横山正吾トレーナー×清水悠太プロ「#StayHomeのあとは徐々に動き始めよう!」メディシンボールトレーニング編【記事&動画】
コートの練習に戻ったときに、いきなり全面を動くのではなく、半面のラリーからスタートをして、徐々に全面の動きに戻していく、そういう工夫をみなさんはされるのではないでしょうか。同様に、動きのトレーニングにおいても、まずは狭い範囲のフットワークからスタートして徐々に動ける範囲を広げていき、最終的に広範囲で動けるようにしていきます。
今回はメディシンボールを使ったパワー発揮のためのトレーニングを行いましょう。デモンストレーションは、普段からこれらのトレーニングを行っている清水悠太プロです」 動画再生時間 5分57秒。(テニスマガジン2020年10月号掲載)
指導 ◎ 横山正吾
よこやま・しょうご◎1983年7月25日生まれ。学生時代にデビスカップ日本代表チームの強化合宿の見学に行ったのをきっかけに、卒業後はチームのアシスタントトレーナーを務める。選手の遠征への同行やテニスラボ、実業団や大学、高校でのトレーニング指導を担当するようになり、現在に至る。遠征同行は日比野菜緒、加藤未唯、指導先はテニスラボ、伊予銀行テニス部、島津製作所テニスチーム、神戸学院大学テニス部、大商学園高校女子テニス部など。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー。日本オリンピック委員会強化スタッフ
モデル ◎ 清水悠太プロ
しみず・ゆうた◎1999年6月9日生まれ。滋賀県出身。三菱電機所属。163cm、62kg。西宮甲英高校卒。2018年4月プロ転向。ATPランキング自己最高はシングルス313位(2020年3月2日付)、最新シングルスは315位(2020年3月16日付)、ダブルス最高は370位(2018年12月3日付)。下部ツアーのITFフューチャーズで単7勝(2018年1月中国、6月グアム、9月オーストラリア、2019年6月韓国、中国、2020年1月香港、2月カザフスタン)。2019年全日本選手権準優勝。ジュニア時代は2017年全日本ジュニア18歳以下単複優勝、同年大阪市長杯世界スーパージュニア単優勝、同年USオープン・ジュニア男子ダブルス準優勝(/堀江亨)など
写真◎石井愛子 取材協力◎ブルボンビーンズドーム
トレーニング1|壁に向かってチェストパス
ここから紹介するメディシンボールトレーニングは、前回行ったチューブトレーニングを発展させたものです。 まずメディシンボールを壁に向かって投げ、エネルギーを出すことから始めます。壁に正対して立ち、両手でメディシンボールを持って胸の前にセットします。そこからバスケットボールのチェストパスの要領でボールを壁に向かって押し出すように投げ、跳ね返ってきたボールを両手でキャッチします。
このチェストパスのトレーニングでは下半身をしっかり使ってください。ボールを投げる前に股関節をしっかり曲げ、体重を乗せます。そしてボールを投げるときは両足で前に入って(ジャンプして)股関節、膝、足首を伸ばすと同時に、両腕もまっすぐ前に伸ばし、エネルギーをボールに伝えます。下半身から上半身、上半身からボールへエネルギーを伝えましょう。投げたあとは、両足で元の場所へ戻り(ジャンプして戻り)ながら、跳ね返ってきたボールを両手でキャッチします。そのまま次の動作に続けて入ってください。10回連続で行います。
トレーニング2|横方向へひねって戻して ボールスロー
股関節に体重を乗せる感覚を意識したいので、最初は下半身(軸足)をあまり動かさないで行います。股関節を曲げ、軸足に体重を乗せて、そこからボールをスローします。壁で跳ね返ったボールのエネルギーや重さを利用しながらキャッチしてテークバック。次のスローに向けて股関節を曲げ、軸足に体重を乗せてそこからスロー。このようなキャッチ&スローを10回繰り返します。
最初は下半身を止めて行いますが、慣れてきたらつま先が進行方向に向くまで身体を回していきます。
跳ね返ったボールをキャッチしながらテークバック。ボールのエネルギーや重さを利用する
ワンポイントアドバイス
軸足の つま先の向きが重要
ボールのリリースを何度か繰り返していると、つま先が斜め後ろ(テークバック方向)に向いてくる人がいます。つま先が後ろを向いてくると、股関節に体重を乗せられず、エネルギーのないボールをスローすることになります。 写真を見てください。つま先はラインと平行にセットし、この位置を変えないようにしましょう。
○ つま先はラインと平行
股関節に体重を乗せる感覚がわかるはず
× つま先が斜め後ろを向く
つま先が外を向くと股関節が開いて体重が乗らない。写真のようにスクエアスタンスでは、つま先はラインにまっすぐ(横方向)で、曲げた股関節の間にボールを挟んでも落ちないようなイメージだ
トレーニング3|ランジポジションからボールスロー
右足を前に踏み出し、上半身をテークバック(後方にひねり)、ランジのようなポジションをとります。そこから身体、腕をまっすぐに伸ばしながら、右足の位置を変えずに踏ん張ってボールを押し出し、一本足で止まります。
ポイントは下半身から上半身、上半身からボールへエネルギーを伝えることです。投げるときに軸足がズレたり、後ろに下がったりせず踏ん張って、フッ!と息を吐きエネルギーを伝え切ります。連続で10回繰り返します。
ワンポイントアドバイス
股関節、膝、足首の関節を タイミングよく伸ばす
出力するときは股関節、膝、足首の関節をタイミングよく伸ばし、身体が一直線になるようにボールを前に押し出します。
× 猫背でスロー
下半身から上半身にエネルギーを伝えるときに、背中を丸めて猫背になってしまうとエネルギーは上半身、ボールへ伝わらない
× 下がりながらスロー
ランジポジションのあと、下がりながらボールを投げる人がいる。軸足は止めて、エネルギーは下半身から上半身へ伝える
トレーニング4|オープンスタンスからボールスロー
トレーニング2はスクエアスタンスでしたが、ここではオープンスタンスでボールスローを行います。壁のほうを向いたまま、オープンスタンスでテークバックをして、股関節、膝、足首を曲げ、エネルギーを溜めます。そしてそれらを伸ばしながらボールスローして、下半身から上半身へ、上半身からボールへエネルギーを伝えることを意識します。軸足のつま先はほぼ壁の方向(正面)を向くようにしてください。
壁で跳ね返ったボールをキャッチしながら次のテークバックをしましょう。左右(フォアとバック)交互に、連続10回行います。
ワンポイントアドバイス
原則として膝とつま先の向きを合わせる
良いエネルギーを出力するには、股関節、膝、足首の向きがある程度合っていなければなりません。前方へエネルギーを発揮したいのであれば、つま先の向きは横向きか斜め前向きである必要があり、もしも斜め後ろを向けば、股関節が開いて体重が乗せられなくなります。ですから目標として、膝とつま先の向きを合わせることがひとつの原則となります。もしもいずれかが内側へ向きすぎていたり、外側へ向いていたりすると、余計なねじれが起こってエネルギーが出しづらくなります。
膝とつま先の向きは原則として、横向きか斜め前向きにしたい。そうするとエネルギーをつくりやすく、前方へ発揮しやすい。
打球方向(前方)へ下半身を蹴り出すと、効率的にエネルギーをボールに伝えられる。膝とつま先がその方向へ向く。
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