鈴木貴男プロ_究極のプレッシャーゲームを制するコツ

相手とワンプレーごとに駆け引きを行う中で、セカンドサービスは、もっともストレスがかかる局面。ブレークポイントを握られたらなおさらだ。ピンチを切り抜けるために、どんな準備、心構えが必要か。鈴木貴男プロがセカンドサービスを心理面から考えや解決のヒントを伝授する。(テニスマガジン2020年1月号掲載記事)

指導◎鈴木貴男

すずき・たかお◎1976年9月20日生まれ、北海道出身。6歳からテニスを始め、数々のジュニアタイトルを獲得。堀越高校卒業後の95年4月にプロ転向。サーブ&ボレーを軸としたネットプレーヤーとして活躍。98年ストックホルム、01年ジャパンオープンでベスト8入り。オーストラリアン・オープン、ウインブルドンで2回戦進出。デ杯単複計41勝は最多記録。自己最高世界ランク102位。現在は内山靖崇プロのツアーチームにも同行

写真◎Getty Images

セカンドサービスは心理面の影響が大きい

「セカンドサービスを打つ」ということは、サーバーにとって根本的に厳しい状況です。前提として1本目を外したわけですから、サービスを打った感触もよくないですし、試合展開や対戦相手との力関係、環境(サーフェスや風の状況など)といった条件も、セカンドサービスを打つ前の心理面に大きな影響を与えます。そのすべてを含めたもの、それがセカンドサービスと考えてもいいでしょう。  セカンドサービスは技術と心理面、その両方を鍛えることが重要です。大事な場面でうまく打てないから「プレッシャーに強い・弱い」という話ではありません。ミスしてしまう人は、追い込まれた局面への「慣れ」と「技術」が足りないだけ。誰でも改善の余地はあります。では、ここからセカンドサービスを心理的な面からアプローチしようと思います。

 普段の練習から「厳しい状況」をつくる

 セカンドサービスは試合で何度も訪れる、サーバーにとって不利な場面です。ただ、練習から対応する力をつけると、本番のストレスにうまく耐えることができます。その練習法を紹介していきましょう。

 練習試合は、セカンドサービスを磨く絶好のチャンスです。練習相手と話し合い、「サービスの変則ルール」を設けることをおすすめします。いくつか例を挙げましょう。

1 |オール・ワンサービス
2|ブレークポイントを握られたらワンサービス
3|デュースになるとサービス2本

 試合と同じ心境とまではいかなくとも、似た状況をつくることで、追い込まれたときに自分が選択するプレーの傾向やクセ、課題がよくわかるようになります。「15-40のサービスは安定するけど、30-40だとミスが増える」といったものや「勝負所で意外とセカンドサービスがしっかりと狙えるな」というポジティブなものまで。この積み重ねが、状況ごとの判断の速さ、試合の落ち着きにつながります。

1|オール・ワンサービス

 その名のとおり、サービスゲームはすべて「サービス1本のみ」。フォールトしただけで相手にポイントが入る。練習でさえ緊張感が生まれ、サービスを打つときにプレッシャーがかかります。

2|ブレークポイントを握られるとワンサービス

 オール・ワンサービスは高いレベルの選手同士でなら成り立つが「試合にならない…」と思う方も多いはずです。2つ目のルールは、相手にブレークポイントを握られた時点で「ワンサービス」に切り替わるルールも効果◎。「0-40」「15-40」「30-40」「アドバンテージ・レシーバー」と4つの局面を想定できます。この場面でプレッシャーを感じながらどう切り抜けるかが試されます。

3|デュースになるとサービス2本

 デュースに並んだ場面でサービスが2本打てる設定も紹介しましょう。途中まではオール・ワンサービスと同じですが、デュースの場面で2本のサービス権が得られます。本来、デュースは緊張感が増すものですが、この設定だと、逆に2本に増えることによって気持ちに余裕が生まれることもあります。1本増えたことでファーストサービスとセカンドサービスを考えながら大事に、かつ大胆に打つ戦術を考えるようになります。

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