ティームは「ビッグ3が最強であるうちにグランドスラム初優勝を果たしたい」

空虚さ、極度の疲労。これはドミニク・ティーム(オーストリア)にとって、グランドスラム決勝後に以前にも経験したことのある感覚だった。彼はフレンチ・オープンのレッドクレーにおけるラファエル・ナダル(スペイン)に対するふたつの敗戦に、オーストラリアン・オープンのハードコートでのノバク・ジョコビッチ(セルビア)に対する5セットの敗戦を加え、グランドスラム大会決勝という最大の舞台で3度敗れた。

 そのすべてで、彼はその大会で史上最強と言われる相手と対決した。

 ティームはオーストラリアン・オープン準々決勝で第1シードのナダルを、それから準決勝で彼と同じく新進気鋭のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を倒さなければならなかった。

 オーストラリアン・オープン決勝に進出した7度の機会で必ず優勝していた男であるジョコビッチにたどり着くためだけに、ティームはおよそ18時間半をコート上で費やし、6試合の間に4人のシード選手を倒した。ジョコビッチは彼よりも6時間少なくプレーし、この試合に先立ち1セットしか落としていなかった。

「僕が肉体的に疲れたと感じるのは稀だ。特に今は、すべての緊張感が去ったあとだから」とティームは4-6 6-4 6-2 3-6 4-6で敗れたあとに語った。

 第1セットで先にワンブレークされながら追いついたあと、ティームはそのセットを最初のダブルフォールトで失った。奮起した彼は第2セット4-4から6ゲームを連取し、フラットなグラウンドストロークでジョコビッチを苦しめながら続く2セットを取った。

 ところがグランドスラム初タイトルまであと1セットと迫りながら、26歳のティームは4時間を要した決勝のあとに、またも準優勝者であることを受け入れなければならなかった。ジョコビッチでさえが、違いを生んだのは1、2ショットだったと認めた。

「たった今、僕は膨大な空虚さを感じている。でも、そういうものだ。この感覚は前にも味わったことがある」とティームはコメントした。「過去2年のパリ(フレンチ・オープン)でもそうだった。でも今、早くも次のグランドスラム大会に戻っていくモティベーションを感じ始めたよ」。

 次のそれは、5月のパリとなる。

 彼は自分のテニスをハードコートに合うよう磨いたあと、ちょっとしたスタイルのつくり変えと向上させる必要のある細かい部分があると考えている。

 オーストラリアでの進撃で彼がもっとも誇りに思っているのは、「2週間を通し、どのように自分がレベルをキープし、緊張感を維持したか」だと明かした。

「特に準々決勝からは簡単な試合はなかった。4時間の戦いの末にラファを倒し、それから2日の間にコートに戻ってサーシャ(ズベレフ)と戦った。信じられないほど緊迫した接戦だった。そして2日後にまたも出ていって、ほとんどのタイトルを獲得して非常に高いレベルでプレーしているノバクと対戦した」

 その事実が、彼により明るい未来の青写真を与えるという。

「僕は今、自分にはグランドスラム大会を通して非常に高いレベルのプレーをする力があると自覚しているし、確信してもいる」とティームは言う。「どんな下降もなかった。やってくるほかの大きな大会に向け、非常に大きな自信となるよ」。

 ジョコビッチはティームの大きな栄冠を予想する専門家のひとりだった。

「素晴らしい大会を送ったドミニクを讃えたい。今夜それを勝ち獲る運命ではなかったが」とジョコビッチは優勝杯を受け取ったあとに話した。「タフな試合だった。君は勝利まであと一歩と迫っていた。君は間違いなくキャリアの中に(そうするための)多くの時間を擁している。僕は君がグランドスラムでトロフィーのひとつを獲ると確信している。それも、ひとつ以上のトロフィーをね」。

 言うまでもなく、ティームはそれをできるだけ早く、そして間違いなくロジャー・フェデラー(スイス)、ナダル、ジョコビッチが優勝候補でいるうちに成し遂げたいと思っているだろう。

「僕は本当に、彼ら(ビッグ3)がまだ最強であるうちに最初のグランドスラム優勝を果たしたいと願っている」とティームは決意を述べた。「なぜって、そうであればタイトルはより価値のあるものになるからね」。

(APライター◎ジョン・パイ/構成◎テニスマガジン)

※写真はドミニク・ティーム(オーストリア)(撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU)

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