奥と組んで全日本ジュニア16歳以下と18歳以下のダブルス優勝。群馬県の上武大に進学。大学4年のインカレで奥と組んで準優勝。卒業後はJR北海道に所属、1年後に群馬に拠点を戻し、大学時代にアルバイトしていたミナミグリーンテニスクラブへ。2013年7月にプロ転向し、結婚。今春から卒業した上武大の職員となり、テニス部コーチとなる。今年の日本リーグではエキスパートパワーシズオカの初優勝に貢献し、MVPを受賞。現在は上武大を指導する傍ら、トーナメントに出場。ダブルスの世界ランク自己最高位は490位(2016年6月27日)。現在の目標は「全日本のダブルスで優勝すること」。奥とのコンビでITF3大会に優勝、2014&15年国体成年の部優勝。得意なショットはサービス、ボレー。バックハンドは片手打ち(※プロフィールは2016年8月当時)

※トップ写真は、奥/長尾のダブルス

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