2018年優勝者ケルバーと世界1位バーティが準決勝で対決 [ウインブルドン]
2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)の女子シングルス準々決勝でアンジェリック・ケルバー(ドイツ)が第1セットを取ったとき、満員の観客たちは1番コートの閉じられた屋根に反響する声援でそれを讃えた。
これに対するケルバーの反応は? 彼女はただ、感情を見せない真面目な表情でコートサイドの椅子のほうに歩いていっただけだった。喜びの叫びを上げたりジャンプしたりもせず、拳を突き上げる仕草もなかった。オールイングランド・クラブで準決勝に進出した他の女子選手たちと違い、彼女にとってこれは目新しいことではなかった。ただそれは、かなり久しぶりだったというだけだ。
2016年ウインブルドンを含めてグランドスラム大会を3度制した実績を持つ第25シードのケルバーは膝を深く曲げた状態で俊敏にボールに対応する能力と優れた反射神経を駆使して第19シードのカロリーナ・ムチョバ(チェコ)を6-2 6-3で倒し、聖地で準決勝の舞台に戻ってきた。
「私はここでどうやってプレーしたか覚えているわ。グラスコートでどうやってプレーすべきかは分かっている」と33歳のケルバーは語った。彼女は勝利が決まった瞬間、拳を振って少し緊張感を解いた。
火曜日が始まったとき、ケルバーはドローに勝ち残っていた中でもっとも有名でもっとも実績ある選手だった。そして彼女は今、ウインブルドンでの4度を含む自身8度目のグランドスラム大会準決勝に駒を進めた。一番最近のものは3年前のことで、その際には決勝でセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に勝って栄冠に輝いていた。
前哨戦のバート ホンブルクを制して今大会に臨んでいるケルバーは、グラスコートでの連勝を「10」に伸ばした。2月のオーストラリアン・オープンと5月のフレンチ・オープンにおける1回戦負けは、もはや遠い昔のことのように思える。
「私は自分自身と自分のプレーを信じることを決してやめなかったわ」と元世界ナンバーワンのケルバーはコメントした。
ショットを早いタイミングで地面ぎりぎりに低くフラットに打ち込んでくるケルバーのプレースタイルは、4回戦で第20シードのコリ・ガウフ(アメリカ)を苦しめたときと同じくムチョバを煩わせた。
「彼女は非常に厳しい角度を突いてくる。彼女のほうは素晴らしい試合をしていたわ」とコートチェンジの間に頭にタオルを被せていたムチョバは相手を称えた。
この試合でのケルバーは15本しかウィナーを決めなかったが、相手のフォアハンドウィナーを2本に抑えることに成功していたのでそれで十分だった。ムチョバはフォアハンドで、アンフォースとエラーとフォーストエラー(相手に強いられたミス)を合わせて33本犯していた。
ムチョバは第2セットでブレークして2-1とリードして流れを逆転させる可能性を生み出したが、壮観でなかったとしても非常に安定したプレーを見せたケルバーは13本続いたラリーでムチョバにフォアのミスを強いて直ちにブレークバックに成功した。それでほぼ、勝負は決まってしまった。
ケルバーは準決勝で、アイラ・トムヤノビッチ(オーストラリア)との同胞対決を6-1 6-3で制して勝ち上がった第1シードのアシュリー・バーティ(オーストラリア)と対戦する。
バーティは2019年フレンチ・オープンで優勝したが、ウインブルドンでは一度も準々決勝に進出したことがなかった。同大会で女子ベスト8のうち6人が準々決勝初体験というのは、1968年に始まったオープン化以降の時代で初めてのことだった。優勝経験者のケルバーと2019年に同じ段階で敗れたムチョバだけが、過去に8強入りした経験を持っていた。
木曜日の対決に視線を向けたバーティは、「究極のテストだわ。ご存じのようにアンジーは、ここで以前に成功をおさめている」と気を引き締めた。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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