準々決勝敗退のフェデラーが「戻ってくるかわからない」と発言 [ウインブルドン]
2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)の大会9日目は、男子シングルス準々決勝4試合などが行われた。
ロジャー・フェデラー(スイス)はここ20年もの長きに渡り、ウインブルドンのセンターコートで多大かつ熱烈な声援を受けてきた。しかし今回のものは、誰も望んでいなかっただろう。それは勝利を祝う喝采ではなく、試合の終わりに起きたものでもなかった。
それは敗戦に終わった準々決勝で彼がプレーした最後のゲームの開始を遅れさせ、彼に対する「ありがとう」または念のために「さようなら」の意味を込めたものように感じられた。そしてフェデラーは試合後、戻ってくるかどうかはっきりとはわからないと認めたのである。
オールイングランド・クラブで8度に渡ってチャンピオンに輝いた第6シードのフェデラーは、水曜日の準々決勝で第14シードのホベルト・フルカチュ(ポーランド)に3-6 6-7(4) 0-6で敗れた。それは22回目の出場だったフェデラーにとって、驚くほど一方的な終わり方だった。
これが最後のウインブルドン出場だったのではないかと尋ねられたフェデラーは、「わからない。本当にわからないんだ。気持ちを整理し直さなければならない」と答えた。
近い将来に引退する可能性はあるかに関しては、「いいや。そうでないことを願う。ゴールはもちろん、プレーすることだ」と彼はコメントした。
第3セット0-5からフェデラーがサービスに入るためベースラインの前に立ったとき、同じ考えは何千という人々の心にあったのではないだろうか。会場を満杯にしたファンたちが――ある者は立ち上がって――拍手と喝采を送っている間、彼はそれを聞いて少し待った。
それから程なくして、試合は終わった。フェデラーがグランドスラム大会でプレーした429試合において0-6でセットを落としたのはわずか3度目のことで、他のふたつはフレンチ・オープンで起きていた。
記者会見でしっかり話しながらも感情をまったく表に出さなかったフェデラーは、「最後の数ゲームでは、ここから挽回することはないのだと感じられた」と語った。
「言うまでもなく、僕はこのような状況にあまり慣れていない。ここでは特にそうだ」
第2セットで3-0とリードしたとき、フェデラーはようやくいい波に乗り始めたかに見えていた。しかしフルカチュは、まったく譲らなかった。
「何とかして、勝つための道を見つけなければいけなかった」と試合後にフェデラーは物思いにふけりながら呟いた。
舞台の大きさやかかっているもの、対戦相手や一方的にフェデラーを応援するファンに怯まなかったフルカチュは時速162kmの鋭いフォアハンドのリターンでフェデラーにミス強いてブレークを果たし、続く5ゲームのうち4ゲームを取って4-4に追いついた。
それから「レッツゴー、ロジャー!」の大声援と手拍子に続いて突入したタイブレークでも、状況は同様だった。フルカチュはハードヒットし、フェデラーはよろめいた。「残忍だ」とフェデラーは言った。あるポイントでネットに詰めたフェデラーは足を滑らせ、簡単であったはずのボレーをミスした。
第3セットは瞬く間に進んだ。フェデラーがフォアハンドをサイドアウトして勝負が決まったとき、彼は手早く荷物をまとめてロッカールームへと急いだ。フェデラーは去り際に手を振り、親指を立ててスタンドの声援に応えた。
「大会が終わった今、とにかくすべてを見直して再検討する必要がある。チームと一緒に膝を突き合わせ、話し合わなけれなならない。何がうまくいって、何があまりうまくいかなかったのか? 体の状態は? 膝は? 精神的にはどうか?」とフェデラーは話した。
「ご覧の通り、僕にとって苦闘だった」
フルカチュは次のラウンドで、第7シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)と対戦する。ベレッティーニは第16シードのフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)を6-3 5-7 7-5 6-3で振りきり、グランドスラム大会で2度目のベスト4進出を決めた。
トップハーフ(ドローの上半分)の準決勝では、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と第10シードのデニス・シャポバロフ(カナダ)が顔を合わせる。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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